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日々の便り

 

New Year's Concert 2019

些かならず遅刻しましたが、今年もよろしくお願いします。本来ならば年明け早々に何か書こうと思ってはいたのですが、正月明けからいきなり体調を崩しまして。風邪から気管支炎になり、そのままずるずると一ヶ月引きずって今日まで。いまだオカリナの演奏すらまともにできない有様で、そろそろ登山欠乏症の禁断症状が出そうな今日この頃。そんな鬱々とした年明けの一ヶ月でしたが、そんな私に丁度良いものが届きました。



今年もリアルタイムで楽しませていただきましたが、いやいや毎年ながら素晴らしい演奏でしたね。2017年のニューイヤーほどのインパクトはありませんでしたが、堅実さと新鮮さがほどよくバランスのとれた、実に飽きのこない素晴らしいコンサートでした。どのくらい気に入ったかといいますと、その勢いでティーレマンのベートーベン全集をポチったくらいでして・・・。そちらについては、また次の機会にでも。

さて、そんな素晴らしいニューイヤーコンサートのCD、わくわくしつつ一曲目を再生してまず思うのは、「音が良くなったなぁ」ということです。かつてはSONY + クラシックって最低最悪の取り合わせで、あの頃の音を一言で言うなら「お風呂場クラシック」とでも言いましょうか。DTM作品ばりにメタメタに音を加工してしまうため、演奏が台無しになってしまっていたのですけれど・・・ここ数年のSONYのCDからは、かつての悪癖がほとんど感じられません。

当然音は加工しているのですけれども、その加工がかなりナチュラルな印象になっているのですね。録音の時点で自然な音なんてあり得ない上に、再生環境がさらに音を歪めるわけで、オーディオで自然な音なんてものはあり得ないのですけれど、それでも「自然っぽく」聞かせてくれるこの編集技術には、目を見張るものがあります。

部屋にふわっと広がる軽やかな木管の高音、体を打つような力強い金管の中音、引き締まった打楽器、そしてウィーンフィルならではのつやっつやの弦楽器。一曲目の「シェーンフェルト行進曲」から、その素晴らしい音を堪能させてくれます。本当、嘘みたいにクリアですね。ボリームを目いっぱい上げているのに音がダマにならない。故に、この一曲目のわくわく感がダイレクトに伝わります。

躍動的で鮮烈な若々しさを魅せた2017年、一転してコテコテの保守だった2018年ときて、今年の演奏はその中間という印象。勢いが良すぎてぶっ飛んでしまうようなこともなく、あくまでバランスの良さは維持した上で、やや若々しい印象にまとまっていると言いますか。

一曲目は厚みと迫力をを感じる冒頭からふわっと軽やかなマーチへ。スピードやパワーではなく、ぐっと入った力をふっと抜くタイミングと加減の妙が、曲に心地よい躍動感を与えているように感じます。これはこの指揮者の特徴なのでしょう、いわゆる「お馴染みの曲」でも、アクセントを入れる位置や加減が独特なので、だいぶ印象が違って聞こえるのです。まぁ、これは評価の分かれるところなのでしょうけれど、少なくとも私は好きですね。

曲順と選曲もまた秀逸。これも近年の特徴ですが、ひと頃の指揮者のように似たようなポルカを連打して退屈させるようなことは、決してありません。そしてやはり注目せざるを得ないのは、今年が初の曲たちです。曲としてはそんなに好みではないのですが、4曲めの特急ポルカは良い選択だったと思います。

ポルカとワルツはニューイヤーの花形であり定番ですから外せません。しかし一方で、あまりに定番化しすぎてマンネリ感があるのもまた事実。そんなポルカの枠に、定番と同じ特徴を残しつつ新しさをも同時に感じさせるこの曲を入れてきたのは、上手いなぁと思いました。

個人的なお気に入りは、まずは第二部一曲め、トラック7の喜歌劇「ジプシー男爵」序曲です。毎年、前半後半の一曲めはつかみの一曲ということもあり、印象深い曲になることが多いのですよね。この曲は曲自体が好きであることに加え、今年の起伏に富んだ、それでいて実に滑らかで上品にまとまった演奏に惚れ込みました。フォルテよりピアノにゾクゾクするタイプの演奏ですね、これは。

