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日々の便り

 

7年目の3.11

記憶は薄れるものだと言いますが、なるほど実際薄くなった記憶を自覚して見ると、その言葉の意味を実感させられるものです。7年前の3月11日、東日本大震災。あれは間違いなく私の人生の中でもトップ3には入るであろう大事件だったはずなのですが、今年はこの日がやってきたことを自覚したのは、夕方になってからでした。

記憶を薄れさせる大きな要因となって居るのは、やはり日々の忙しさです。まず明け方から出勤し、帰れば家事をこなし、へとへとになって眠るという毎日。そこへ数々のアクシデントやイベントが追加されるわけですから、その日をこなすことに必死になってしまっても無理はないでしょう。

実際、昨日だって予定外の負荷がありましたし、それに今週は会社の方でも来客やら出張やら、本来開発者であるはずの私の職分を超えたイベントが目白押しで、さらにはプライベートでの厄介ごとは日程を変更されるわ、もうなんというか、全部投げ出して逃げたい気分になって居るところだったのです。

これだけ多忙で不毛な毎日をなんとか「こなして」居る状態で、どうして過去のことなんてくよくよと考えていられるでしょうか。はっきり言いますが、何年も前の事をあぁだこうだとこねくり回して、想いがどうとか悲しみがどうとか、グダグダ実のない御託を並べて居るTV番組など、番宣だって胸焼けがするというものです。

そういえば今年に入ってから、まともにTVを見たことが何回あったでしょう。多分、片手で収まるのではないかと。なんでしょうね、この余裕のなさ。それは記憶だって薄まりもしましょう。なぜって、それを覚えていたところでいま目の前にある困難を片付けるのには、全然全くこれっぽっちも役に立たないのですから。つくづく、くよくよできるのは暇人の特権だと思いますね。

とはいえ。だからと言って忘れてはならないこともあります。それは、災害に備えるといういこと。今年に入ってから、備蓄用の水を更新しました。そろそろ乾パンの方も入れ替えないといけませんね。入れ替えるのはいいとして、古い乾パンをどう処分したものやら。まぁ普通に美味しいので、お茶菓子として消費すれば、3ヶ月くらいでなくなるでしょうか。

サバイバルシートなるアルミシートは、リュックと会社用のカバンの両方に常備。非常食は袋入りのキャラメルを。これは、カロリーメイトだとすぐ砕けて無駄になってしまうためです。強力なLEDライトもカバンに常備していますし、携帯の予備バッテリーも定期的に再充電して居るので、いつでも使える状態。この辺りは抜かりなく。

あとは避難経路の再確認と、何かあった時の心構えくらいはして置いたほうが良いでしょうか。そう、大事なのは慌てないこと、急がないこと。あの日見た足を痛めた帰宅困難者たちのゾンビウォークは、もう映像として思い出すことはできないほどに風化した記憶になってしまいましたけれど、自らも足を痛めた経験とその反省は、まだちゃんと記憶に残っています。

それにしても、もう7年ですか。本当に、早いものですね。そういえばあの頃はまだ祖母が生きていて、ちょうど介護で色々と大変な時期でしたっけ。そう考えると、今の方が自由も多いし負担も少なくなって居る筈なのですけれど・・・おかしいですね、何故私には全然自由がないのか。相変らず「自由時間」はあっても「休日」はない毎日なのですが。

それはともかく。発生が予測されていながら未だ発生しない大地震がいくつもストックされて居ることですし、今後も油断なく備えていくしかないのでしょう。気象庁も匙を投げたように、地震の予知が困難である以上、常に万全の備えなど机上の空論、できもしない理想論であるわけで。ならば、最悪の結果だけは免れられるように、少しずつできる範囲で備えておくしかないのでしょうね。


そして6年目

震災から6年目、今年もこの日がやってきました。そろそろ忘れる頃かと思っていたのですが、案外そうでもないものですね。NHKは相変わらず震災特集が多いですし、鉄道会社も震災の時間にあわせて列車の緊急停止訓練を行ったりと、震災関連の話題やイベントはそこかしこで。今日はいつも通り高尾山から縦走していたのですが、その途中でも老人とお孫さんが、「そろそろ時間だね」なんて話をしているのを目にしたりもしました。

