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日々の便り

 

岡本公園民家園(4)

引き続き、岡本公園民家園のお話を。順番があべこべのような気もしますが、最後は建物の外側の様子をご紹介しようと思います。まずは建物の外観を。次の写真は建物の正面側を写したものですが、25mmでは画角が足りないため、一部のみの写真になってしまいました。ここは家の前のスペースがとても狭いので、建物との距離を取りにくいのです。こういう場所では、14mmくらいの画角が欲しくなりますね。

民家正面
民家正面 posted by (C)circias

この建物は、次大夫堀公園の民家と比べると規模が小さいですが、その分手入れは行き届いているようですね。相当な古さの建物ですが、ぱっと見ではみすぼらしさを感じない佇まいです。特に屋根の茅葺きがきれいですね。縁側はありませんが、見ての通り座敷の敷居に腰掛けてくつろぐ人達が目につきました。縁台も出してあるので、そちらに腰掛ける事もできます。

建物の左手に回り込むと、そこにはちょっと珍しい農具が展示されていました。唐箕はどこででもよく見ますが、こちらの機械は初めて見ます。なんでも籾摺機というのだそうで、籾を投入して玄米にするための装置なのだとか。一種の脱穀機というわけですね。掠れてしまってはいますが、漏斗状のパーツに「AS式籾摺機」とプリントされているようです。昭和初期くらいのものでしょうか。

籾摺機
籾摺機 posted by (C)circias

続いて次の写真は、縄綯い機だそうで。名前の通り、藁から縄を作るための機械ですね。鋳造された金属製歯車が使用されているあたり、こちらも比較的近代のものでしょう。少なくとも明治大正以降の道具なのではないかと思います。

縄綯機
縄綯機 posted by (C)circias

そのまま進んで家の裏手に出ると、左手には納屋と鶏小屋が、右手には井戸があります。次の写真は、鶏小屋前あたりから母屋の方を振り返って写したもの。画面左側に写っているのが井戸ですね。井戸の中には頑丈な金属の格子がはめ込まれていて、桶を下ろしたりはできないようになっていました。

民家裏手
民家裏手 posted by (C)circias

次の写真は、井戸の滑車を写したもの。木製の大きな滑車で、まだ使えそうに見えます。縄もそんなに古くはなさそうですし、もしかするとイベントなどでたまに使っているのかも知れませんね。井戸のところにはフランス人の親子が居りまして、お父さんが小さな子供に大袈裟な身振り付きで解説していたのが印象に残りました。

井戸の滑車
井戸の滑車 posted by (C)circias

井戸のところを通過して突き当たりまで行くと、金網の向こうに金属製の扉が見えて来ます。これは「岡本隧道」という水道用トンネルの遺構で、なんと大正時代に作られたものなのだとか。かつては砧浄水場からの水を駒沢給水塔まで送るのに使われていたということです。次の写真がその岡本隧道入口。今ではすっかり枯れ葉に埋もれてしまっていて、扉の上の方が辛うじて見えるだけになっています。

岡本隧道
岡本隧道 posted by (C)circias

この民家園がある岡本地区は、ちょっとした台地になっているのですよね。砧浄水場はここより低い土地にあるため、水道管を地上に引くと給水塔側のポンプの負担になります。そこでここに全長120mのトンネルを掘り、その中に水道管を通す事で、ポンプの負担を減らしたのだそうです。ちなみにこのトンネルについての解説は、なぜか岡本公園内にあったりします。

さて、岡本隧道に向かって右手側には母屋の裏門があり、そこを出て左手方向に進むと、急な石段の上に神社があります。そして、そのさらに右手には静嘉堂文庫があるのですが・・・実は、こちら側から静嘉堂文庫に入る事はできません。静嘉堂文庫に入るには、隣の岡本静嘉堂緑地をぐるりと回って、対角線の位置まで移動しなければならないのです。

しかも入口まで行って見たところ、なんと日曜日は休館だというではありませんか。やる気のない美術館もあったものだと、これにはさすがに呆れました。しかも帰ってから調べて分かったのですが、静嘉堂文庫は今年から約一年半ほど、工事のために休館になっているのだそうで。どうやら静嘉堂文庫の見学は、来年後半以降にお預けのようですね。

まぁ今回はもともと下見の積もりでしたし、色々と分かっただけで良しとしましょう。静嘉堂文庫の入口が一カ所しかない事や、それ以外の周囲の緑地が立ち入り禁止になっていることなど、地図だけでは分かりませんからね。やはり、実際に行ってみないと分からない事というのは多いものです。

岡本公園民家園(3)

引き続き、岡本公園民家園のレポートを。そろそろ肝心の民家園そのものに触れておきましょうか。岡本公園民家園は、民家園というよりは「民家」です。その内容は母屋が一棟と蔵が一棟、あとは家の前の畑くらい。蔵の方は現在調査中とかで立ち入り禁止なので、見学出来る場所は主に母屋だけということになります。

