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日々の便り

 

ハイスクール・ローレライ

今日は昼過ぎまで雨が降り、午後も重い曇り空が続きました。木曜までの予報を覆し、金曜の予報では晴れる事になっていたはずなのですけど、当ったのは木曜の時点での予報でしたね。生憎の天気と言えばその通りなのですけれど、今日は色々あって一日中主婦業をやっていたため、天気が悪くてかえって有難かったほどです。ようやく先程家事から解放されたのですが、なんだか酷く疲れました。

というわけで、今日は柔らかい話題を。久しぶりにライトノベルのお話でもいかがでしょう。

○ハイスクール・ローレライ
ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ (ファミ通文庫)
著者:志田用太朗
挿絵:三月

ひと味違う、音ネタ小説。人並みはずれて耳の良い主人公と、人並みはずれて声の奇麗な少年少女の物語・・・といったら、普通は音楽ネタ。タイトルからしてローレライですから、そういう方向性かと思いきや、良い意味で裏切られます。確かに音ネタではあるけれど、音楽ネタではありません。純粋に音がキーとなる、推理を交えたコメディなのです。

ラノベというのは基本的に分かり易いものなので、タイトルや表紙で大まかな内容は把握出来ます。というより、把握出来るように作っているのでしょうね。ですから音ネタタイトルがついていれば、普通はまぁ音楽ネタということになるのですが、そこを軽やかに裏切っての「声」ネタ。しかも主人公が所属するのは「朗読部」ときました。まずここで意表をつかれるのですが、これはほんの始まりに過ぎません。

冒頭は主人公の独白なのですが、そこで主人公は、自分の初恋が始まる前に終わってしまったなどと、悲劇的な雰囲気を漂わせています。恐らく大半の人はここで、素直に悲恋の話が始まる事を期待するでしょう。思い浮かべるのは、甘酸っぱくてほろ苦い、泣かせる青春ストーリー。ところがこれもまた、読者の裏をかく罠なのですね。しかし、ここは素直に騙されておいた方が、その先を楽しめる筈です。

主人公は異常に敏感な聴覚を持っており、とりわけイントネーションについてはひとかたならぬ拘りを持っています。それは生理的な反応にまで表れるほどで、例えばおかしなイントネーションで話す人の声を聞いていると、体調を崩してしまうことも。そんな彼が一目惚れならぬ一耳惚れをしたところから、物語が動き出す・・・と見せかけて、序文の予告通り、その恋は始まる前に終わってしまいます。

どういう終わり方をするのかはあえて伏せておきますが、この恋の終わりが新たな恋の始まりと、ひとつの謎の提示に繋がって行くのですね。そして、最初の謎を解く事でヒロインを仲間にし、かくしてようやく学園ものらしい面子が揃います。内容は基本的に話術系のコメディ。一見ドタバタしているようにも見えますが、主人公が独りで空回りしているだけなので、アクション要素はほとんどありません。

物語は事件の提示と解決という形式で進んで行くのですが、事件は最後の一件を除いて基本的に平和です。普通の小説ならば会話の肉付け程度に扱われるであろう些事を、個性的な登場人物達の面白可笑しい会話劇で肉付けして、きっちり一つのお話に仕立てているところが上手いですね。大事件は起こさず、しかし読者を飽きさせない。スペクタクル無しでもテンポ良く読ませるリズムの良い文章でした。

この作品の一番の魅力は、やはり鋭い突っ込みでしょう。ボケも多分に含まれますが、どちらかというと突っ込みの鋭さで笑いを誘うタイプの作品であるように感じます。とは言っても、別にどつき漫才をしたり、叫びまくったりする訳ではありません。それはあくまで的を射た指摘という意味での、どこか知的な鋭さなのです。

その切れ味がまず発揮されるのが、序盤の部活勧誘チラシへの、主人公の反応。ここで思わず笑ってしまったら、あとは最後まで笑いっぱなしになるのではないかと。物語の山としてのシリアスな展開の中であっても、この面白さは遺憾無く発揮されます。