私自身はどうかといいますと、実は先日地図とGoogleのストリートビューをあわせて、あの日の晩の移動経路を分析してみたりしていました。自分としてはあの時の出来事をしっかり覚えていたつもりなのですけれど、確認してみるとこれが案外そうでもなかったという事実に、少々驚かされたものです。

まず、出来事の順番が出鱈目になっています。案外、時系列での記憶って疑わしいものですね。景色はしっかりと記憶していますので、ストリートビューでその場所を確認すると、覚えている順番と実際の景色の順序が一致しないのです。記憶の順番だと、私はあのコースを何往復もしたことに。恐らく、時系列ではなく印象の順番に置き換えられてしまったのでしょう。

そしてもう一つ。どこの景色だか分からない記憶が、幾つかあるのです。景色が変わった可能性もないわけではないですが、どちらかというと、どこかで想定したコースから一時的に外れていた可能性の方が高そうです。そして最後に、スタート付近の道順が、覚えているのと地図とで食い違っている、ということ。覚えている道順だと、あの日使った国道246号線に出ないのです。これは恐らく、あの後一度大型台風で歩かされた日の記憶と混同しているのだと思います。

あれから事あるごとに、毎年一回以上はあの日の出来事を思い出していたはずなのに、この有様。なるほどこれでは、司法において「証言」の重みが軽いのも無理はありません。人間は時間が経てば、記憶を順不同に並べ替え、他の記憶とさえ繋ぎ合わせ、混同し、ときに捏造し、あたかも以前からそう覚えていたかのように錯覚する生き物なのです。ですから、記憶を語るにはまず、なにがしかの証拠と照らし合わせなければならないのですね。

「記憶を語る」ということは、あたかも尊い事であるかのように扱われていますけれど、証拠のない記憶の価値など、そう高いものではないということです。何しろ人間は、誤りを繰り返すうちにそれを正しいと誤認し、嘘を繰り返すうちに虚言と実体験の区別がつかなくなる生き物。冷静に客観的にやっていてこれならば、そこに感情を大いに加えて語られる記憶など、なおさらあてにはなりません。

ですから、必要なのは「記録と分析」であって、「記憶と想い」ではないのです。前者は防災に寄与しますが、後者は何の役にも立ちませんし、時間が経つに連れて、必ずどこかに誤りや嘘が、しかも無自覚に入り込むのですから。なのに相変わらず世間は後者の方がお好きのようですね。あの日以来ずっと、そういうメディアの在り方に歯がゆさを感じています。

ところで、今年は福島関連のいじめの問題が取りざたされていましたね。いつも不思議に思うのですけれど、ああいう事件の被害者って、どうして自分のやった「盗み」について全く追求されないのでしょうね。そもそも親のお金を盗めるというのがまず人間的に破綻していますし、その行為をいじめのせいにしているのがまた救えません。

まぁこういう人は、理由付けさえあればなんだってやるのでしょう、保身のために。それでいて、自分の行いの責任まで相手に押し付けて、自分は哀れな被害者でございます、と。それってあんまりじゃありませんか。なら極端な話、脅されて恐ければ、その恐怖から逃れるためにどんな罪を犯しても、それは脅した奴が悪いということになりますよね。そんな馬鹿な話がありますか。そういえば、昔見たとある作品に、素晴らしい台詞がありました。確か、こんな台詞です。

「善人だろうが、弱者だろうが。悪事に加担する奴は、死んで当然なんだよ!」

さすがに「死んで当然」は如何かとは思いますが、しかし、弱者である事が免罪符にならないという点については、全面的に同意です。お上品ぶって人権を連呼するような連中が見て見ぬ振りをする不都合な真実を、ズバリと言い切ったところが実に痛快でした。こういうのって、真面目ぶった作品にはまず出て来る事がない台詞なんですよね。なお当然、法的にも弱者である事は無罪の理由とはなりません。多少の情状酌量はあるかもしれませんが。