母屋の間取りは、座敷2、囲炉裏1、あとは物置と台所兼土間という比較的簡素なもの。軒はあまり張り出しておらず、縁側もありません。次の写真は、囲炉裏の隣にある座敷の障子を開けて、家の外から内部を撮影したものです。まずは、座敷から囲炉裏の方向を。

縁側から台所方向
縁側から台所方向 posted by (C)circias

続いての写真は、同じ位置から奥の座敷を写したもの。現在は間仕切りが立っていませんが、これは夏の内装だからでしょうね。梁のところに溝が見えますので、さすがに冬場は襖くらい立てていると思います。次大夫堀公園の民家と比べるとだいぶ簡素な造りですが、押し入れや床の間の感じからして、庶民の家としては悪くない方なのではないでしょうか。

縁側から座敷方向
縁側から座敷方向 posted by (C)circias

次大夫堀と同様、ここでも自由に民家の中に入って見学する事が出来ます。案内の老婦人に勧められて中に入ってみると、土間には色々なものが展示されていました。まずはお約束の草鞋の写真ですが、ここの草鞋はただぶら下がっているだけでなく、種類ごとにちゃんと札がついています。一口に草鞋と言っても、色々とあるものなのですね。

わらじ
わらじ posted by (C)circias

続いてはお馴染み、竃です。ただしこの家の竃は、見ての通りのちょっと粗末な石造り。次大夫堀の民家のような、黒光りする立派なものではありません。時代劇などでは、むしろこちらの方がお馴染みでしょう。あるいは年代の違いなのかもしれませんが、こういうところもちょっと庶民的な香りのする部分です。

かまど
かまど posted by (C)circias

多くの民家と同様に、ここでも竃の側には水回りが用意されていて、その排水は外の瓶で受けるようになっています。明らかに少量の水しか使えない設備ですが、どんな風に利用していたのでしょうね。後片付けなど水を沢山使う仕事は、もしかすると別の場所で行っていたのかも知れません。

流し
流し posted by (C)circias

流しの横には引き戸の棚があって、その上には徳利が並んでいました。下がっていた札によると、これは「貧乏徳利」と言うのだとか。なんでも、庶民が酒屋から酒を買ったりするのに使っていた粗末な徳利を、貧乏徳利と呼ぶのだそうです。名前の通り特に工芸的な価値はないものですが、半端な工芸品よりむしろ雰囲気があって魅力的に感じるのは私だけでしょうか。

貧乏徳利
貧乏徳利 posted by (C)circias

最後はお馴染み、囲炉裏と鉄瓶の組み合わせを。古民家はどこを撮っても絵になりますが、中でもどこか一カ所を選べと言われたら、誰でもきっとこの囲炉裏を取るでしょう。囲炉裏はある意味、古民家の象徴のようなものですからね。ちなみに、この民家園でも普段は囲炉裏に火を入れているそうなのですが、この日は囲炉裏ではなく竃の方に火を入れているとのことでした。

囲炉裏と鉄瓶
囲炉裏と鉄瓶 posted by (C)circias

民家園で囲炉裏や竃に火を入れるのは、単なる雰囲気作りのためではありません。この時代の民家というのは囲炉裏などの熱気や煙が天井を燻す事を前提に設計されていて、天井の腐敗や害虫の繁殖を防ぐためには、どうしても定期的に、できれば毎日煙でいぶしてやる必要があるのです。

逆に言えば、囲炉裏に火を絶やさなければ家は長持ちするという事。囲炉裏の火は、ある意味家にとっての命の火だったというわけです。なんだかそう考えると、日本の民家ってとても生物的な感じがしますね。

岡本公園民家園(2)

では次に、本命の民家園について・・・と言いたいところですが、再びちょっと寄り道を。敷地としては民家園内の事なのですが、建物本体とは関わりのない話題を一つ、ご紹介しておきたいと思います。それというのがこちら、写真は民家園入口に掲げられた看板です。

民家園入口
民家園入口 posted by (C)circias

まぁ菊花展と言ってもそれほど大きなものではなく、雨よけの小屋がひとつあるだけなのですけれどね。上の写真の右奥に見えているのが、その展示用の小屋。中には大きな菊の鉢植えの他、小振りな鉢植えと、数点の箱庭が展示されていました。というわけで、まずは鉢植えの写真を。

鉢植えの展示
鉢植えの展示 posted by (C)circias

ここの菊花展は、どちらかというと小振りの菊が多いようですね。画面中央右寄りの、まるで梅の花のような仕立てをした菊がなかなか風情があって面白いと思います。そして、さらに興味深かったのがこちら、箱庭作品でした。

箱庭(1)
箱庭(1) posted by (C)circias

恥ずかしながらこういった園芸には全く疎いのですけれど、調べてみたところ、菊の花でこうして箱庭を作るというのは、決して珍しい事ではないようですね。箱庭という単語で調べてみると、似たような作品が幾つも見付かります。

