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日々の便り

 

カワセミを撮る

今日の東京は穏やかに晴れ、日差しの暖かい良い天気になりました。御陰で河原には人やら犬やらが溢れ返り、野鳥達はピリピリ。普段はゆったり歩き回るオジロトウネンは忙しなく走り回り、キセキレイなど視界に入るだけで逃げ出す始末。こちらから近付いて野鳥を狙うのは困難な状態でした。ところが不思議なもので、シャッターチャンスは少なかったものの、何故か良い写真は一杯撮れたのです。

こちらから近付いて写真を撮る事はできなかったのですが、追い立てられた鳥達が、自分から私に近付いてくれたのですね。まぁそういう状況ですので、キセキレイのように川から離れても活動出来る種は全然全くこれっぽっちも撮れませんでしたけれど、その代わりに川への依存度が高い種については、思いがけず接近して撮る事ができました。なかでも一番の驚きだったのがこちら、カワセミに信じられない程接近出来た事です。

カワセミ
カワセミ posted by (C)circias

こんなに光の具合が良い時に、ここまでカワセミに接近出来たのは、恐らくこれが初めてでしょう。いえ、接近出来たというのは正確ではありませんね、向こうから接近して来たのですから。ふと気がついたら、なぜか目の前にカワセミが居たのです。すぐにでも飛び去ってしまうかと思ったのですが、意外にも撮影するのに充分な時間、そこに留まってくれました。というか、悪ガキの投石がなければずっとここに居たでしょうね。

カワセミの瞬き1
カワセミの瞬き1 posted by (C)circias

今日はカワセミをアップで撮る機会が多かった御陰で、これまでには捉えられなかった表情を撮る機会にも恵まれました。上の写真のカワセミですが、眼の色がちょっとおかしいのがお分かり頂けるでしょうか。実はこれ、瞼を閉じている状態なのです。近くに居たカワセミを連写で撮影したところ、たまたまこの状態を撮る事ができました。ちなみに、次の瞬間の写真がこちらです。

カワセミの瞬き2
カワセミの瞬き2 posted by (C)circias

眼の色が、青っぽくくすんだ状態から、見慣れた光沢のある黒に戻っていますね。撮った時には気付かなかったのですが、帰って写真を整理する段になって、ようやく瞬きを捉えたのだという事に気付きました。今日は光の具合がとても良かった御陰もあり、かなりカッチリとピントが合っているので、拡大してみると瞼の質感が良く分かります。どうやらカワセミの瞼は、白っぽい半透明の膜であるようですね。

最後は、これまた本当に偶然に撮影出来た、翼を広げたカワセミの写真を。これは飛び立つ直前の状態ではあるのですが、普段はこんな風に停まったままで羽を広げたりはしません。では何故この時だけそうしたかと言いますと、停まった草の強度が足りず、ふらふらと揺れるのでバランスを取ろうとしているのです。この茎は根元の方で折れているので、カワセミの重さに耐えられなかったのでしょう。

離陸前
離陸前 posted by (C)circias

カワセミは普段、茎から踏み切ってから羽を広げます。その飛び出す勢いはたいへん速く、シャッター速度を1/1000にしても、ぶれのない像では捉えられないのですね。ですから、こんな風に羽を広げた状態のカワセミを撮る事が出来る機会というのは、そうそうないのです。今日の私はついていたと言って良いでしょう。

まぁそもそも、あれだけ熱心に追い回している人々を差し置いて、何度も何度もカワセミに接近されている時点で、そうとうついていたのは間違いありません。カワセミ達の方からしてみれば、なんとも災難な一日だったのでしょうけれど、こちらとしては実に実り多い一日でした。

とはいえ、こういう日は、普段川に寄り付かない輩がうじゃうじゃ湧くので、そのマナーの悪さが目に余りますね。放し飼いの犬くらいならまだ可愛い方で、岸で休む水鳥に犬をけしかけるような最低の中年男は出るわ、子供は岸の灌木を引っこ抜いて川に投げるわ、野鳥に投石するわでもう大変。野鳥達に頬を緩ませる一方で、河原の蛮族共には本当に苛々させられました。

よく「自然と触れ合う」とか宣う輩が居ますが、自然は触れて欲しいなんてこれっぽっちも思っていませんし、そもそも彼等がやっているのは一方的な蹂躙です。どんなに壊そうと荒らそうと勝手に回復出来る程、自然が豊かだった時代はそれでも許されていたのでしょう。しかし、今は違うのですから。自治体やボランティアが努力して回復した自然を、玩弄するのはやめてもらいたいものです。