もっともこの場合、問題が親子間なので、実は法律的には「窃盗」は成立しないのです。といってもそれは法制度上の手続きの事であって、盗んだという事実が無くなった訳ではありません。あくまで司法が処罰しないというだけで、行いが正当化された訳ではないのです。誰もそれを指摘せず、まるで何もかも虐めた奴が悪いかのような、そんな報道にはいつも胸が悪くなります。

復興の話にしてもです。避難指示が解除されたのに、戻る人がほとんど居ないのが問題だの、そのために政府が取り組むべきで云々って、何を言っているんでしょう。6年ですよ、6年。それだけの時間別の地域で自活すれば、当然そこに経済基盤を築きますし、人間関係だって再構築されるものです。それは震災云々に全く関係なく、引っ越しすればそうなって当然、そうならない方が異常でしょう。誰がそれを破棄してまで戻りたいなどと思うものですか。

挙げ句の果てに、「周囲が戻らない事を理解してくれず、地元の人から孤立して行く」だとか。凄いですね、日本人の村根性。この場合、戻れない事情を抱えた人が可哀相と言うより、戻らない事を批判する人が気持ち悪いだけですよね。私なら、そんな気色悪い人間など、嬉々として切り捨てて新しい人間関係を構築しますが。そもそもそんなことだから、田舎から若者が居なくなるのではないですか。

報道の頭がおかしいのはいつもの事ですけれど、震災関連の報道のボタンの掛け違いっぷりは、あの日から何も変わっていないどころか、ますます酷くなるばかりです。一方で、そんな愚にもつかないことを取りざたしているまさにそのNHKが、極めて科学的に地震や津波、その時の人々の行動などを分析した特集番組を組んでいたりもする訳で、一概に放送局がおかしいとか、報道は駄目だとか、そういう決めつけをするわけにもいかないからまた複雑なのですが。

考えてみるに、「記録と分析」をやりたがる企画者はまともで、「記憶と想い」をやりたがる企画者は、概ね頭が残念ということなのかも知れません。何より気になるのは、果たして、番組としてはどちらの需要がより大きいのかということなのですが・・・まぁ大体お察しですけれど、前者であって欲しいと願わずには居られないのです。たとえそれが空しい願望に過ぎなかったとしても。

さて、延々と報道についての文句を書き連ねてしまいましたが、最後に少し前向きな事を。実は鞄を新調したついでに、防災用品を二つ程追加しました。ひとつは強力なLEDペンライト、もうひとつは「サバイバルシート」と呼ばれる、保温シートです。これでまたあんな事があっても、明かりがなくて困ったり、寒さに震えたりする必要はないでしょう。ペンライトの電池は定期的に交換する必要があるので、注意しなければなりませんが。

相変わらず難題なのが、携行非常食ですね。カロリーメイトはどうあっても粉になってしまうので、とうとう諦めました。今はキャラメルを持ち歩いていますが、これも夏場はべったべたになってしまって微妙なのですよね。何かもっと携帯し易く、崩れたり溶けたりしない非常食があれば良いのですが・・・。

あれから6年経ったとはいえ、防災意識の方は意外と衰えていないようです。6年目で安心出来る事は、これ一点のみですね。まぁ世間がどうあれ、あるいは報道がどうあれ、少なくとも備えておく事の意義は変わりません。定期的に地震の事を思い出し、備えを点検する事だけは、これからも続けて行きたいものだと思います。


今年で4年目

気がつけば、もう3/11なのですねぇ。毎日が忙しいとつい忘れてしまいそうになりますが、あの大地震からもう4年になる訳です。今年もNHKはだいぶ熱心に震災特集を組んでいますが、それでも忙しい日常を過ごしていると、今日があの震災の日だったということさえ忘れてしまいそうになります。なるほど、確かに記憶は風化するものなのですね。

幸いな事に、東京暮らしの私は「帰宅困難者」になったことを除けば、特にこれといって被害を受けませんでした。ですから、あえて毎年あの日の体験をグダグダと書き連ねる意味は、あまりないと思っています。ただ自分に対する戒めとして、3/11が生まれて初めて体験した大地震の日だったということだけは、忘れないように日記にしておこうと思うのです。