箱庭(2)
箱庭(2) posted by (C)circias

ただ、ここに展示されている作品はどれも、多摩の田園風景を題材にしているのが、一般の箱庭作品とは異なる特徴でした。恐らくは、民家園で行う菊花展のための作品だからということなのでしょうね。農村の風景を再現するというのは面白いですし、なかなかどうして雰囲気が出ています。

箱庭(3)
箱庭(3) posted by (C)circias

それにしても、こういった作品の状態というのは、どのくらい保つものなのでしょうね。以前、井の頭公園で都市緑化博覧会というのをやっていましたが、あの時に作られた緑の壁や植え込みなどは、一週間もすれば形が崩れてしまうようなものばかりでした。なにしろ植物は生きていますから、伸びたり枯れたりします。それも織り込んだ上で展示期間にベストな状態を持って来なければならないわけですから、結構難しいことなのでは。

というかこれ、植えているのでしょうか、それとも挿しているのでしょうか。それによっても、要求される技術のレベルは全然違って来ますよね。植えるよりは挿す方が現実的ではないかと思いますが、果たして。ともあれ、思いがけず楽しい時間を過ごすことができました。

岡本公園民家園(1)

だらけて過ごす時間には、二つの効果があります。それは環境次第では精神をリフレッシュさせる薬となり、一方で、環境次第では精神を腐らせる毒ともなるのです。そしてどうやら今の私にとって、それは後者であったようで。金曜の出張疲れと豪雨のため、昨日は本当に何もせずに過ごしてしまったのですけれど、御陰で今朝の私はすっかり無気力になっていました。

こんなときは、まだ行った事のない場所にでも探検に出かけて、スイッチを切り替えるのが一番です。というわけで今日は、世田谷区の岡本公園民家園に出掛てみる事にしました。ついでに、その隣にある静嘉堂文庫も見て来ようというわけです。出掛けたのは午後二時過ぎ、どんよりと重い空の下、折からの生暖かい風に吹かれつつ、野川を下りました。まず目指すのはこちら、野川と仙川の合流点です。

仙川と野川の合流点
仙川と野川の合流点 posted by (C)circias

画面手前が野川、そして奥が仙川。どちらも五十歩百歩のどぶ川ですね。NHKでは都会のオアシスなんてべた褒めしていましたけれど、オアシス化するのは小田急線から先の上流域だけです。砧近辺は特にどぶ臭く、切り立ったコンクリート護岸で、河原には下りられる場所もありません。同じ野川でも、流域の自治体次第で環境には天と地の差があると言っても大袈裟ではないでしょう。

とは言ってもかつてを思えば、これでも充分に奇麗になったと言えるのかもしれませんね。少なくとも水底が見えますし、泡も飛んでいませんから。子供の頃はよくここを通りましたが、その都度水の汚さに戦慄していたものでした。さて、そんな懐かしの(?)風景を左手に見つつ進むと、ほどなく橋に出ます。そこを渡って対岸に移動し、右折して川と並行に進むとすぐ見えて来るのが、こちら。

この角を左折します
この角を左折します posted by (C)circias

写真中央付近に見えているT字路を左折して直進すると、玉堤通りの「世田谷総合高校前」交差点に出ます。交差点を渡ってそのまま直進し、右手に高校を見ながら進んで行くと、やがて行き止まりに見えて来るのが、岡本静嘉堂緑地。そしてその左手が、岡本公園民家園です。

民家園駐車場
民家園駐車場 posted by (C)circias

上の写真は、突き当たりの交差点からやや左手方向を写したもの。画面左手に見えている駐車場奥に駐輪スペースがありますので、まずはそこに自転車を置いて、画面左手方向に回り込みます。岡本公園民家園はその名の通り、公園エリアと民家園エリアの二つの区画で出来ています。というわけで、まずはざっと公園エリアをご紹介しておきましょう。

岡本公園内
岡本公園内 posted by (C)circias

公園内には写真の通り、木々が鬱蒼と生い茂っています。今日は天気が悪いのであまり絵になりませんが、天気が良ければきっと木漏れ日がきれいでしょう。画面奥に少し写っているのは人工のせせらぎで、形式上は湧き水のように見えます。また、せせらぎは浅くて、子供が遊んでも危険がない程度のものでした。恐らく、子供が水遊びをすることも想定されているのだろうと思います。

湧き水の小川
湧き水の小川 posted by (C)circias

公園は、それほど大きなものではありません。せせらぎエリアの隣には小振りな池があり、橋が架かっています。さらにその先に進むと見えて来るのが、次の写真の竹林。これを抜けた先が、この公園の終点になります。写真にするとなにやら広々として見えてしまいますが・・・これはあれですね、写真の魔法という奴です。

竹林
竹林 posted by (C)circias

公園内はしんと静まり返っており、天気さえ良ければくつろぐのに良さそうな場所でした。ここで時間を過ごすなら、やはり夏場が良いでしょうね。全体的に木陰になっているので涼しいでしょうし、せせらぎの水音も心地良いと思います。もっとも、日陰で水辺という条件は蚊の最も好むところでもありますので、蚊取線香は必携であろうと思いますが。

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