今年初登場シリーズのひとつ、「エヴァ・ワルツ」もオススメの一曲。騎士物語の歌劇のための曲のようで、冒頭はなんとも勇壮で壮大な印象です。よもやここから憂いを帯びた美しいワルツへと繋がるなど、誰が予想できましょう。新鮮な驚きとともに、艶やかなワルツを楽しむことができます。

もうひとつの初登場曲、「幕間のワルツ」は、これまた独特なキャラクターを持つ作品。私は「目次」または「表紙」という印象を受けました。特にBGMっぽい印象の曲とでも言いましょうか。曲と一緒に何かの解説の動画でも流したら合いそうな気が。なるほど「幕間」というテーマに実によく合致した作品だと思います。

最後に、毎年指揮者の違いがもっとも現れる、結びの二曲について。まずドナウですが、美しさが際立つ演奏だったような気がします。保守的な指揮者がよくやるスロースタートですが、それでいて嫌らしいしつこさは感じさせず、リズムに乗ってからはティーレマンならではのアクセントの妙で軽やかに。テンポを結構大きく揺らすタイプの演奏なのに、こんなにも全体の印象は軽やかでスムーズになるものなのだなと感心させられました。

そして締めのラデツキー、ティーレマンは聴衆を細かく指揮するタイプのようですね。手拍子が入る部分はだいぶ少なめに抑えられていますが、それでいてアクセントとして丁度良い塩梅にうまくコントロールされています。全体的に「お祭り騒ぎ」的な楽しさはありませんが、逆に聴衆との一体感を感じさせる、楽しい演奏でした。

一言でまとめると、つまりクリスティアン・ティーレマンとは、「巧い」指揮者なのだなと。楽しいのに上品という、なかなか見られないバランスのニューイヤーコンサートでした。これは2017年のとはまた違った意味で、何度でも聴けそうなアルバムです。

NEW YEAR'S CONCERT 2017

○NEW YEAR'S CONCERT 2017
ニューイヤー・コンサート2017

今日は久々に、音楽の話題を少々。いつも新年の楽しみの一つとして欠かさず中継を見ているニューイヤーコンサート。数年前までは必ずCDも購入していたのですが、ここ数年はCDやレコードを買わずにいました。というのも、内容があまりにパターン化しているように感じてしまって、ちょっと食傷気味になってしまったのですよね。あとは、演奏。地デジのせいもあるのでしょうけれど、どうもこのところ、いまひとつこう、熱を感じなかったもので。

しかし、今年のニューイヤー・コンサートは、ひと味もふた味も違っていました。まず何と言っても指揮者が若い、ということ。今年の指揮はグスターボ・ドゥダメル氏ですが、1981年生まれですので、まだ35歳ですか。しかも国籍はベネズエラというのも珍しいと思います。

若い指揮者の良いところは、まず演奏が派手になりがちだという事。曲によっては老練で繊細な色気のある演奏の方が良いのですが、なにしろニューイヤーコンサートはお祭りです。楽しく明るくが基本ですから、この「若さ」は間違いなくプラスに働く筈。実際、今年の演奏はときに荒々しく、実に元気の良いものになっていました。

また、若い指揮者は選曲が自由です。保守的な指揮者の年は、延々と似たような調子のポルカを連打されてうんざりすることもあるのですが、今年のニューイヤー・コンサートは、ポルカに胸焼けを起こす事がありませんでした。飽きさせない選曲と曲順の構成は、コンサート全体の緊張感を保ち、聞く側を疲れさせません。御陰で、今年のニューイヤーは時間が経つのが早過ぎると感じた程でした。そんなわけで、聞き終えたその場でCDを予約してしまったのです。

そして昨日、そのCDが届いた訳ですが、まず一曲目の「ネヒレディル行進曲」で驚かされました。発売元がSONYになってからの音質は正直全く好みではなかったので、正直音質にはこれっぽっちも期待していなかったのですが・・・なんですか、今年のニューイヤーはCDの音質までひと味違っているような。

地デジでこの一曲目を聞いたときの感想は、「薄い」「粗い」というものでした。ストリングスの艶がですね、全然伝わって来ないのです。そのくせアクセントはやたら強いし、音の強いところはまとまりがいまいちだしで、聞きはじめの印象は正直なところいまひとつだったのですよね。「あー若いなぁ」と、そんな印象で。

