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日々の便り

 

ダンジョンに出会いを(略

どうやら昨晩から今朝にかけてがいわゆる「峠」というやつだったようで、明け方に一気に39度近くまで上がった体温は、午後になって急に37度代に落ち着きました。なんだかもうすっかり治ったような気分なのですけど、平熱が36度ジャストの私からすると、まだ1度以上熱がある状態なのですよね。

それにしても、病院の処方薬は笑えるくらいによく効きました。解熱剤なしで、こんなにもあっさりと炎症と熱が収まるとは思いもしませんでしたね。とはいえ、まだ声は出ないし咳は止まらないし、食事もお椀に1/3くらいしか摂れないので、相変わらず布団の国の住人である事には変わりないのですが。

というわけで、相変わらず退屈しのぎはラノベです。正直、スマホの存在をこれほど有難いと思った事は無いですね。こういう時は、タブレットよりもがぜん取り回しの良いスマホに限ります。片手で支えていて腕が疲れる事もありませんし、どんな姿勢でも読めますから。というわけで、今晩も最近読んだラノベのお話を。

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タイトル:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
著者  :大森藤ノ

間違ってるに決まってると突っ込む前に、そのタイトルの長さにまず突っ込みたいですね。どうも最近のラノベのタイトルというのは、やたら長ったらしいものが多いようで。もちろん、「のうりん」みたいな平仮名四文字系もどうかと思いますけれど、タイトルをダラダラ説明的にしてしまうのは、格好の良い事ではありませんね。

やっている側は流行に則っているつもりなのかもしれませんけれど、ハッキリ言って、これは単に国語センスのなさをアピールしているようなものだという事にそろそろ気付いて頂きたいです、主に編集者に。というのも、こういうタイトルには多くの場合出版社側の希望が強く反映されるのだそうで、一概に作者の国語センスが残念であるせいとは言い切れないそうですから。

この作者の場合も然りで、その残念なタイトルセンスとは裏腹に、文章はなかなかテンポが良くて読み易いものでした。また、その残念なタイトルから連想されるような、軟派なハーレムものではありませんので悪しからず。女の子を引っ掛けて歩くような話を想像してドン引きしている方は、是非ともちゃんと読んでみる事をお勧めしたいところです。そういうセンスの方なら、きっとはまりますから。

世界観は、ギリシャ神話や北欧神話とゲームの世界観をミックスしたような感じ、とでも言いましょうか。「神々」が人の姿をとって人間と共に暮らしており、その恩恵を受けてパワーアップされた「冒険者」達が、日々ダンジョンに潜ってモンスター相手に冒険を繰り広げている世界です。

とはいってもこの「神々」がかなりくせ者で、実に神話的なのです。つまり、興味本位で刹那的で快楽主義で身勝手極まりないのですね。もちろん、中には人間に対して親身になってくれる善良な神もいますが、大半は人間をおもちゃにしているに過ぎません。そのため、主人公もある女神に勝手に見初められたばかりに、何度も死に損なう事になります。

主人公のベルは真っ直ぐな性格の少年で、混じりっ気の無い英雄願望の持ち主。それは功名心とか金銭欲とか名誉欲とかいう邪心に裏打ちされた願望ではなく、単純で純粋な憧れという希有な形での願望であり、その純粋さがやがて彼の力になって行きます。ヒロイン達は彼のそんな純粋さか、さもなくばお人好し加減に惹かれていくのですが、読んでいる側からしてもそれが不自然に思えない程、とても可愛らしい性格の主人公でした。

物語は、一言で言ってしまえばそんなベル君の成長物語。一見して地道な努力物語のようでいて、規格外の急成長を遂げる出世頭のサクセスストーリーでもあるため、困難が多い割に爽快感も充分。自身がどんどん成長するとともに、次第に増えて行く頼もしい仲間達の姿も物語に厚みを添えます。

特に素晴らしいと思ったのは、4巻で登場する主人公のパートナー。それまでは冒険者1+荷物持ち1という実質ソロでダンジョンに挑んでいた主人公が、より深層に挑戦するためにパーティーを組むのですが、その相手が良いのですね。男性、鍛冶屋、長身、大剣使い、気さくで熱い兄貴系・・・って、いやぁ、分かっていらっしゃる。思わず快哉を叫びたくなった程です、声出ませんけど。

主人公がスピード命の軽装型短剣使いですから、パートナーは重量級か中量級にするのは当然としても、このてのラノベでは主人公周辺はなにかと女性キャラになることが多いのですよね。でも、細身の女性に身の丈より大きな重武装を振り回させて喜ぶようでは、ファンタジー好きとは言えないのですよ。そんなものただのオタ趣味です。

あれは言うなれば、針金人形にバトルアクス振り回させて喜んでるような感じですね。バトルアクスを振り回すならミノタウロスでしょう、でなければあの躍動する筋肉の力感は出ないでしょ?

まぁ個人の嗜好の話はさておき。このことからも分かるように、この作品の「戦闘」はユルくありません。油断すれば格下の相手にあっさり殺される事もあり、死んだら復活など有り得ないというシビアな世界。そこで命の取り合いをするのですから、戦闘中にハーレムでキャイキャイ姦しく騒ぐなんてことも絶対にありません。

戦闘は基本的に極めて緊張感に溢れたもので、同時に多くの場合スピード感に溢れる熱いものになっています。主人公にとってのターニングポイントになるような戦闘は特に、死と隣り合わせというよりはむしろ絶体絶命のピンチである場合がほとんど。テンポ良く紡がれる文章が戦闘のスピード感をよく伝えてくれるので、手に汗握る物語の世界にのめり込ませてくれます。

一方、街に帰れば基本的に雰囲気はユルく、主人公が関わるのは大体女性ばかりのハーレム展開。まぁ主人公の朴念仁ぶりも手伝って、積極的な約一名以外とは別にいちゃついている訳でもないので、今のところそれほどくどさは感じません。むしろ、オンとオフの緊張感の切り替えが丁度良いくらいです。

ヒロイン勢の中でお気に入りなのは、まずリリですね。ちっこくて良く働いて口煩いというのは結構ツボです。逆に、得体が知れないなぁと思うのはシルさん。ほんと、この人は何なのでしょうね、後々素性が明かされて来るのではないかと思いますが。かなり確信犯的に、それでいて偶然を装いつつ主人公をサポートしているところからして、背景無しのただの人間ではないと思います。

物語はまだ、主人公が冒険者として一歩前に進んだところまでで、仲間もようやく戦闘要員が一人増えたところ。これからどんな風に展開していくのか分かりませんが、1〜4巻の物語を読んでいる分には、期待が裏切られる事はなさそうです。むしろ、期待した以上に熱くて優しくて心意気な物語を読ませてくれるのではないでしょうか。続きが気になってならない作品です。
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