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日々の便り

 

DL-103を試す

予報は晴れるという事だったので楽しみにしていたのですが、今日の東京はどんよりと重い曇り空でした。当初は河原に写真を撮りに行く予定だったのですけれど、これではまともに撮影出来ません。仕方が無いので行き先を吉祥寺に変更し、かねてから実行しようと思っていた、DL-103の針交換をしてきました。

次の写真は、交換して新しくなったDL-103。パッケージを含めて、昔から本当に何も変わっていないのですね。しかも驚いた事に、個々の針に手書きの特性測定結果がついてくるようです。ここまで手間ひまかけて作られているのに、針交換で約2万5000円弱とは驚きの安さでした。

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P7060104 posted by (C)circias

早速手持ちのシェルに取り付けて、レコードを聴いてみます。今回はオーディオテクニカのAT-LT13aを使用しました。本当はもっと良いシェルを使った方が良いのかも知れませんが、とりあえず手持ちの新品シェルがこれしかなかったもので。次の写真は、実際にレコードを再生している様子です。

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P7060128 posted by (C)circias

シェルに取り付ける段階で、まずひとつ問題が発生しました。それは、DL-103の端子が細すぎるという事。シェル付属のリードは端子が太すぎるようなのです。仕方が無いので、ここはシェルリードの端子をラジオペンチで少しかしめてから差し込む事で解決しました。

次にアームに取り付けてみて気がついたのは、このカートリッジの重さです。ゼロバランスをとる時に、アームのバランスウェイトがかなり後ろの方まで行ってしまうのですよね。SHUREのM97xEをはじめ、近代的なカートリッジとは大違いです。まぁどちらかというとローコンプライアンスな我が家のトーンアームには、これくらい重いカートリッジの方が合っているかも知れません。

針をレコードに落とすと、ちょっと重心の低い「ボッ」という音がします。M97xEでは「プッ」という高域寄りの音でしたが、DL-103はかなり重心が低いですね。レコードのプチノイズを拾った時の音も同様で、M97xEならばパチパチ言っていたところでも、それほど気にならない低めのノイズを出すようです。

このことからも分かるように、音域はだいぶ中域寄りでした。低域も引き締まったパワフルな音を出してくれます。高域はM97xEと比べると弱いのですが、不思議な事に籠った音にはなりません。それどころか、M97xEよりもずっと実体感のある、クッキリハッキリとした音を出すのですね。高域が弱い筈なのに、空気感や繊細さでもM97xEを上回っています。これがMMとMCの間にある、超えられない壁という奴なのでしょうか。

試聴したレコードは、次の通りです。

1)ニューイヤーコンサート2014
2)アランフェス交響曲/ある貴紳のための幻想曲
3)Like Someone In Love(アートブレイキー)
4)Sleep Walk (ラリーカールトン)

一通り聴いてみてまず感じたのは、音の密度の違いです。M97xEだと音が薄くなるところで、DL-103はしっかりと腰のある音を聴かせてくれます。それは音が大きいという事ではなくて、音の密度感なのですよね。そのため、M97xEではフヌケた演奏になってしまっていたLike Someone In Loveが、このカートリッジだととても良い演奏になるのです。

また、ある貴紳のための幻想曲の、高域の木管楽器にも大きな違いを感じます。M97xEではややヒステリックな甲高い音になる部分で、下品さが出ないのですね。もちろん音の強弱をはじめとするディティールはDL-103のほうが細かく聴かせてくれますので、単純に音が大きくなったとか、ある音域が強調されただけとか、そういう事ではないと思います。

ニューイヤーコンサートでは、まず音源位置に違いを感じました。M97xEだと音源が遠く、奥に引っ込んだような少しヴェールのかかった演奏になってしまうのですが、DL-103だとそれがありません。何より違いを感じるのは拍手でしょう、DL-103だと拍手が自分の周囲で鳴っているように感じるのです。このクッキリとした臨場感は、まるでハイレゾ音源のようですね。

ラリーカールトンのSleep Walkを再生してみると、キックドラムやベースのパワーの違いをはっきりと感じます。密度が上がると同時に音量もやや増して、なんというかパンチ力が大幅に上昇していますね。それでいて高域もきれいにバランスよく再生するので、籠った感じには全然なりません。むしろ音の実体感が大きく増したような感じがします。

アナログファンにとってはド定番と言われるこのカートリッジですが、長い歴史を経てなお支持され続けている理由が分かった気がしました。バランスが良く、密度が高く、表現力があって何にでも対応出来る。DL-103は、クラシックからジャズ・フュージョンに至るまで、どんなジャンルでも卒なくこなす優等生ですね。