ギャグ漫画的な濃い設定の登場人物達も、全体で見るとこれが意外に良いバランスで。特に最後のエピソードでは、それぞれの持ち味が良く活かされていたように感じました。話の筋は冒頭から最後まで一貫性があるのですが、それでいて、まるでとりとめのない話を聞かされているかのように、必要以上に筋を意識させないさりげなさも魅力です。

できれば彼等の愉快な日常を、もっと見ていたい。そんな風に思わせてくれる、どこか暢気で楽しい作品でした。

会長の切り札

どうも昔からの悪い癖で、面白い本を見付けると読むのが止まらなくなってしまうのですよね。気がついたら徹夜だったりすることもあるので、そうならないよう自分に言い聞かせているのですけれど、没入するともう止まらないのです。もっとも、そこまで興味をそそられる本なんて滅多にありませんので、それで実生活に支障が出たことは、まだないのですけれど。

とはいえ、そういう本に出会えた時の嬉しさは何物にも代え難いものがあります。なんだかんだいって、幼い頃に「本の虫」などと呼ばれたこの性格は、いまだに変わっていないのだなぁと。そして今日は、久々にそんな本に出会ってしまいましたので、それをご紹介したいと思います。

○会長の切り札

会長の切り札  一芸クラブに勝機あり! (角川スニーカー文庫)
著者:鷹見 一幸
挿絵:KeG

人口減少に悩むとある地方都市で巻き起こる、高校の統廃合をめぐる熾烈な戦いのお話。この作者さんは一見硬派っぽいスペースオペラで有名な方ですが、初めて手掛けた学園ものということです。舞台は高校ですが、まず珍しいのは主人公が高校三年生だということ。しかも季節は秋で、卒業まではそれほど時間が残されていません。

学園ものといえば定番は二年、少し捻って一年がセオリーですよね。なぜそうなるかといいますと、要は学園内で無駄にキャッキャウフフとじゃれ合う時間を長くとる事ができるからです。三年になればもう卒業前提での生活になりますし、当然目前に迫った一大事として、大学受験があるわけで。大半の作品のテーマであるラブコメをやるには、三年はあまりにも不利なのですね。

と、ここまで書けばお分かり頂けると思いますが、この作品はラブコメでもハーレムでもありません。メインテーマに据えられているのは、一言で言ってしまえば「生き方」です。あるいは、人の在り方とでも言いましょうか。といっても知ったかぶりの哲学や精神論を振り回す訳ではなく、あくまで地に足の着いた現実的なお話。もちろんラノベレベルでなら、と但し書きをつけなければならないのですが。

お話は、主人公達の住む市の合併話から始まります。それぞれ歴史と拘りのある三つの市が、「平成の大合併」で統合される事になり、その手始めとして夫々の町にあった高校の統廃合が行われる事になりました。序盤はその合併についての会議の様子などが描かれるのですが、これがなんともリアルなのですね。無能で感情的で、そのくせ薄汚い事をすることと責任転嫁だけは大得意な老害の醜さが、結構生々しく描かれています。

ただ私情と私欲でわがままを言い合って、無意味な論争をだらだら続け、日当だけはかっぱらって行く委員達。そのあまりの醜態に業を煮やした官僚が主人公達を会議に招いたところで、話が大きく動き出します。このあたりの下りを見ていると、私が入社したての頃の会議を思い出してしまって、胃が痛くなるのですよね。どうしてこんなにも、無能な管理職の行動をよく分かっているのか不思議です。

この種の会議は要は責任のなすり合いと、なあなあに誤摩化すための時間稼ぎなのですね。誰も責任を取らなくて良いように、自分たちが不利にならない結論を、「仕方ない」で押し通せる時が来るのを待っている訳です。しかし、当然ながら主人公達はそれを良しとしません。憤慨したヒロインの喝に対し、委員達はお約束の返しを繰り出すのですが、ここで同じく業を煮やしていた官僚が動きます。

