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日々の便り

 

TU-8150を6V6仕様に改造する

レコードの試聴も一通りすみましたので、そろそろ最後のテストを。そう、UNIT7, 8を使用した6V6仕様への改造を試そうと思います。実のところ、さっさとこれを試したかったのですけれど、そもそもオリジナルの音をわかっていない状態で、改造した音をどうこう言う訳にはいきませんからね。

と言うわけでまずはTU-8150を分解し、UNIT2, 3を取り外します。この時活躍するのが、UNIT2, 3の蓋にもなっているUNIT4。次の写真のように、スパナの代わりに使うことができるのです。組み立ての時にもお世話になりましたが、やっぱり便利ですねぇこれ。基盤にちょっと凹みを作っておくだけの気配りが、ここまで扱いやすさに繋がるとは。これを思いついた方は偉いと思います。

UNIT4をスパナ代りに
UNIT4をスパナ代りに posted by (C)circias

そして、取り付けるのはUNIT7, UNIT8の二枚。数字の小さい方が左です。間違ったユニットを取り付けようとしても、スペーサとネジ穴が合わないようになっていますので、間違ったまま気づかないという事はまずないでしょう。こういうところも初心者に優しい設計です。

UNIT8
UNIT8 posted by (C)circias

ユニットの取り付けが終わったら、先にカバーを取り付け、そして6V6を装着します。今回使用するのは、次の写真の6V6S。製造は初段管の12AX7と同様、JJです。やはり大きな真空管は、それだけで雰囲気がありますね。

JJ製 6V6S
JJ製 6V6S posted by (C)circias

GT管を扱うのは今回が初めてですが、キー溝があるので特に向きを間違えるということもなく、トラブルなしで差し込むことができました。写真は、6V6Sを装着したTU-8150の様子。なんだか貫禄が出ましたね。見た目的にはワンランク上になりましが、果たして音の方はどうでしょうか。

6V6装着完了
6V6装着完了 posted by (C)circias

まず試すのはハイレゾ音源、いつも通りエディ・ヒギンズの「Haunted Heart」です。一曲目を再生した瞬間、「むむ?」となりました。間違いなく6005Wと音が違います。それも、良い方向への変化です。しかし、オペアンプを交換した時のような音域がどうとかいうような、バランスを変化させる類のものではないのです。なんとも抽象的かつ主観的な表現になりますが、「余裕が出たような」。

しばしばオーディオでは「ゆったりと鳴る」というひどく曖昧な表現が使われますが、この変化はまさにそれだと思います。さすがに互換性のある管というだけのことはあり、バランスそのものに変化はありませんし、低音の引き締まりやスピード感が変わったりはしません。音が太くなったわけでも大きくなったわけでもありません。なのに、音のしっかり感が増したというか。

よくよく聞いてみると、低音の成分が下方向に増して、より重心が低くなったこと。そして、ベースやチェロといった低音楽器の中音域の成分が微妙に厚くなった事により、ベースパートの存在感が増して、曲全体の圧力が増したように聞こえることがわかりました。ついでに、中音域の残響が少し厚くなったかもしれません。これが一言では言い表しづらい「余裕」となって、聴くものに安心感を与えるようです。

この変化は特にクラシックの再生に良い変化をもたらしました。ドヴォルザークはより迫力を増しながらも、そこにヒステリックな強調感を感じさせない響きになりましたし、バッハの無伴奏チェロ組曲は包容感に溢れ、聴いているとなんだか眠くなってくる心地よさです。

6005Wの音色に何か不足があるのかと言われると、そうではないのです。少なくとも、6005Wを聴いているときは、そこに「余裕のなさ」など微塵も感じていなかったわけで。しかし、6V6Sの音を知ってしまった今となると、確かにあれは一杯一杯の音だったように感じるのですよね。小さなボディで必死に頑張っているような。

オーディオの音の違いの感じ方って、大抵こうなんですよね。何か問題のある機器の場合は、即座にあれが足りないとかこれが多すぎるとか言えるのですが、より良いものへの変化は、変わってみて初めて今までの音に不足があったのだと気付くのです。ですから今回のこの変化は、きっと良い方向への変化であったのでしょう。