M97xEの二倍以上の値段を考えれば当たり前かもしれませんが、M97xEでは全く対抗出来ないレベルの、ハイクオリティなカートリッジでした。しかし価格差と性能差を考えると、実売1万前後のM97xEがあそこまでの再生能力を誇るというのも、ある意味驚きです。コストパフォーマンスという意味では、M97xEは素晴らしい製品だと言えるでしょう。

しかし、絶対的な評価ではDL-103が圧倒していると思います。安く良い音を手に入れたいならM97xEをお勧めしますが、MCカートリッジを使える環境ならば、ちょっと無理をしてでもDL-103を買う方が良いでしょう。少なくとも私は、これからはこのDL-103をメインで使っていくことになると思います。

ダイナミックスタビライザ

昨日に引き続き、今日も新しいカートリッジのテストをしています。というのも、昨日はこのカートリッジの重要な機能をひとつ使用していなかったことに気がつきまして。それというのが下の写真に写っている、カートリッジ先端の青いバンパーの部分。ダイナミックスタビライザーという、SHURE独特の機構なのだそうです。

SHURE M97xE
SHURE M97xE posted by (C)circias

これはどのようなものかといいますと、簡単に言えば、カートリッジとレコードの間に入る、物理的なつっかい棒のようなもの。バンパーから生えているブラシと粘性ダンパーでカートリッジを物理的に支える事で、レコードとカートリッジの距離を一定に保つという、なんとも豪快な・・・。

レコードに接触する黒いブラシ状のパーツは導電性繊維で、つっかい棒になると同時に静電気をアースに逃がしてくれるという優れもの。冬場のレコード再生では特に重宝しそうですね。昨日はこのパーツを目一杯上に引き上げ、機能しない状態にしてレコードを再生していたのです。

いわゆる「ハイコンプライアンス」なアーム、つまり軽量で慣性の少ないアームならばダンパーは不要。従って、昨日の使用方法で正しいのだそうです。しかし、「ローコンプライアンス」な、つまり重いアームの場合、このパーツは下ろして使うのが正解なのだとか。

我が家のアームはかなり旧式でウェイトも重いものがついており、カートリッジが軽いとバランスをとれないという代物です。そもそも、ヘッドが軽いなんていう条件は想定されていない時代のものなのでしょうね。M97xEはハイコンプライアンス前提のカートリッジなので、この場合はスタビライザが必要であるらしいのです。

スタビライザを使用する場合のもうひとつの利点は、針圧をより多くとれること。M97xEの針圧はスタビライザ無しだと1.25gで、どう見ても少々軽過ぎます。そこでスタビライザをつけると1.75gまで増やせるので、まぁFF15XmkIIくらいの圧にはできるわけですね。ちなみに、ナガオカのNT-500Mの場合は3gかけます。

というわけで、針圧を1.75gに設定してスタビライザを使用してみたのですが・・・案外、良い感じですね。ナロー過ぎた空間表現が、気にならない程度にまで広がったように感じます。それに、中高域の音量が増して、音が太くなりました。ということは、スタビライザ無しの針圧1.25gだと、カートリッジがアームの慣性に負けていたのでしょうね。

全体的に端正な音の傾向は変わらないので、やはりJazzに最適とはいい難いのですけど、しかし、明らかに向かないという事はなくなりました。

そこで試しにクラシックを再生してみたところ、こちらは非常に良い感じです。NT-500MやFF15XmkIIではビビリが出るような大音量のアタックが入るレコードでも、全く問題なく奇麗に再生してくれるのには驚きました。いつぞのグリーグのピアノ協奏曲は、このカートリッジが一番奇麗に再生しますね。ピアノが激しく叩き付けるところで、音が全く割れません。

恐らく、NT-500MやFF15XmkIIはダイナミックレンジが狭く、コンプレッサをかけるように小音量部分を底上げして再生しているのでしょうね。そのため小音量の再生では、むしろそれらの方が心地良い再生になるのではないかと。

これに対してM97xEはダイナミックレンジが広いため、ある程度音量を上げてやらないと、小さい音が聞こえなかったりします。その代わり、非常な大音量や極めて急激な音量変化にも破綻なく追従し、音色を壊さずにきれいに再生してくれるのでしょう。まさに一長一短という感じですね。用途によって使い分けるのがよさそうです。

全く駄目だと思っていたM97xEですが、例によって駄目なのは装置ではなくて私の方でした。マニュアルはちゃんと読んだのですけど、表現が分かりにくいのですよ。
トーンアーム重量の不適合などによる困難な再生条件においても