かくして「自分たちのことは自分たちで決める」権利を手に入れた主人公達は、どの高校を潰すかを巡って、高校同士の全校対決をする事になるのですが・・・。

表向きは、学校の存続をかけた学園対抗バトルもの。見所は、主人公の知謀知略といったところでしょうか。といっても、それはあくまで表向きのエンターテイメント要素であって、物語の本質ではないと感じました。なにしろ、知謀知略と言っても主人公達の使う手段は決して特別な物ではなく、あくまで取り得る選択肢でしかないからです。しかも、主人公自身が指摘している通り、運の要素もかなりからみますしね。

華やかな表向きのドタバタと並行して、登場する様々な人々の「生き方」が描かれます。自由だ権利だと借りて来た単語で武装して、足を引っ張るしか能のない人間。責任を取りたくないからと、責任転嫁と先送りしかしない人間。自分の感情が満たされないからといって、ごね続けるだけの人間。何も考えないくせに文句だけは人一倍言う人間、等々。

そういった、既視感があり過ぎて正視し難いリアルな俗物に対して対立軸として描かれるのが、主人公や、彼等と競う他校の生徒達であるという訳です。そう、この物語の面白いところは、ある意味他校の生徒達は敵ではないというところですね。もちろん勝負の上では敵ですが、思想的には彼等は主人公側なのです。むしろ主人公達に本当の意味で敵対していたのは、「自由な校風」故に学内に巣食う、将来の老害予備軍たちでした。

四巻構成のシリーズのうち、主人公達の学校の存続問題は二巻で解決してしまうのも、実に興味深いところです。凡百の作者ならばここで大団円なのですが、この作者さんは最初から、そんなちっぽけな視点では物語を描いていないのですね。これは素直にさすがだと思いました。

登場するキャラクター達は実にラノベ的で、同時に些か古風です。作者さんにとっては初の学園ものということで、古典的な例に倣ってみたのでしょうか。一部で指摘されている通り、確かにかなりベタなキャラ付けが見受けられ、人物のリアリティはあまりありません。とはいえ、ラノベにリアルな人間なんて出て来る方が珍しいのですから、それをとやかく言うのは筋違いでしょう。

それに、そういう漫画的なキャラクターだからこそ、あれほど清々しい振る舞いができるのです。対立軸として描かれる醜い人間達とぶつけるなら、そういうキャラ付けにしないとメリハリが足りません。物語の性質や展開を考えるなら、決して不適切なキャラ付けだとは言えないと思います。

文体はテンポ良く整っており、文字数多めにも関わらず、苦もなくスイスイ読めました。主人公の悪知恵自体は地味なものですが、それに対する相手も一筋縄では行かないので、つい続きを読みたくなるのも上手いですね。もちろん物語ですからご都合な展開は多いですし、そもそも物語そのものにリアリティはないのですけれど、それでいて、リアルぶったシリアスものなどよりもよほど現実的であるという、不思議な作品。

この作品を手に取ったのは本当に偶然で、単に電子書籍ストアのポイントを消化するためだったのですけれど、一巻を読み終えるや否や、思わず続刊も揃えて読破してしまいました。2008年の作品で、今はもう電子書籍でしか手に入らないようですけれど、もし見掛ける事があったら、是非一度読んでみる事をお勧めしたい作品です。

うみまち鉄道運行記

昨晩はうっかり寒い部屋で寝落ちをやらかしてしまいまして、御陰で今日は少し風邪気味です。一応1時間くらい寝たところで、あまりの寒さに目が覚めたのですが、時既に遅し。酷い腹痛に苛まれ、仕方なく熱いシャワーを浴び、部屋を暖めてから寝直したのですが、今度は寝坊して大ピンチに。しかし今朝は電車が定時運行だった御陰で、なんとか社バスに間に合う事ができました。