カワセミをアップで

日が空いてしまいましたが、月曜日に撮影した写真の話の続きを。今度は、カワセミについてです。面白いもので、普通は希少な鳥とされているカワセミですが、というか普通に希少なのですが、野川ではむしろ当たり前に見られる鳥になっています。理由は幾つかありますが、何より彼等の行動範囲が河原に限定されているというのが大きいでしょう。

個体数としてはそれほどでなくても、その全てがこの野川上流域のどこかに居る訳ですから、ある程度河原を歩いていれば目撃するのは道理。別にそれほど必死にならずとも、少なくとも一度くらいは彼等の姿を目撃出来るものです。というわけで、この日もカワセミに出会いました。

樹上のカワセミ
樹上のカワセミ posted by (C)circias

上の写真は、この日撮影した中では最もその羽の色が奇麗に撮れた一枚。バックが水面である事も功を奏していますね。カワセミは低い位置に停まっている事が多いですが、時折高い木の上に移動する事があります。この時は橋の袂の木に停まっていたので、橋の上から撮影しました。次の一枚は、同じ個体を別の角度から撮影したものです。撮影条件はこちらの方が有利だったのですが、背景がいまひとつですね。

枯れ草をバックに
枯れ草をバックに posted by (C)circias

橋の上で撮影していたら、散歩のおばさん達がカワセミに気付いて、ちょっとした人だかりが出来てしまいました。別に珍しい訳ではないのですけど、やはりカワセミは人気者です。ただ、眺めていてもそうそう動きはしませんので、しばらく後にもう一度その場を通った時には、カワセミはまだ居るにも拘らず、ギャラリーは解散していました。

この場所は割といつもカワセミが見られるポイントなのですが、この日はカメラマンの群れは居ませんでした。というか、普段からあまりここには来ませんね。背景的にあまり面白くないからなのでしょうか。もう少し上流にはこの日も三脚軍団が居たのですが、このあたりはこの子の縄張りなので、多分彼等は待ちぼうけになってしまったのではないかと思います。

夕方のカワセミ
夕方のカワセミ posted by (C)circias

次にカワセミを見掛けたのは、自転車で5分くらい遡った辺りでのことでした。上の写真は、そこで撮影したものです。この周辺は橋二本分くらいの区間をカワセミが往復していて、結構高確率でカワセミを撮影出来ます。そのため、カメラマンの団体さんがものものしい雰囲気を漂わせていたりすることもあるポイントなのですけれど、幸いこの日は誰もいませんでした。あるいは、時間が遅かったせいかも知れませんね。

見られてます。
見られてます。 posted by (C)circias

ここで私は、人が居ないのを良い事に、少しばかり冒険を。普段は絶対やらないのですが、「にじり寄り」でどこまでカワセミに接近出来るか、試してみる事にしたのです。上の写真はその成果(但しトリムしています)ですが、アオジほどには寄れないものの、多少は近付ける事が確認出来ました。

とはいえ、カワセミはやはり用心深いですね。上の写真では、思いっきりこちらを警戒しているのが分かります。良い絵を撮りたいなら、まぁ三脚軍団の皆さんのように、望遠鏡の如き大型超望遠レンズと三脚を用意するのが妥当でしょう。ゆめゆめ、手持ちでカワセミをアップで撮ろうなどとは考えない方が無難です。あまり脅かすと、良くない影響が出そうですしね。

それにしても、こうしてカワセミを追い回してみてつくづく思うのですが、野川はここ十数年で信じられないほど奇麗になりました。この川、私が就職した頃はまだどぶ川で、流れも停滞しがちだったのです。雨の少ない年には流れが止まって川が腐敗し、あまりの悪臭にバキュームカーが出動したこともあったほど。ところがです、そのお腐れ水だった流域が、今ではカワセミの縄張りなのですから、変われば変わるものです。

この奇跡のような回復は、一重に周辺自治体の皆さんの努力の賜物と言えるでしょう。主に調布と三鷹でしょうか、その意識の高さに心から敬意を表したいと思います。そしてこの回復は、人工的とはいえ生き物の生息域足り得る自然を、10年程度で回復出来る事の何よりの証明であるわけで。無駄な土木工事で使いもしない箱物を
濫造するくらいなら、全国のどぶ川を再生させるのに予算を使ってみてはどうかと思う今日この頃。

「カワセミなんて珍しくもない」というのが東京の常識になってくれたら、最高なのですけれどね。


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