なんて言われたって、私みたいな素人はピンと来ませんってば。あれこれ調べてみて、ようやくその意味が分かりました。やはり、アナログの世界は奥が深いですね。


SHURE M97xEを試す。

ものの善し悪しは比べてみないと分からないものですが、比べようにも基準がないと困るものですよね。そういう意味で、定番とかスタンダードと言われるような機器は役に立ちます。というわけで、とりあえず持っておきたいと思っているカートリッジが幾つかあるのですけど、今日はその中のひとつが届きました。

2013-10-31
2013-10-31 posted by (C)circias
○SHURE M97xE
定格出力電圧:4mV
周波数応答:20Hz〜22kHz

MM方式と言えばSHURE。そのリスニング用カートリッジの最上位機種です。店によっては結構お値段の張るカートリッジですが、サウンドハウスさんなどでは8000円前後で手に入ります。今回、もう少し安いお店があったので、先行投資のつもりで購入してしまいました。

シェルはオーディオテクニカを使う予定だったのですが、オーテクさんのシェルとは寸法が合わず、あえなく断念。オルトフォンの安いシェルを使用しています。今晩はこのカートリッジを、いつものNT-500Mと比較してみましょう。


2013-02-12
2013-02-12 posted by (C)circias
○NAGAOKA NT-500M
定格出力電圧:3mV
周波数応答:20Hz〜20kHz

M97xEの音の傾向は、ハイファイであっさり目。全体的に音のきめが細かい感じがします。ただその反面、どのレコードでも表現が抑制的になり、特にジャズではあまり「楽しさ」がありません。あまり熱量が伝わって来ない音です。

音のバランスは、NT-500Mよりやや低域が強いでしょうか、引き締まったスピード感のある低音を聴かせてくれます。また、中域の音の減衰が早いため、全体的にすっきり整理されたあっさり目の印象に。ユニゾンやコーラスでは、個々の音を聞き分け易いように感じました。

高音はあまり強くありませんが、細かい音をよく拾います。そのため、管楽器のアタックやベースのアタックに含まれる、しわがれたようなあの独特の音が生々しいのが印象的。そのくせ管楽器が音を引っ張るシーンで、音の中盤以降に来るいわゆるコブシの部分の熱量を再現できず、サラっと流してしまいます。

ピアノの音色が滑らかで前に出る一方、管楽器や弦楽器は控えめに。空間の表現もあまり得意では無いようで、少し狭いように感じました。

同じレコードをNAGAOKA NT-500Mで聴いてみると、まずその音量の大きいのに驚かされます。スペック表ではM97xEの方が電圧が出ることになっているのですが、明らかにNT-500Mの方が大音量に感じますね。あるいは、コンプがかかったような音なのかも知れません。

音量だけでなく、管楽器のぐっと力を込める感じや強弱の表情は、NT-500Mのほうが明らかにくっきりと描写してきます。そしてなにより、チャンネルセパレーションではかなり劣る筈のNT-500Mの方が、広々とした音場を再現します。特にライブ盤ではこの傾向が顕著で、臨場感の違いは圧倒的でした。

お値段の比較をすると、NT-500Mが正規品で3500円くらいなのに対して、M97xEは11000円から17000円くらい。三倍から五倍程度の差があるカートリッジなのですけど、どちらが聴いて心地良いかという基準であれば、明らかに軍配はNT-500Mのほうに上がります。しばしば費用対効果の高いカートリッジと言われているのが裏付けられた格好ですね。

まぁこういう結論になったのは、システムの相性も大きいのでしょう。なにしろ修理品ばかりのジャンクの組み合わせで構築されたシステムですから、高級オーディオを揃えておいでの皆さんの参考にはならないかも知れません。念のためにシステムを書いておくと、こんな有様です。

プレーヤ:PIONEER MU-61 修理品(部品自作)
アーム :機種不明、中古。
アンプ :ELEKIT TU-877 修理品(部品交換、回路定数変更)
プリ  :MARANTZ PM6100SA(フォノイコとして利用)
スピーカ:B&W DM601 S3 中古

見事なまでにいい加減というかガレージ感溢れるというか。いっそのこと、そのうちフォノイコも自作してやろうかなどと考えていたりします。

恐らくHiFiにはほど遠い音なのでしょうけれど、結局オーディオなんて聴いて心地良ければそれで良い訳で。そういう意味で、NT-500Mは名機のような気がしますね。M97xEを評価するつもりで、図らずもNT-500Mを見直す結果になってしまいました。