思い返してみると、年が明けてからこちら、ギリギリになるパターンが多過ぎますね。このところ早朝のダイヤがあまり乱れていないので助かっていますが、それだっていつまで続くかはあてになりません。時期によっては毎朝理由もなしに遅れてくることもあり、正直なところダイヤはあまりあてにならないのです。特に春頃は毎年酷いのですよね。

そういう恨みつらみが十数年分蓄積しているせいか、私は鉄道があまり好きではありません。更に言うと、実は鉄道ネタもあまり好きではないのですよ、なぜなら鉄道マニアって話が鬱陶しいので。これは軍事マニアもそうですね。好きな物について語りたくなるのは普通ですが、ものには限度というものがあります。彼等は文章の筋やテンポを乱してまで、本筋に絡まない蘊蓄を書いてしまう傾向が強いので、そこが鼻につくのですよ。

そんな訳で鉄道ネタ軍事ネタは忌避する傾向が強い私ですが、久しぶりに好きだと思える作品に出会いました。それがこちらの作品です。

○うみまち鉄道運行記 サンミア市のやさしい鉄道員たち
うみまち鉄道運行記 サンミア市のやさしい鉄道員たち (富士見L文庫)
著者:伊佐良紫築
表紙:戸部淑

表紙にかわいいイラストが掲げられているので、ラノベのような挿絵や口絵を期待される方もいらっしゃるかも知れませんが、作品中には一切イラストが登場しませんので悪しからず。まぁしかし、イラストレーターに戸部淑さんを起用されたのは大正解だと思いますね。仮に本文中にイラストがあったとしても、戸部先生の絵ならば作品を壊す事はないでしょうから。つまりは、そういう上品な雰囲気の作品であるということです。

舞台は、アメリカと良く似た社会構造および文化を持つ、架空の国。技術水準や文化水準は、第一次世界大戦後くらいでしょうか。主人公の少女二人はとある港湾都市に敷設された鉄道の運転士と車掌のコンビで、物語の大半の部分は鉄道の車両の上での出来事です。十代の少女がなんでそんな仕事をしているのか、という突っ込みはとりあえず措くとして、その内容をざっとご紹介しましょう。

第一話は「お芝居特急」。劇場行きの路線を担当する運転士のメグには、あるポリシーがありました。それは「お客さんを舞台の開演に遅刻させない事」。つまりは、多少無理してでもダイヤを守るということです。ところがある日、無賃乗車の少年が彼女達の電車に紛れ込んだ事で、大幅な遅延を余儀なくされます。それでも電車を遅らせたくないメグは、かつてその路線の名物だった特急の運転を再現することにしたのですが・・・。

このお話の良いところは、それそのものが完成された物語になっていると同時に、その後の物語への布石にもなっているというところですね。登場するあらゆるエピソードは全て伏線と考えて良いでしょう。といっても、別に謎掛けがあるわけではないので、肩に力を入れて読む必要はないのですが。

第二話は「復興型電車」。主人公のメグとシャーリー、そしてその親代わりのような存在であるマルコとの出会いのお話です。舞台はメグがまだ幼かった頃、舞台であるサンミア市が震災に襲われた直後の事。この物語でメグが鉄道に、もっと言うならばリトル・フェアリーに拘る理由が明かされます。

私がとりわけ気に入ったのは、話の冒頭に登場するボロ電車の「ロケットマン」。ちょい役の舞台装置とみせかけて、実はこの車両も運命的な存在であると同時に、この先の物語でも活躍するのですね。さりげなく登場させた脇役が地味に活躍してくれるのは、上手い物書きに共通する特徴でもあります。もっともそれに気付くのは以降のお話を読んでからなのですが、御陰でこの物語が一層好きになりました。