少なくとも今のところ、6005Wに戻したいとは全く思いませんし。特に何か必要に迫られない限り、恐らくこのまま6V6Sを使い続けることになるでしょう。それくらい、この音色には一目惚れ…いえ、ひと耳惚れしてしまいました。TU-8150をお持ちの皆さんには、是非とも6V6を試してみてほしいですね。その際には是非とも接続は3結で、オペアンプはLME49720NAをお使いになることをお勧めしたいと思います。

なお、MUSES02をお使いの場合、接続は3結よりULの方がお勧めですよ。MUSES02は歪みが少なく音が厚いので、鋭くてパワフルなUL接続の方が、その特性を活かせるように感じました。蛇足ながら。






TU-8150でレコードを聴く(4)

前回はマイナー路線で攻めてみましたので、今回は逆にメジャー路線のものを何枚か聴いてみようと思います。とは言っても趣味が偏っているので、あまりメジャーどころのレコードは持っていないのですが・・・しかし、この方はさすがに有名でしょう。最初の一枚はこちら、エリック・クラプトンの「Unplugged」です。

UNPLUGGED [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.10
ERIC CLAPTON
WARNER


この一枚、冒頭の会場のざわめきをどのくらい自然に表現できるのかで、その製品の性質と性能がはっきりと分かるという、実にベンチマーク向きの作品です。果たしてTU-8150は、この冒頭のざわめきをごく自然に、かつ広々とした空間で再現してくれました。

そして一曲目のアコースティックギターの音色ですが、ここはドンシャリ気味の製品だと、ギャリギャリと耳に刺さる癖にスカスカとした芯のない音になってしまいます。しかしここも、ちゃんとアコースティックギターらしい芯のある音色で再生してくれました。当然、以降各曲のクラプトンの声は立体的で鮮明、コンサートホールの残響も心地よく、私としては100点満点を差し上げて良い音質でした。

いやしかし、拍手が心地よいですねぇ。拍手それぞれの位置関係はもちろんですが、方々で鳴り響く口笛の位置関係がしっかりと立体的に再現されるので、演奏の後の高揚感がしっかりと伝わってくるのです。これはなかなか。


次の一枚は、同じくクラプトンの「August」。シンセを多用して、リバーブもかなり強めにかかっている作品なのですが、果たしてどんな風に再生されるでしょうか。

August [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.10
Eric Clapton
Reprise / Wea


一曲目のIT'S IN THE WAY THAT YOU USE ITは、ちょっと残念な感じ。クラプトンの声がコーラスと一緒に後ろに引っ込んでしまって、ストラトの音だけ前に出るような感じになってしまっています。あぁ、オケも前に出ていますね。つまりコーラスとクラプトンが後ろに引っ込んでいると。しかしこれが妙なもので、全く混濁はしていないため、ボーカルをはっきりと聞き取ることはできるのです。

二曲目のRUNはそれが少し改善されています。三曲目のTEARING US APARTはさらに良くなりましたね。ボーカルの位置が下がりすぎているのは、一曲目だけのようです。まぁどのアンプで聞いてもこのアルバムはリバーブ過剰なので、一曲目のあれは多分に音源のせいである部分もあると思います。むしろここは、それでもメインボーカルを聞き分けられることを褒めるべきなのかもしれません。80年代半ばのサウンドって大抵リバーブてんこ盛りなんですよねぇ。


次は気を取り直して、イーグルスに行ってみましょう。これも割と最近のアルバムで、タイトルは「Long Road Out of Eden」です。発売は2007年でしたか。久々に感動した一枚でした。

Long Road Out of Eden [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.10
Eagles
Universal Int'l


冒頭から、とても生々しくて鮮明なギターとボーカルが魅せてくれます。うん、こういうサウンドが好みなんです、私は。まぁその好みに合わせてチューニングしたアンプですので、こういうサウンドは本当に得意のようですね。実に心地よい再生です。厳かなNO MORE WALKS IN THE WOODから、往年のスタイルそのままのHOW LONGのカラッとしたギターサウンドへの移行が実に心地よく。