あの日のイメージとして今でも思い出すのは足の痛みと、慣れない長距離歩行で足を引きつらせ、ゾンビウォークで家路を急ぐ人々の不気味な姿ですね。揺れ自体のイメージは少しあやふやになり始めているのに、夜中の国道沿いで見たあの光景は、どうしたわけか酷く印象に残っているのです。つまり、それだけあれは、異様な光景だったということなのでしょう。

あの日以来、「防災」という意識は以前よりも強くなったと思っています。非常食と非常用の水の備蓄はきっちりするようになりましたし、鞄にはいつも携帯ラジオとエネループを忍ばせています。自宅のエネループのストックも定期的に充電をやり直し、常に満充電状態をキープ。それから、鞄には一応カロリーメイトを常備。あの日の私にこれだけの備えがあれば、もっと余裕を持って行動出来たことでしょうね。

少なくとも今のところ、震災から得た貴重な教訓を忘れてはいないようです。まぁ私個人としては、これで充分なのではないかなと。とはいえまだ4年。この備えをあと5年、10年と維持し続けるには、やはり定期的に震災を思い出す事が必要になるのでしょう。なにしろ人間は忘れる生き物ですし、日常の慌ただしさはある意味忘却の魔法ですから。


あれから三年

毎年の事ですが、ひとつの節目ですので、今日はあの日の事を振り返っておこうと思います。といいましても、体験した事を毎年ただ書き連ねるだけでは芸がありませんし、そもそも意味がありませんよね。記憶の風化は確かに憂慮すべき事なのでしょう。だからといって、くよくよ蒸し返す事が記憶の保存になるわけでもありません。

そのとき何を感じたかなどという感情論は、防災上最も要らないものです。そんな記憶など忘れてしまって宜しい、感傷で救える命など無いのですから。被災当初から冷静になれというのは酷かもしれませんが、もう三年です。そろそろ頭を冷やしたって良い頃でしょう。思い出すべき事は、もっと他にある筈です。

私があの日学んだことはといえば、まず、行政や公共機関は思いのほかあてにならないということでした。公共機関は人を受け入れるどころか、シャッターを下ろして締め出していましたからね。つまり基本的に、危機的状況下において頼れるのは自分だけなのです。避難所に行くべきだなんてTVは嘯きますが、そんなものはどこにもありませんでしたよ。

もうひとつは、ああいった状況では本当の意味で冷静になるのは難しい、ということ。それほど急いだつもりはなかったのに、5時間の徒歩の旅で靴は壊れ、足は腫れ上がってしまいました。これは、無茶な歩き方をした何よりの証拠。自分が冷静でないことをまず自覚した上で、体に過負荷をかけない行動を心がけなければなりません。

そして何より、事態を打開するのは情報であるということ。ポケットラジオや携帯の予備電源は常備するべきでしょう。食料や飲み物もあればベストですが、日常これを持ち歩くのはあまり現実的ではありませんね。当初私はカロリーメイトを二箱持ち歩いていましたが、すぐに粉々になってしまうため、今は一箱に減らしています。

とりあえず鞄の中身をチェックし、バッテリーを再充電して、私の反省会は御終い。

あの日を振り返るというのなら、それは今後のための反省であるべきだと思います。行政の対応、地域の対応、公共機関の対応は実際にはどうだったのか、どう備えれば同じ轍を踏まずに済むのか。そういう事が何より社会的に論じられるべきなのではないでしょうか。

うやむやのままに三年が過ぎて、果たして日本は少しでも災害に強くなったのでしょうか。相変わらずただ騒ぐだけの報道に、ただ踊るだけで何か考えた気分になっている大衆。お祭り騒ぎについていけなくなった人たちは苛立ち、目を背け、結局必要な教訓は忘れられて行く。三年後の今、目の前にあるのはそういう現実であるように見えます。

もしこれが改められる事無く続くなら、あの日の出来事がただの歴史になるまで、そう長くはかからないでしょうね。阪神淡路や奥尻、そして他の震災がそうであったように。


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