第三話は「御召し列車」。時間は短いですが、言ってしまえばローマの休日的な。主人公は第二話で登場したメグとシャーリーの兄貴分、レオンです。カーニバルの日、「ネーム・レス」の運転士を務めていたレオンは、昼食を買いに出た街の雑踏で、少し変わった雰囲気の少女に道を尋ねられます。電車に戻った彼は、少女と再会するのですが、彼女はとても焦った様子。なんでも大事な用事に遅れそうだ、というのですが・・・。

テンプレートなロマンスかと思いきや、結論はある程度常識的な範囲で、むしろ劇中の列車の運転ほどには無茶をしません。そもそも二人はそれほど深い知り合いでもないので、距離感としてもこれは妥当な結論でしょうね。しかしその控えめな結論込みで、この事件に関わった人達の魅力が余すところなく描かれています。例によって暴走列車ネタなのでスピード感も充分。よくあるロマンスの退屈感もなく、温かくて楽しいお話でした。

第四話は「現金輸送列車」。つまりギャングに襲われる話なのですが、これはちょっと蛇足だったかなという感じが否めません。マルコの経歴などなど、後付け感が否めないのですよね。それと、銃の扱いやら警備員のことやら、色々と無理なところが多いのです。あえて良かったところをひとつ挙げるなら、序盤でちょっと意地悪に描かれたライバル社の「ストラト・ライナー」が実は正義のヒーローだったこと、くらいでしょうか。

結びの「普通電車」は各話の後日談をまとめて。とりたてて事件のない日の主人公達を描きつつ、全てのお話の後日談をさらりと一本にまとめた手腕はさすがです。とはいえ、第一話のあの子がもう入社しているって、どうなんでしょうね。鉄道会社ってそんなに簡単に職員になれたものなんでしょうか、あの当時は。これはさすがに無理し過ぎではと思うのですけれど。

雰囲気は、ライトノベルというよりは児童文学といったところ。文章は読み易く、登場する人物はそれぞれにちゃんと個性があって、しかも魅力的です。その「人物」には車両まで含まれているところが、この作者さんの上手いところですね。電車にはマイナスイメージしかない私でさえ、「フェアリー」や「ロケットマン」、名無しの権兵衛あらため「ロイヤル・コーチ」など、各車両に愛着を感じてしまったのには驚きました。

よくあるラノベ的な無理なキャラ付けや変な話し方は一切ありませんし、主人公達が美少女だったりすることもありません。そういうありがちな付加価値ではなく、きちんと人物を描く事で読み手を惹き付けるこの文章力はさすがだと思います。そういう意味では、文芸にかなり近いライトノベルだと言えるでしょう。上品で暖かくて心意気で、読後感がとても心地良い、素敵な作品だったと思います。できれば続編が読みたいですね。

冬の巨人

今日の東京は、かなりの寒さでした。私は冷暖房嫌いなので、室温が15度を切らない限り暖房なんて使用しないのですけれど、さすがに今日は暖房を多用しない訳にはいきませんでしたね。それにしても、以前から不思議に思っているのですけど、暖房を使うと顔がアブラっぽくなるのは何故なのでしょう。

どのみち気温は16度程度までしか上げないのに、それでも暖房を使った場合と、そうでない場合の16度では全く違うのですよね。暖房は顔が火照るし頭がぼんやりするので嫌い。冷房は関節が痛くなるし、肩と背中が強張るので嫌い。寒いのなら動けば良いのですよ、この時期ならばそう、例えばおせちを作るとか。実際、今日の午前中はきんとんを練るのに忙しかったので、暖房などなくともホカホカしていたものです。

冬は夏と比べると楽しい事が少ないのが難点ですが、体との相性という意味ではむしろ好ましいのですよね。何より、頭が冴えるので冬の空気は好きです。しかし文学作品はともかく、娯楽作品で冬の寒さが身にしみるような作品って、あまり見ないのではないでしょうか。冬のイベントネタは多くありますが、それらが描く冬はこれっぽっちも寒くないのです。と思ったら、最近そんな作品に出会いました。