イーグルスの持ち味であるハモりは、きっちりと個々の声を聞き分けられる状態で、全て前へ。オケとの前後の位置関係もちょうどよく、前後左右の空間の広さも良好です。このアルバムも、100点をあげて良い再生でした。改めて、好きですねぇ、イーグルス。

というわけで、90年代、80年代半ば、録音年はわからないけど最近発売の2000年代のアルバムと、三種類を聞いてみました。まぁそういう風にチューニングしたせいもあるのですけれど、このアンプはシンセとリバーブてんこ盛りの80年代中盤に流行ったスタイルにはあまり向いていないようです。逆に、70年代スタイルと、録音技術が向上した90年代以降の作品は得意であるようですね。もっとも、その割には80年代のフュージョンは得意なのですけれど。



TU-8150でレコードを聴く(3)

昨日は、不覚にも半田ごてで指を焼いてしまいまして・・・しかも、よりによって60Wでやらかしたので、またしても半ば徹夜で指を冷やす羽目になってしまいました。弟には「火傷好きだねぇ」なんて笑われてしまいましたが、いえいえ、断じて好きでやっている訳ではなくてですね。疲れて朦朧としていたので、ちょっと手元が狂っただけなのですよ。

そんな訳で一晩空いてしまいましたが、TU-8150の試聴の続きを。今度は主にフュージョンとロックで攻めてみようと思います。今晩のトップバッターはこの一枚、若かりし頃のLarry Carltonのアルバム、「singing/playing」です。私が物心つく前のアルバムで、古いには古いけれど古典というほどでもないという微妙な年代の作品ですから、今となってはこれをご存知の方はかなり少ないでしょう。でも、素敵なアルバムなんですよ。

Playing/Singing
Posted with Amakuri at 2017.9.8
Larry Carlton
Edsel Records UK


なお、上の画像では「Playing/singing」になっていますが、私の手持ちのレコードだとこれが逆なのですよね。版によってロゴが違うのでしょうか。ジャケットアートはこれで間違い無いのですが。

一曲目、Easy Evilでは最初のうち、ギターが入らないので、ベースが一番前に出ています。これがこのアルバムの位置関係なのかなと思いきや、ギターはさらに前に飛び出してきました。それがもうまさに「飛び出す」と表現したくなる生々しさでグイグイ前に出るもので、思わず仰け反ってしまいそうになります。どの曲でも楽器の定位は良好で、空間が広いですね。まるで目の前で演奏しているかのような音質でした。

音量も十分すぎるほどで、音圧もパワフルです。およそ、1.6Wの低出力アンプとは思えない音ですね。低音も実によく出ていて、重さが足りないということもありません。高音から低音に到るまで、躍動感に溢れた再生だったと思います。ちなみにこのアルバム、1980年のものなのだそうですが、とてもそんなに昔の音とは思えませんね。


次の一枚も、ちょっとマニアックなものを。1981年のアルバムで、アーティストはジャコ・パストリアス。アルバムタイトルは「Word of Mouth」です。はい、知らない人の方が多いでしょうね。私もベーシストの先輩に教えて貰わなければ、知る事はなかったであろう一枚です。

Word of Mouth [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.8
Jaco Pastorius
Imports


一曲目、CRISISの狂気を感じさせる高速のベースですが、TU-8150はこれを難なく再生してくれました。特にダレることもなく、量感も充分。音が崩れず再生されるので、高速の低音フレーズがダマになってうるさいという事もありません。ただ、全体的に前に飛び出す感の大きかったsinging/playingと比べると、手前への飛び出しは大人しめ。その分奥に空間が広がっていて、空間表現は割と普通です。

二曲目の3 Views of a Secretは、コーラスの雰囲気に年代を感じます。全体的な立体感は一曲目と変わりありませんが、主旋律のハーモニカが生々しく感じました。定位がしっかりとしているので、音に実体感があります。音がしっかりと整理されるからでしょう、TU-877で聴いた時よりもはるかに聴きやすく、楽曲の魅力を感じました。実のところ、このアルバムは普段あまり聴いていなかったのですが、この音ならばもっと積極的に聴きたくなりますね。