ところがです。CDで改めて聴いてみると、これが実に力強いのです。薄いなんてとんでもない、「荒い」ところはあっても「粗く」はない。所詮地デジ音声はAACってことなんでしょうね。そしてこの曲は運の悪い事に、AACで失われてしまう部分にこそ「美味さ」が載っていたと、そういう事なのでしょう。艶やかで力強いストリングスの奏でるマーチに、いやが上にも気持ちは昂ります。まさにお祭りの一曲目、という作品でした。

次にお勧めなのが6曲目、「ヴェネチアの一夜」より、ポルカ・シェネル。典型的なシュトラウス節のポルカなのですが、それでいて「あぁまたこれか」というくどさを感じさせないアレンジ感が魅力的な作品です。そして、その作品を大いに盛り上げる起伏豊かな演奏がまた、実に心地良いのですね。私は近頃は「ポルカ・シェネル」と言われるだけで興味を失っていたのですが、この作品は本当に別格で、大いに楽しく聴かせて頂きました。

7曲目のスッペ作「スペードの女王」序曲も、ニューイヤーコンサートでは珍しいタイプの曲でしょう。まるで月明かりの回廊を忍び足で進んで行くかのような雰囲気の序盤から、少し怪しげな感じの前半。このあたりは、ニューイヤーコンサートらしからぬ雰囲気なのですが、曲も半分を過ぎたところから一気に勢いを増し、逆に「ニューイヤーコンサートらしい」雰囲気に。

終わってみればこの一曲が、コンサート第二部の序曲としての機能をしっかりと果たしているのです。この選曲が上手いというか、ニクいというか。この曲は初演奏らしいので、純粋にこの指揮者のセンスが輝いたポイントであるとも言えますね。

9曲目のニコライ作「月の出の合唱」もまた、意外性に富んだ選曲でした。よもやこんな厳かな合唱を、ニューイヤーで聴く事になろうとは。しかし、その奇抜さが全く嫌味なく、続く「らしい」曲達を引き立てる役割を果たしているのです。御陰で最後まで飽きさせられる事なく、常に新鮮な気持ちでコンサートを聴き終える事ができました。

というわけで、今年のニューイヤーコンサートは、曲よし、演奏よし、CD音質も良しという訳で「買い」だと思います。まぁクラシックファンの皆さんは、そんな事を言われるまでもなく、とっくにCDなりBDなりをお持ちなのでしょうけれど。

それにしてもつくづく思うのは、地デジの音質は、もうちょっと何とかならないのかなぁということですね。AACのスカスカ音質でも楽しめるには違いないのですが、せめてこのCD音質で聴くことが出来たならと、思わずには居られないのです。それが素晴らしい、楽しいコンサートであればこそ。

RAY

注文したのは去年の事なので、そもそも予約していたこと自体忘れていたのですが、BUMPの新作が発売されたのですね。小包が届いて初めて思い出すというのもファンとしてはいかがなものかとは思いますが、まぁなにしろ三ヶ月も前の事なのですからね。忘れもするでしょう、普通。そもそもなんだって三ヶ月も前に予約させるのだと。

というわけで早速開封してみましたが、相変わらずジャケットが奇麗ですね。つくづく思うのですけど、BUMPはレコードを出して欲しいです。今までで一番好きなのはfireflyのジャケットですが、今回もなかなか。この白いシルエットは、Orbital Periodでジャケットを飾った「鳥の星」ですよね。

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タイトル  :RAY
アーティスト:BUMP OF CHICKEN

一曲目の"WILL"は満天の星が似合いそうな、壮大なイメージのインストです。喩えるなら深夜の丘の上で、遠い星の輝きに思いを馳せるような。高音のシンセが遠さを感じさせるのと、序盤が静けさや冷たい空気を連想させる雰囲気なので、空を見上げるような絵になるのではないかと。

"虹を待つ人"はfireflyと似ていますね。メロディは全然違うのですけど、なんというのでしょう、曲の持つ全体的な雰囲気が似ているのです。ほのかな光からまばゆい光への移行のイメージといいましょうか。ただ、明度の変化はこの曲の方がハッキリしているような気がします。映像を当てるなら、朝焼けや曙光が似合いそうですね。

fireflyも好きですが、こちらの方が「何かが始まりそうな」感じがして、より心地良いと思います。アルバムの実質的な一曲目にはぴったりの選曲だと思いました。BUMPはいつも曲順に物語があるのが良いですね。