投資が無駄になった感は否めませんが、まぁ、実際に比べてみない事には分からないことですからね、いわば授業料ということで。それに、M97xEにも優れたところはありますので、色々とセッティングを練れば、案外使いどころはあるかも知れません。そういう遊び方ができるのも、レコードの面白さですね。

AT-MONO3/LPを試す

今日はまた、随分と冷えていますね。閉め切った室内でも20度を切るくらいですから、戸外では17度くらいでしょうか。空もどんよりと曇っていて、今にも雨が降り出しそうです。

今日は不覚にも昼過ぎまで寝過ごしてしまったのですが、起きた時の暗さに、よもや夕方まで寝てしまったのかと驚いたほどでした。まぁ、今日は出掛ける予定もありませんので、天気が悪くても問題ないのですけどね。

とりあえずまずは朝食、そして取りかかったのが、木曜の晩に届いていた荷物の開封です。中身は何かと言いますと、カートリッジとヘッドシェル、そしてシェルリード。レコードに詳しくない方には何の事やらさっぱりかも知れませんが、要するにこれです。

2013-10-19
2013-10-19 posted by (C)circias

写真の銀色に見えている部分がカートリッジ、その上にある黒っぽい取手付の金属部分がヘッドシェル、カートリッジとシェルの間にある細い導線がシェルリード。これらは通常、別々のパーツとして販売されていて、夫々に購入して自分で組み立てる必要があります。
もちろんNAGAOKAのNT-500Mのように、全部セットになっている親切なパーツもあるのですけど、そういうのはむしろ少数派ですね。

今回購入したのは、以下のパーツ。

1)AT-MONO3/LP(モノラルカートリッジ)
2)AT-LT13a(ヘッドシェル)
3)AT6101(シェルリード)

ところが、開封してみてびっくり。なんと、AT-LT13aにはもともとシェルリードが付属しているのでした。シェルを買うのは初めてなので、付いていないものとばかり思っていたのですけれど、果たしてオーテクさんが太っ腹なのか、あるいはそういうものなのか。

2013-10-19
2013-10-19 posted by (C)circias

しかも、カートリッジの方の端子を見てみますと、なんと、端子基部が色分けされていて、シェルリードのどのラインをどの端子に付けたら良いかが一目瞭然になっています。なんという親切設計、こういう気配りは素晴らしいですね。

2013-10-19
2013-10-19 posted by (C)circias

更に言うと、カートリッジのパッケージには小さなドライバーまで同梱されていました。本当に至れり尽くせりですね、オーディオテクニカさん。私のような初心者には、こういう気配りがたいへん有難いものです。

御陰で難なく組み立ては終わり、只今レコードをテスト再生中。音質は・・・他のモノラルカートリッジとの比較は出来ませんけれど、良い、と思います。確かにステレオカートリッジで無理矢理モノのレコードを再生するよりきれいな音ですね。

モノラル用の高品質なLP盤を再生すると、ノイズは皆無と言って良いほどのクリアな音質です。音も太く滑らかで、モノラルなのに音場の窮屈な感じがありません。不思議なもので、ステレオほどではないにせよ、音が立体的に聞こえるのですよね。

ただレコードによっては、録音はモノラルなのにステレオカートリッジで再生した方がノイズが少ないものもありまして、モノラルだからモノラルカートリッジ専用、ということでもないようです。うぅむ、奥が深い。

ところで、なぜ今更モノラルか・・・というお話ですが、ジャズなどの古い音楽の場合、どうしてもモノラルが多いのです。モノラルはステレオ用カートリッジでも再生出来るのですが、カートリッジの振動系の設計や針の太さの違いがあって、ステレオ用カートリッジでは余計なノイズを拾ってしまい、どうしてもクリアな音にはならないのですね。

そこでモノラルカートリッジなのですが、近頃はこれがなかなか手に入りません。十万円以上するようなクレイジーなマニア向けはともかく、普及価格帯だとDENONのDL-102かこのAT-MONO3/LPの二択になってしまいます。

DL-102も是非試してみたいのですが、さすがに約3万円をポンと投資する訳には・・・というわけで、AT-MONO3/LPを買ってみる事にしたのでした。いえ、これだって1万円くらいはしますので、今月は赤字確定なのですけれど。なにしろ、先日レコードでだいぶ出費してしまいましたしね。

近年、レコードファンは増えてきているという話ではありますが、それでも、必要な部品を普及価格で提供可能なほどの人口ではないそうです。そのため、DENONのカートリッジは今月から40%ほど値上げに。庶民に手が届くのは、オーディオテクニカさんだけになってしまいました。