ときに、音とは関係のない話ではありますが、このアルバムのジャケットアート、綺麗ですよね。思わず飾っておきたくなります。LPもCDと同様、アーティストの写真が載っているだけのジャケットの方が多いのですが、できればジャケットはこんな風にアートで飾ってほしいなと思うのです。最近、iTunesにもちゃんとアルバムアートワークを取り込むようになって気づいたのですが、やっぱりアートがあった方が聴きたくなるし、楽しいのですよね。


さて、ここまでマニアック路線で来ましたので、締めも大変マニアックな一枚で行きましょう。今度は邦楽、ジャパロックです。もっとも、知っている人は知っている名盤なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが。1971年の作品で、アーティストは「はっぴいえんど」。アルバムタイトルは「風街ろまん」です。

風街ろまん 完全限定生産 [Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.9
はっぴいえんど
ポニーキャニオン


一曲目の「抱きしめたい」でまず感じるのは、ベースがちょっと効きすぎだという事。TU-877では良い感じに聞こえていたのですが、これはちょっと低音が出過ぎのような。ブーミーという感じではないのですけれど、ベースラインが前に出るのに対してボーカルがやや引っ込み気味なので、相対的にベースが目立ちすぎている感じですね。

しかし三曲目の「風街ろまん」はといいますと、低音のバランスが良くなって、むしろ聴きやすくなっています。ボーカルも程よく前に出てくれるので、なかなか良い感じですね。何より、ギターの音色が素敵です。もともと古さを感じさせないアルバムではありましたが、このクリアなギターの音色のおかげで、さらに古さを感じさせなくなりました。

この曲から「暗闇坂むささび変化」「はいからはくち」と大好きな曲が続くのですが、どうやらこの三曲とTU-8150の相性は良好のようです。特に、「はいからはくち」のイントロのギターがもう生々しくてたまりません。これは、すごくいいですね。弾むベースラインもよく引き締まっていますし、この一曲は特に魅力が引き出されているように感じました。いいです、すごくいいです。思わずリピートで聴きたくなります。LPなので無理ですが。


というわけで、1971年から1981年までのやや古目のロックとフュージョンを聴いてみました。どのアルバムも再生は良好でしたが、若干低音が出すぎる傾向があるようにも感じます。この辺は本当に音源次第ですね、おそらくこの年代の録音は低音をやや強めにしているものが多いのでしょう。で、アンプ自体も結構低音を豊かに再生するので、相乗効果でたまにすごいことになるのではないかと思います。

とはいえ、それで音が割れるとかバランスがダメになるというわけではないので、特に問題視する必要はないと思います。それより何より、「はいからはくち」の生々しさがとにかく素晴らしかったのが一番印象的でした。とりあえず、片付ける前にもう一回聞いておこうと思います(笑



TU-8150でレコードを聴く(2)

昨晩に引き続き、今晩もTU-8150でLPを色々と聞いていこうと思います。ジャンルは今晩もJazzですが、昨晩はArt Blakeyを2枚ほど聞きましたので、少し毛色の違うものを。まずはこちら、演奏中にニャーニャー鳴くことで有名なBud Powellのアルバム、「The Scene Changes」です。

The Scene Changes [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.6
Bud Powell
Blue Note Records


ピアノの音は太くクッキリとしていますが、全体的に平たくてややマットな印象。これは、他のアンプで聴いた場合とあまり変わりません。スピーカーから聞こえてくるピアノっぽい、と言いますか。あるいは、どことなく学校の校内放送を彷彿とさせると言いますか。意外と低音は豊かで、ベースラインがかなり主張しています。楽器同士の距離感は、ピアノがやや平たいのに対してベースとドラムがとても立体的なので、ベースがピアノより前にいるように感じました。

この収録は、ひょっとしてピアノだけオンマイクで録ったのでしょうか。ピアノだけ立体感がなくて、他は空間表現がしっかりしているので、ちょっと妙な感じもします。このアンプはどうやら、こういう立体感の違いが結構ハッキリと出るようですね。

お次はSonny Rollinsの「A Night at The Village Vanguard」です。主旋律のテナーサックスをどんな風に再生してくれるのか、そこに注目してみましょう。

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜 [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.6
ソニー・ロリンズ
EMIミュージック・ジャパン