次は表題曲の"ray"。イントロはちょっとキュートな感じで、女性ボーカルの歌のような雰囲気です。メロディラインは暖かみのある明るい雰囲気で、明るくて透明感のある日差しのような曲でした。朝の住宅街の風景が似合いそうですね。続く"サザンクロス"はどことなく"東京讃歌"を思わせる雰囲気のメロディラインです。

"ラストワン"は語りかけるような歌い方が特徴的で、ちょっと"かさぶたぶたぶ"を思い出しました。"morning glow"はイントロがオリエンタルな感じで独特です。主旋律はたゆたうようなイメージの前半と、転じて安定感の出るサビの対比が飽きさせません。

"ゼロ"はFFかなにかの曲でしたね。なんというか、序盤はスクエニっぽい雰囲気がよく出ていると思います、好みではありませんが。これと"Smile"は、シングル「ゼロ」の収録曲ですね。他に、"firefly"もシングルの収録曲。アルバム「firefly」の二曲目"ほんとのほんと"は、このアルバムには入っていないようです。

"white note"は、アコースティックでちょっと南国っぽいとでもいいましょうか。個人的には朝の海辺の映像が似合いそうな気がします。前半のメロディがBUMPの作品としてはちょっと新しい感じがしました。後半は、いつものBUMP節ですけれど。全体的に「休日」って感じがするのが好きです。

"友達の唄"は、何かのアニメのテーマでしたよね、聞くのは今回が初めてですが。この曲は子供に語りかけるような、とても優しい雰囲気の作品です。ただ優しいだけではなくて、なんとなくセピア色で少し切なくて、いかにも物語の終わりというイメージでした。この曲もとても良かったと思います。

"(please) forgive"は、今度は転じて大人向けの唄。ちょっと捻りの利いたAメロと、少なからず実感のある序盤の歌詞が印象に残ります。そして結びは"グッドラック"。背中を押して送り出すような、タイトル通りの雰囲気の作品です。

相変わらず外れの少ない、とても聞き易いアルバムでした。前回の「COSMONAUT」も粒ぞろいでしたが、曲のまとまりの良さにしても表現の豊かさにしても、そして歌唱の上手さにしても、さらに一歩前進した感があります。特に序盤の数曲は、どの曲も甲乙付け難いですね。

ただ、大体の曲がいつものBUMP節なのも相変わらずです。一方で、"white note"は良い意味で期待を裏切られましたね。BUMPのアルバムは大抵、一曲だけちょっと新しい感じのする曲が入っているのですが、今回はこの曲がそれなのではないかと。どの曲が一番印象的だったかと言われれば、多分この曲なのではないでしょうか。ボーナストラックを除けば、ですが。

たっぷり浸らせて感動させておいて、最後に全てを台無しにするボーナストラックは相変わらず健在ですので、くれぐれも脱力のし過ぎにはご注意下さい(笑

ひとみみぼれ

私は普段、ほとんどJPOPを聴きません。色々と理由はあるのですが、歌詞が言葉として美しくない、むしろ音としては間抜けな、あるいは醜悪ですらある連結や切り方を平然と歌っているのが、聞くに耐えないというのがあります。ましてや、思春期をこじらせたような単語の羅列など。

言葉を曲のひとつの要素として扱うのであれば、当然それは音楽的な意味合いでの吟味と、言葉の側面からの吟味を同時に加えられていて然るべき筈。そうでなければそれは歌詞でなく詩、ないしただの音に過ぎないものというべきでしょう。

意図的にただの音にするというアプローチはまたひとつの技法としてあるのですけれど、あれはそんな高尚なものでは有り得ません。
ですから逆に、言葉を美しく扱える歌手を見付けるというのは、とても嬉しい発見なのですね。思わず即座にCDを注文してしまう事さえある程です。というわけで注文してしまいました、こちらを。

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アルバム  :ひとみみぼれ
アーティスト:秦 基博

きっかけは、NHKのSONGSでした。別に見ようと思ってみた訳ではなく、家族が付けていたTVを通りすがりにちらりと見たのです。そのとき秦さんが歌っていたのは「鱗」という曲。何気なく耳を傾けた私は、思わずそのまま最後まで聞かされてしまったのでした。

歌詞自体のまとまりについてはもちろんのこと、通常の文章にも通じる一貫性や比喩の技法、そして大仰ではなくそれでいて写実的な言葉選びのセンス。それらは、ひとを惹き付けるに充分足るものです。でも彼の技術は言葉選びだけではありません。曲の造りもまた自然で、展開は実にスムーズ。そして何より、歌がうまいのです。