○冬の巨人
冬の巨人 (富士見L文庫)
著者:古橋 秀之

世界の全ては雪と氷に閉ざされており、そこを巨人がゆっくりと歩き続けています。人類はその巨人の背に都市を築き、巨人の発する熱だけを頼りに食料を生産し、街を暖め、そして機械を動かして暮らしていました。人々は巨人がいつからそうして歩いているのか、どこへ行くのかを知りません。しかし、いつかその旅が終わるという事だけは、古い伝承として受け継がれているのでした。これは、そんな世界の物語。

人々が外界へ出る事を拒むのは、ただひたすらに続く雪原と、吹雪。別に魔物が居る訳でもなく、血湧き肉踊る超人のバトルが勃発する訳でもありません。ただ、ひたすらに寒い、そして冷たい。生きるために熱が必要な動物にとって、それ以上に恐ろしい世界など有り得るでしょうか。ですから人々は都市に閉じこもり、巨人の寄生虫として細々と生き続けていたのでした。

ところが、そんな人類にも変わり者がいました。それは主人公・・・ではなくて、その雇い主、ディエーニン教授です。教授は多くの人類とは異なり、巨人や外の世界、ひいてはその行く末について調べ、知ろうとする人だったのでした。これがまずこの作品の良いところですね。大抵の作品は主人公こそ最も先見性のある賢者にしてヒーローとして祭り上げたがるのですが、この作者は違います。

なるほど主人公の視野は広く、鋭い観察力をも有していますが、長い年月をかけて培われた教授達の知恵や知識には遠く及ばず、本人はそれを自覚しています。特に抜きん出ている点があるとするならば、それは絵を描く能力くらいでしょうか。この能力は物語の展開の鍵となるものですが、それが世界を救う訳でもなんでもない。この現実的パワーバランスは、ラノベではなくむしろ文芸的であると言えるでしょう。

むしろ主人公にとっての「力」になるのは、ヒロインのジェーニャとレーナです。ジェーニャは権力者の娘で、主人公に権力者とのパイプという力を与えます。勿論、多くの厄介事というお代と引き換えに、ですが。彼女はラノベではおよそ見掛けない、むしろ西洋小説のヒロインのような性格なので、控えめな女性像に慣れている日本人には少々きっついタイプに写るかも知れません。

そしてもう一人のヒロイン、レーニャは「世界」との接点を与えます。彼女は何度も主人公を救いますが、そもそも人ですらない彼女とは、最後の最後までほとんど全く意思の疎通が出来ません。これも何といいますか、むしろ文芸的な描き方ですよね。普通は、世界の化身の不思議少女が、主人公とあっさりコミュニケーションした挙げ句にべた惚れになったりするものですけれど。

そして何より魅力的だったのは、描かれる「寒さ」が絵空事ではない、ということ。ほんとに寒いのです、読んでいて身震いするくらいに。よくある安い小説の、イベント導入用の寒さとは訳が違うのですよ。そしてそんな寒さをさらに印象付けるのは、巨人の有り様。それはよくある力強い巨人ではなく、老いて腰を曲げ、息も絶え絶えに歩みを進める老人のような姿をしているのでした。

物語は、外の世界に調査に出た教授と主人公が、そんな巨人の姿を遠くから眺めるところから始まります。ここでの教授と主人公のやりとりがとても魅力的なのですよね。語られているのは当たり前の事なのですけれど、それでいて普段はあまり意識されない事柄。それを殊更にご教訓ぶったりせず、あくまで先生らしい先生と弟子らしい弟子の会話として微笑ましく提示する、その描き方には大いに惹かれました。