まず感じたのは、結構生々しいということ。いわゆる音色の部分だけでなく、アタックのノイズや音の掠れのような部分までしっかりと再生してくれるので、立体的な音に感じます。このアルバムはTU-877は少々苦手で、平坦な音になってしまっていたのですが、TU-8150は生き生きと再生してくれるので、退屈しません。また低音の量感も十分で、ベースラインがしっかりと自己主張していました。

ところで、聴衆の拍手や話し声が演奏の手前ではなく、演奏の向こう側に聞こえる気がするのですが、これもマイク位置のせいでしょうか。多分、マイクは聴衆に背を向けていたのでしょうね。奥に向かって空間が広がっているように聞こえます。

続いて、同じくテナーサックスがメインの一枚を。Dexter Gordonの「Our Man in Paris」です。これはTU-877もTU-H82も得意としていたアルバムですが、さて、TU-8150の場合はどうでしょうか。

Our Man in Paris [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.6
Dexter Gordon
Blue Note Records


Sonny Rollinsのそれと比べると少しトーンの明るいテナーサックスが、良い感じに再生されています。そしてBud Powellのピアノも、彼自身のアルバムとあまり変わらない音色ですね。なるほどこの独特の音色がBud Powellなのかと、ちょっと納得。このアルバムでは楽器の位置関係はしっかりと立体的に聞こえますが、なんとも言えないマット感は健在でした。それにしても、このアルバムでもニャーニャー言ってますねぇ、彼。

そして最後はこちら、Freddie Hubbardの「MISTRAL」です。これはジャズというよりフュージョンに片足突っ込んでいるようなアルバムで、シンセサイザーが入っているのが他とは違うところ。

ミストラル(紙ジャケット仕様)
Posted with Amakuri at 2017.9.6
フレディ・ハバード
ユニバーサルミュージック


主旋律のトランペットがクッキリしているのは勿論なのですが、それ以上にパンチが効いているのがバスドラム。ベースを含めた低音組がだいぶがっつりと存在を主張しているのが意外でした。TU-877ではここまでではなかったのですが。歯切れよくパンチが効いているのは良いのですけれど、これは少し聴き疲れしてしまいますね。シンセの音色は特に問題なく、空間表現も前後左右とも自然な広さでした。低音のパンチが効きすぎていることを除けば、ごく自然な印象です。

一通り聞いてみてまず思うに、このアンプ、意外と低音も出ているようです。もう少し低音控えめでも良いのでは、というくらいにはしっかりと低音が出ていることがわかりました。それと、残響がややあっさり目で、音の位置関係がクッキリ出るので、今まではあまり気にしていなかった位置関係に注意が向きやすくなることもわかりました。

録音の古いピアノ、テナーサックスときて、最後は新し目のジャズを聞いてみましたが、特に苦手なジャンルはなかったようですね。バドのピアノはなんとも古風な再生になりましたが、これはまぁ概ね音源のせいでしょう。もっとも、これはこれで味があって悪くないとは思います。マットかつフラットといっても、曇ったり混濁したりしているわけではなく、音自体はあくまで鮮明なので。

さて、Jazz関連は程々に試しましたし、次はフュージョンとロックあたりを聞いてみるとしましょうか。



TU-8150でレコードを聴く(1)

突然RAIDがクラッシュしたり、急な低温につられたのか低体温で苦しめられたりと、色々あって間が空いてしまいましたが、久方ぶりにまたTU-8150のお話を。そうそう、OPAMPは結局LME49720NAを採用することにしました。出力管の接続こみで色々試してはみたのですけれど、やはりどうにもMUSES02はコテコテのコンプレッサ臭さが抜けなくて、そこがどうにも好きになれなかったのです。減衰がそこはかとなく不自然なんですよねぇ。

OPAMPは決着がついたところで、次は6V6を試そうかとも思ったのですが、そういえばまだ6005Wでアナログ音源を試していないことに気がつきまして。やはり真空管といえば相棒はアナログであろうというわけで、急遽予定を変更して、アナログ音源の試聴レビューを行ってみようと思います。なお、再生環境は次の通り。