こんな人がいたのか、と。歌詞、曲、そして歌唱力。三拍子揃った彼に何か欠けたものがあるとするならば、それはルックスくらいのものでしょう。だからどうしたというのです、そんなものは飾りにすらなりません。大手の会社にはそれが分からんのです。

そんな訳で衝撃を受けた私は、自室に戻るなりAmazonで検索をかけ、このCDを注文したのでした。このアルバムは、どうやら秦さんが自分で選んだベスト盤のようです。つまり、お気に入り曲集というわけですね。秦 基博という人物の音楽を知る上で、これ以上にふさわしいアルバムはないでしょう。

まずは歌詞カードを開いて、ざっと流し読みしてみます。ラブソングもありますが、より広義での愛の歌、人生の応援歌という感じの作品が多いようですね。そしてなにより特筆したいのは、「使い古されたドラマチックな表現が見当たらない」ということ。

こんなフレーズではこんな言葉、サビならこんな感じという、手垢まみれの脂臭いフレーズはありません。使われているのはどちらかといえば平易で控えめで、そしてリアルな表現。描き出される世界にもまた、作り物じみた激情やドラマなんてありません。でも、そこには確かに動く気持ちがあって。この歌詞達はまるで、それらをそっと掬い上げて繋ぎ止めたかのようです。

曲は比較的アコースティックでカジュアルなものが多いようですね。ギターを多用される方なので、基本的に健やかな雰囲気になります。ただ、一本調子にはなりません。爽やかにギターをかき鳴らす"SEA"、ゆったりとしたアルペジオで歌い上げる"My Sole, My Soul"など、曲毎の表情変化は豊かです。

私のお気に入りは二曲目の"月に向かって打て"。歌い出しの歌詞があまりに印象的で、しかも生活感に溢れていて。でも、五曲目の"SEA"もなかなか良いですね。特にこのワンフレーズにはぐっときました。
"今度は君も連れて来よう 休みの日に その方がもっと楽しい"

「〜連れて来よう」までは普通でしょう。でも、その方がもっと楽しいというリアルな気持ちを飾り気なくさらりと、本当にさらりとメロディに乗せるその自然さが魅力的なのです。

十曲目の"風景"は歌詞の通り、春のはじめの暖かい日に聴きたいような作品ですね。ゆったりと穏やかながら力強いメロディが魅力です。
揺らぐ水のようなギターが魅力的な十一曲目、"プール"もまた穏やかな一曲。この曲も、聴いていると肩の力が抜けるようで好きですね。

穏やかながらほのかに苦い十三曲目、"やわらかな午後に 遅い朝食を"は是非とも聴いて頂きたい一曲。働く男性ならば、共感出来る方も多いのではないでしょうか。
私はしばしば過労のため週末に体調を崩すので、この曲のリアルな歌詞に参りました。静かに始まるちょっと薄暗い序盤は、遅く起きた日の薄暗い部屋の光景を思い起こさせます。

決して絵空事ではない、でも無駄に赤裸々だったり下品であったりはしない。普通の人間が普通に感じられる筈の世界を普通に描いた、それでいてどこか愛しい歌詞の数々。そして曲や歌の上手さは、近年のJPOPにはなかなか見る事の出来ないものです。

使い古された大袈裟な歌詞、売れ筋フレーズの使い回しとリピート、無理矢理な展開の継ぎ接ぎフレーズに飽き飽きしてはいませんか。でも、JPOPを見限るのはちょっと待って下さい。ちゃんと居るのです、そんな濫造品とは根本的に違う、血の通った音楽を作る歌手も。大手レーベルではないですけれど、ね。


Heavy Weather

台風は各地で猛威を振るっているようですが、今日の東京は朝方こそ荒れたものの、午後からは時折晴れ間さえ覗くほどで、不思議な静けさでした。
これは所謂、嵐の前の静けさという奴でしょうか。風は穏やかなのですが、ねっとりと肌に絡み付く猛烈な湿度が、空気に妙な質量感を与えています。

遠くで低く轟いているのは果たして風の音か、あるいは高速道路の騒音でしょうか。こう長い事なり続けているところを見ると、あるいは後者かも知れませんね。そういえば、雨の前には遠くの音が聞こえるものだともいいますし。

こんな天気ですので、今日は一日中、家の中で過ごしてしまいました。やっていた事と言えば、専ら整理整頓・・・あとは、これでもかと言わんばかりに音楽をかけまくっていました。今日ほどオーディオが活躍した日も、なかなかないでしょう。というわけで、今晩もまた少し、音楽の話を。