文体とその表現力、台詞とそれ以外のバランスは極めて整っており、もはやこれは文芸にカテゴライズしても良いくらいです。冲方丁さんの作品くらいのバランスと言えば、分かる人には分かるかも知れませんね。彼も作品が文芸だったりラノベだったりする方ですが、この方もそういった、境界線の曖昧な作風の方と言えるでしょう。そのため、文章好きな人ならば、きっと導入だけでもその世界に引き込まれる事と思います。

ただ惜しむらくは、たった一巻で完結させるためか、物語の展開が性急である事。本来ならばもっと丁寧にゆっくりと描くべきであろうエピソードが、怒濤の勢いで展開して行きます。特に、「悪役」の立ち位置や事情などは、あんな仕方で説明するべきではなかったのではないかなと。あんな取って付けたような告白をさせるくらいならば、いっそ何も言わずに去らせるべきだったのでは。

この本と同じくらいの長さで、3巻構成くらいにはできそうな濃い内容をたった一冊に詰めたために、あちこちだいぶ取って付けた感があるのがどうにも残念。御陰でラストも重みが足りず、若干拍子抜けな印象さえ受けてしまいます。とはいえそれが残念に思えるのは、一重にそれ以外の部分の素晴らしさがあってこそのことでしょう。

描かれている「世界」のなんともいえない独特の雰囲気と質感は、それだけでも充分に満足感を得られるものです。もし私に絵心があったなら、是非ともこれを映像化したいと思えるほどに。できることなら文芸作品として、もっと大幅に巻数を増やして丁寧に書き直して欲しい、そんな重厚な作品でした。表現力のある文章がお好きな方になら、きっと気に入って頂けるのではないでしょうか。

レンタル・フルムーン

このところ寺田寅彦ばかり読んでいましたが、今日は久しぶりに漱石を読みました。読んだのは「吾輩は猫である」。本当はちょっと調べ物をするだけのつもりだったのですけど、開いた途端にのめり込んでしまって、気がつけば二時間も。やはり漱石は凄いです、圧倒的なのです。なんでしょうね、この抗い難い面白さは。

初期の漱石作品に見られる滑稽味というのは、決して人を爆笑させるような類いのものではありません。滑稽諧謔とくくって見下す人も居るようですが、その種の露骨過ぎて下品で頭の悪い「滑稽」とは一線を画す、なんとも上品でニヒルな滑稽味なのです。下品な話でさえ、漱石が書くといやらしさがあまりないと感じるのは、私だけではありますまい。

文体としては、漱石のそれはどちらかというと乱れがちな方でしょう。文法に着目するならば、恐らく寺田寅彦の方がよほど正しい日本語を使っていると思います。しかし、どういうわけか寅彦より、漱石の方が読み易いのですね。これは、読む人をぐいぐい引っ張って行く彼独特のリズムの御陰でしょう。

ところで、どうして「猫」を開く事になったのかといいますと、この作品に引用されていた台詞が、どういった経緯で登場したものだったかを思い出せなかったからです。

レンタル・フルムーン〈1〉第1訓 恋愛は読みものです (電撃文庫)
タイトル:レンタル・フルムーン
著者  :瀬那 和章

ジャンルは一応ファンタジーでしょうか。簡単に言うと、世界とは神の作った実験場で、その全ては人の「認識」によって在り方を定められているのですが、時折イレギュラーを生み出すので、それを回収して回る仕事をするお話、といったところ。といっても世界設定とかヒロインのお仕事というのはあくまでオマケのようなもので、メインは不器用な少年少女の距離の探り合いなのですけれどね。

電子書籍のキャッシュバックフェアで、なんとなく購入したのがきっかけで、結局シリーズを通して買ってしまいました。まぁシリーズと言ってもたったの三册なので、たいしたことはありません。この方は他にも何作か作品を執筆しておられますが、どれもさほど長いお話にはなっていないようです。遅筆なのか、あるいは単に流行らないので続きを書けないのか、どちらかでしょう。