ターンテーブル :Pioneer MU-61
カートリッジ  :DENON DL-103
フォノイコライザ:Cambridge Audio AZUR 651P
パワーアンプ  :TU-8150 (3結+LME49720NA)

さて、本日試すのはこちらのレコード。Art Blakey & Jazz Messengersの”MOANIN"です。一曲目の表題曲、「Moanin'」を知らない方は少ないでしょう。一頃からはNHKの「美の壷」のオープニングテーマにもなっていますね。

Moanin' [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.6
Art Blakey & Jazz Messengers
Wax Time


再生してまず感じるのは、「素直な音だな」ということです。表現が難しいのですが、変に力の入っているところのない、強調感のないストレートな音で冒頭のピアノが響きだすと、次いでトランペットがやたらクッキリとした音色で主旋律を奏でます。残響はスッキリ目で音の分離は極めて良好。少しあっさり気味とも言えるかもしれません。

空間の表現は左右は普通、前後にはやや空間広めに感じました。特に主旋律がグイグイと前に出てくる感じですね。心配していたゲインも特に問題なく、というかむしろ高すぎるくらいで。これはフォノイコライザのゲインがやや高めだからというのもありますが、時間が時間なので慌ててボリュームを下げることになりました。現在ボリュームは10時位置です。

B面はドラムが目立つ曲が多いですが、低音がやや控えめである割に、ドラムは生々しく再生されています。特にB面一曲目、「The Drum Thunder Suite」のパーカッションは、妙に立体感がありますね。鋭さはないのですが、意外とシンバルも良い雰囲気に再生されていて、むしろ聞きやすいかもしれません。特に良い感じなのがスネア。この弾むような音は、生で聞いた時のそれに近い気がします。

B面三曲目の「Come Rain or Come Shine」は特に好きな曲の一つなのですが、これもまた良い雰囲気で再生されていました。楽器同士がとても立体的に再生されることもあって、冒頭のテーマの部分がよく整理されており、それでいて個々の楽器の表情がよく分かるのです。OPAMPのせいもあってやや重心高めではありますが、全体的に鮮明で生々しい音質であるように感じました。

Moanin'が意外と良かったので、ついでにもう一枚聞いてみることにします。選んだのはこちら、同じくArt Blakeyで、「Like Someone in Love」です。このアルバムも、表題曲が大好きなのですよね。

Like Someone in Love [12 inch Analog]
Posted with Amakuri at 2017.9.6
Art Blakey & Jazz Messengers
Ais


このアルバムを聴く上で、いつも注目するのは冒頭のピアノ。今ひとつなアンプやレコード針ではここがくすんで、力のない感じになってしまいます。しかしそこのところ、TU-8150は良い感じに再生してくれました。弱音でもちゃんと輝く高音が実にピアノらしいですね。それと、このアルバムは低音が強いのか、低音の量感も充分に感じました。

このアルバムのピアノは、ハイレゾで聞いているジャズピアノに近い雰囲気が出ています。まぁ、あちらもマスターはアナログですので、そうなって当然といえば当然ではあるのですが。生ピアノよりも若干丸い、それでいて透明感のある「転がるような」ピアノの音色は、なかなか心地良いものがあります。

B面一曲目の「Noise in Attic」では、ベースが意外と目立っています。と言ってもそこはそれ、あまり引き締まった低音という訳にはいかないのですが。低音マニアな方には些か物足りない表現ではありましょうけれども、量感は十分。私としては、これはこれでいけるのではないかと思います。ドラムは相変わらず生々しく、スネアとタムが良いですね。

まだ2枚しか聴いていませんが、6005Wの3結とLME49720NAの組み合わせは、意外とジャズに合っている気がします。出力はとても低い(確か2W未満)ので、もっとユルい感じになるかと思ったのですが、そんなこともなく。TU-H82で聞いていた時と比べると低音の締まり方は一歩譲る感じですが、音の心地よい丸みや空間の表現は、さすが真空管は違うなぁと思わされるところですね。

OPAMPの癖がそのまま出てしまうところは賛否両論ありそうですが、レコードらしさや真空管らしさは損なわれていませんし、これはこれで良いのでは。室内で、小音量から中音量くらいでまったりジャズレコードを楽しむには、良いアンプだと思います。



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