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タイトル  :Heavy Weather
アーティスト:Weather Report

先日は私の苦手なWeather Reportを紹介してしまったので、今度は私の大好きなWeather Reportを。ちなみに、なぜこんなタイトルなのかは謎です。別にそういう名前の曲が含まれているわけではありませんし、嵐を彷彿とさせるようなコンセプトのアルバムでもないのですよね。

このアルバムを私に紹介してくれたのは、いわばベースの先輩とも言える方。その頃の私はギターではなく、ベースを弾いていたのです。スタイルはツーフィンガーで、中古で購入したベースを毎日のように弾いていました。あの頃は父も失業していませんでしたし、祖母の認知症もまだ軽かったので、私にも自由時間があったのですよね。

このアルバムを紹介された理由はもちろん、ジャコ・パストリアスのベース。とにかく凄いからというので聴いてみた訳ですが、なるほど、実際凄まじい技術です。お手本にするにはさすがにちょっと遠過ぎる存在でしたね。
しかしそれ以上に感銘を受けたのは、このアルバムの・・・こういう大袈裟な言い方はあまり好まないのですが・・・所謂、音楽性という奴で。

まず一曲目のBirdland、イントロの印象的な低音フレーズの繰り返しから管楽器が加わるところまでで、ころりとやられました。キャッチーで印象的で、それでいてPOPのような短期決戦型の音楽ではないのです。ゆっくりと展開して、独特の世界を描くのですね。

特にJPOPの世界では、キャッチーであるという事は即ち、一種の短い繰り返しの形式に縛り付けられたパターンの音楽である事を意味します。一例を挙げるならばA-B-サビの形式ですね。種類は色々あるのですが、いずれにしてもキャッチーである事と自由である事は両立しない。それが、POPSの世界です。

ところが、この音楽は違う。キャッチーでありながらこれほど自由で、しかもバリエーションの豊富なフレーズを投入して、あれこれ手を替え品を替え再提示を行って、それでもなお流れは途切れず停滞せず。それはまるで、シナリオのない劇を面白く見せるかのような。

これと比べると、言って見ればJPOPは四コマ漫画のようなものです。四コマの世界に居た人間が突然こんなに広い世界を見たのですから、その衝撃はご想像頂けるのではないかと。
このアルバムですっかりWeather Reportにはまってしまった私は、アルバムを何枚も買ったものでした。

お勧めなのはやはり一曲目の"Birdland"、これは是非どなたにも一度は聴いて頂きたい名曲です。二曲目の"A Remark You Made"もメロディアスで聴き易い一曲ですね。
一方、意外性があって面白いのは"Rumba Mama"。たった2分の短い曲ですが、これは多分民族音楽ですよね。これを聴いて脳裏に浮かぶのはアボリジニなのですが、少なくともその種の民族音楽のテイストを取り入れたか、それそのものではないかと思います。

他の曲はいかにもフュージョン然としたものが多いですが、全体的にメロディがハッキリしていますし、長過ぎる曲もなく、フュージョンの初心者でも聴き易いのではないでしょうか。Weather Reportを初めて聴くなら、私もまずこのアルバムをお勧めしたいですね。
そして、もし機会があったら、是非ともSweetnighterとの聴き比べもやってみて頂きたいところです。きっと、明確なノリの違いに気付かれるでしょう。

この楽曲の躍動感の違いを生み出す主要な要素が、ベースラインなのだろうと思います。やはり私はジャコのベースが好きですね。これほど圧倒的なまでに動き回るのに、それでいて決して不自然ではない。それどころか、すっと染み込むように馴染むのです。

日本には、彼は技術をひけらかし過ぎだとか煩いなんていう人も多いのですが、そうではありません。確かに主張はしていますが、彼のベースは確かに曲を支え、そして作っています。このベースでなければ、この演奏は有り得ないのです。

まぁ確かにかなり奔放なベースですので、四コマ劇場の枠内には納められそうもありませんけれどね。これを四コマの世界で理解しようというのなら、無理もありましょう。でも、だからこそです。たまには枠から飛び出してみるのも良いのではないでしょうか。
決して縛られず、それでいて破綻しないこの自由さ。これもまた紛れもない音楽の魅力なのでは、と。私はそう信じて疑わないのです。

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