ではなぜシリーズで購入したのかといいますと、文体が気に入ったからです。あとは、流行りそうにない地味な設定とイベントで、それなりにテンポ良く話をまとめているところにも好感が持てました。一応ラノベなので女性率は非常に高いのですけど、決してハーレムという訳ではありません。起こる事件も、よく考えると絵面的には派手なのですが、規模として派手なものは非常に少ないのですよね。

作品の魅力はまずその整った文体と、そして随所に散りばめられたオリジナルの格言でしょう。サブタイトルが示しているように、この作品はまず主人公が教訓としている格言の呈示があって、その格言を打ち破る方向で話が進みます。とはいえ、どちらかが絶対の正解であるかのような、安っぽい展開にはならないのが良いですね。むしろこの作者は、そうして物事を型にはめて一面的に見る事を否定しようとしているように見えます。

また、若さ故の視野の狭さで選択肢を捨ててしまう主人公に対し、大人達が与える助言がまた良いのですね。特に主人公の姉の台詞には、良いものが多いように感じました。中でも「楽しい事っていうのは基本的に面倒くさい事だと思うよ」というのは金言だと思います。彼女の場合は主に恋について語っているのですが、それ以外の事柄にもバッチリ当てはまりますよね。

また、時折引用される名作の台詞も読書好きには嬉しいところです。主役級は皆読書家という設定なので、これらが単にそれっぽい雰囲気を狙った演出なのか、あるいは作者が本当に読書好きなのかは分かりません。ただ、「吾輩は猫である」から次の一文を引用する辺り、この作者は本当に本が好きなのではないかと思うのです。

“食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く。”


これは「吾輩は猫である」の第二回で、猫が苦沙観先生の日記を盗み読みしながら感想を述べるシーンに登場する一文です。猫と言ってこの一文を思い浮かべる人などまず居ないでしょうし、そもそもこの部分を覚えている人も稀でしょう。漱石らしい独特の言い回しではありますが、よほど漱石が好きか、あるいはこの作品をしっかりと読み込んでいない限り着目する事などないと思うのです。

そしてこれは、私が「猫」を再び開くきっかけになった引用部分でもあります。「絶体絶命」でピンときたのですが、さすがにこれがどこに登場する文なのかという事までは分かりませんでした。そこで電子書籍を開いた訳ですが、なぜかそこから読書モードに突入してしまい、気がついたら昼過ぎになっていたのです。電子書籍ですから、なにも読んで探す必要は無かったのですけれどね。

ところでこのシリーズ、最終巻が出てからだいぶ経っている事を考えると、どうやら三巻までで終わりのようです。「レンタル・フルムーン」というタイトルの由来が登場するのは三巻なので、あるいは意図された終わり方だったのかも知れませんが、これで終わりというのはちょっと拍子抜けな感じもしますね。というのも、終盤は怒濤の展開だった割に、あまり大団円と言えるようなシーンがありませんでしたから。

どちらかというと、打ち切り漫画にありがちな「To Be Continued...」な結び方になっているので、やや物足りなさを感じます。ただ、このネタだと多分流行らないだろうなぁと思えるのもまた事実。内容的にはむしろ高品質であるだけに、あまり売れていないのが残念でなりません。

しかしよく考えてもみると、漱石や川端康成を熟読しているような硬派な読書家で、しかもラノベも読むなどという人は、特に少数派だろうと思うのですよね。この作品の主人公達がまさにそういう人種なのですが、そういった希少種でないと共感出来ない内容というのは、マーケティング的にかなり不利なのではないでしょうか。にも関わらず三巻も出ているのですから、もう充分に結果を出しているとも言えるでしょう。

ちょっとマニアックで、どことなく古風で。少し個性的で、ちょっと良い話。間違いなくライトノベルで、はちゃめちゃな物語なのに、傾向としてはむしろ文芸的な、上品な後味が心地良い作品でした。

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