こういうマイナー市場のために製品を出し続けることは、大きな企業にとっては逆に負担になる場合がほとんどです。にもかかわらず、モノラルカートリッジまでちゃんと出してくれているのは、本当に有難い事ですね。なんだか最近、私の中でオーテクさんの株が急上昇中です。現金な話ではありますけれど(笑

人呼んで、掃除針。

昨日届いた交換針(A'pis NF-15X/2)ですが、使用感は極めて良好です。もともとついていたオリジナル針は全体的に大人しい印象だという記憶なのですが、この交換針は高音の輝きが増している気がします。

A'pisの売りは精密研磨された、正確な円形の針先なのだそうで、音溝のより深くまで針が入るため、従来より正確に音を拾えるとか、なんとか。高音の輝きが増すのは、売り文句にもなっているようですね。なるほど、広告に偽り無し。

とはいっても、ナガオカのNT-500Mと比べると全然おとなしいのですけどね。針を替えたからといって、FF15Xmk2のもとからの方向性が変わる訳ではなく、あくまでその範囲内での僅かな変化。まぁ、当然と言えば当然でしょう。音を作っているのは針だけではありませんから。

こうして比べてみると、NT-500Mはよりポップやロックに向いている、たいへん元気の良い音を出すカートリッジだということが分かります。それに対して、FF-15Xmk2はどちらかといえばクラシック向きでしょうか。高音はややおとなしめですが、代りに中域が緻密な印象で、ストリングスの艶が心地良いのです。

ところで、音の変化は劇的ではなかったものの、劇的に変化した部分もありました。こちらの写真をご覧下さい。

ゴミがごっそり!?
ゴミがごっそり!? posted by (C)circias

これは、今までNT-500Mで再生していたレコードの同じ面を、NF-15X/2をつけたFF15Xmk2で再生した直後の針の状態。たった一回の再生で、この有様です。物凄いと思いませんか。
針にゴミがつく現象については聞いてはいましたが、まさかこのような・・・ルーペ無しでハッキリ視認出来るほどにゴミがこんもりとつくような現象は、初めてです。

同じ面を再生したNT-500Mの針は全然汚れないのですけど・・・つまり、この針は売り文句通り、NT-500Mでは届かないような溝の奥底までトレースしているということになりますね。
うむ、広告に偽り無し。企業の鑑ですね。

それは良いのですけど、再生する度この有様ではさすがに困ります。毎回針掃除するのですが、ゴミはなかなか減りません。そもそもこれは何なのでしょうね、拡大すると繊維のようにも見えるのですが、ホコリでしょうか、あるいはカビの類いなのでしょうか。

聞くところによると、こういう性質を持っている針のことを、溝掃除針というそうです。なるほど、この針で再生すればするほどノイズが減りますもんねぇ・・・ひょっとして、へたな洗浄より効果があるかもしれませんよ。

ところで、カートリッジを弄ったついでに、もう一点。ヘッドシェルワッシャーの自作も試してみました。下が、作業時の様子です。

ハネナイトワッシャー
ハネナイトワッシャー posted by (C)circias

作り方は簡単。いわゆるベルトポンチとか皮ポンチと呼ばれる工具でまず外径を打ち抜き、できた丸いゴムから、さらに内径を打ち抜きます。ワッシャの径はφ12x8。
古いシェルのヘタったゴムワッシャーとこれを交換してみたのですが、結構音が変わりますね。まず低音が強くなり、ぼやっとした残響が減って、音が整理された感じになります。
一方で、キズによると思われるノイズは大きく拾うようになりました。

再生が終わった後の、無音部分のノイズの変化が一番分かり易いですね。従来はかなり高音寄りの、プツップツッチリチリチリ・・・という音だったのが、ポッポッポツポツポツ・・・という、明らかに中音域寄りの音になっています。
果たしてどちらがもとの音に忠実なのかは分かりませんが、とりあえず変わった、というのは明らか。ではどちらが好みかと言いますと、これも難しいところです。

一般に、ヘッドシェルを強固に固定すればするほど、音は高音寄りになるといわれています。逆に、柔らかいものをかますと音は丸く低くなるらしいのですね。
もとの薄いゴムワッシャはもう硬化してガチガチでしたから、柔らかいハネナイトに替えたことでこのような変化が現れたことは、通説を裏付けると考えて良いでしょう。

とりあえず、この見通しの良い音も好きなので、しばらくはこれで行ってみようかと思います。この部分はなにやらカーボンが流行のようなのですけど、どんな使用感なのでしょうね。買うと¥1000くらいしますが、自作したらいくらくらいなのでしょう。
こういう小さなカスタマイズで遊べるのも、アナログレコードの面白さのひとつですね。


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