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日々の便り

 

RAY

注文したのは去年の事なので、そもそも予約していたこと自体忘れていたのですが、BUMPの新作が発売されたのですね。小包が届いて初めて思い出すというのもファンとしてはいかがなものかとは思いますが、まぁなにしろ三ヶ月も前の事なのですからね。忘れもするでしょう、普通。そもそもなんだって三ヶ月も前に予約させるのだと。

というわけで早速開封してみましたが、相変わらずジャケットが奇麗ですね。つくづく思うのですけど、BUMPはレコードを出して欲しいです。今までで一番好きなのはfireflyのジャケットですが、今回もなかなか。この白いシルエットは、Orbital Periodでジャケットを飾った「鳥の星」ですよね。

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タイトル  :RAY
アーティスト:BUMP OF CHICKEN

一曲目の"WILL"は満天の星が似合いそうな、壮大なイメージのインストです。喩えるなら深夜の丘の上で、遠い星の輝きに思いを馳せるような。高音のシンセが遠さを感じさせるのと、序盤が静けさや冷たい空気を連想させる雰囲気なので、空を見上げるような絵になるのではないかと。

"虹を待つ人"はfireflyと似ていますね。メロディは全然違うのですけど、なんというのでしょう、曲の持つ全体的な雰囲気が似ているのです。ほのかな光からまばゆい光への移行のイメージといいましょうか。ただ、明度の変化はこの曲の方がハッキリしているような気がします。映像を当てるなら、朝焼けや曙光が似合いそうですね。

fireflyも好きですが、こちらの方が「何かが始まりそうな」感じがして、より心地良いと思います。アルバムの実質的な一曲目にはぴったりの選曲だと思いました。BUMPはいつも曲順に物語があるのが良いですね。

次は表題曲の"ray"。イントロはちょっとキュートな感じで、女性ボーカルの歌のような雰囲気です。メロディラインは暖かみのある明るい雰囲気で、明るくて透明感のある日差しのような曲でした。朝の住宅街の風景が似合いそうですね。続く"サザンクロス"はどことなく"東京讃歌"を思わせる雰囲気のメロディラインです。

"ラストワン"は語りかけるような歌い方が特徴的で、ちょっと"かさぶたぶたぶ"を思い出しました。"morning glow"はイントロがオリエンタルな感じで独特です。主旋律はたゆたうようなイメージの前半と、転じて安定感の出るサビの対比が飽きさせません。

"ゼロ"はFFかなにかの曲でしたね。なんというか、序盤はスクエニっぽい雰囲気がよく出ていると思います、好みではありませんが。これと"Smile"は、シングル「ゼロ」の収録曲ですね。他に、"firefly"もシングルの収録曲。アルバム「firefly」の二曲目"ほんとのほんと"は、このアルバムには入っていないようです。

"white note"は、アコースティックでちょっと南国っぽいとでもいいましょうか。個人的には朝の海辺の映像が似合いそうな気がします。前半のメロディがBUMPの作品としてはちょっと新しい感じがしました。後半は、いつものBUMP節ですけれど。全体的に「休日」って感じがするのが好きです。

"友達の唄"は、何かのアニメのテーマでしたよね、聞くのは今回が初めてですが。この曲は子供に語りかけるような、とても優しい雰囲気の作品です。ただ優しいだけではなくて、なんとなくセピア色で少し切なくて、いかにも物語の終わりというイメージでした。この曲もとても良かったと思います。

"(please) forgive"は、今度は転じて大人向けの唄。ちょっと捻りの利いたAメロと、少なからず実感のある序盤の歌詞が印象に残ります。そして結びは"グッドラック"。背中を押して送り出すような、タイトル通りの雰囲気の作品です。

相変わらず外れの少ない、とても聞き易いアルバムでした。前回の「COSMONAUT」も粒ぞろいでしたが、曲のまとまりの良さにしても表現の豊かさにしても、そして歌唱の上手さにしても、さらに一歩前進した感があります。特に序盤の数曲は、どの曲も甲乙付け難いですね。

ただ、大体の曲がいつものBUMP節なのも相変わらずです。一方で、"white note"は良い意味で期待を裏切られましたね。BUMPのアルバムは大抵、一曲だけちょっと新しい感じのする曲が入っているのですが、今回はこの曲がそれなのではないかと。どの曲が一番印象的だったかと言われれば、多分この曲なのではないでしょうか。ボーナストラックを除けば、ですが。

たっぷり浸らせて感動させておいて、最後に全てを台無しにするボーナストラックは相変わらず健在ですので、くれぐれも脱力のし過ぎにはご注意下さい(笑

ひとみみぼれ

私は普段、ほとんどJPOPを聴きません。色々と理由はあるのですが、歌詞が言葉として美しくない、むしろ音としては間抜けな、あるいは醜悪ですらある連結や切り方を平然と歌っているのが、聞くに耐えないというのがあります。ましてや、思春期をこじらせたような単語の羅列など。

言葉を曲のひとつの要素として扱うのであれば、当然それは音楽的な意味合いでの吟味と、言葉の側面からの吟味を同時に加えられていて然るべき筈。そうでなければそれは歌詞でなく詩、ないしただの音に過ぎないものというべきでしょう。

意図的にただの音にするというアプローチはまたひとつの技法としてあるのですけれど、あれはそんな高尚なものでは有り得ません。
ですから逆に、言葉を美しく扱える歌手を見付けるというのは、とても嬉しい発見なのですね。思わず即座にCDを注文してしまう事さえある程です。というわけで注文してしまいました、こちらを。

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アルバム  :ひとみみぼれ
アーティスト:秦 基博

きっかけは、NHKのSONGSでした。別に見ようと思ってみた訳ではなく、家族が付けていたTVを通りすがりにちらりと見たのです。そのとき秦さんが歌っていたのは「鱗」という曲。何気なく耳を傾けた私は、思わずそのまま最後まで聞かされてしまったのでした。

歌詞自体のまとまりについてはもちろんのこと、通常の文章にも通じる一貫性や比喩の技法、そして大仰ではなくそれでいて写実的な言葉選びのセンス。それらは、ひとを惹き付けるに充分足るものです。でも彼の技術は言葉選びだけではありません。曲の造りもまた自然で、展開は実にスムーズ。そして何より、歌がうまいのです。

こんな人がいたのか、と。歌詞、曲、そして歌唱力。三拍子揃った彼に何か欠けたものがあるとするならば、それはルックスくらいのものでしょう。だからどうしたというのです、そんなものは飾りにすらなりません。大手の会社にはそれが分からんのです。

そんな訳で衝撃を受けた私は、自室に戻るなりAmazonで検索をかけ、このCDを注文したのでした。このアルバムは、どうやら秦さんが自分で選んだベスト盤のようです。つまり、お気に入り曲集というわけですね。秦 基博という人物の音楽を知る上で、これ以上にふさわしいアルバムはないでしょう。

まずは歌詞カードを開いて、ざっと流し読みしてみます。ラブソングもありますが、より広義での愛の歌、人生の応援歌という感じの作品が多いようですね。そしてなにより特筆したいのは、「使い古されたドラマチックな表現が見当たらない」ということ。

こんなフレーズではこんな言葉、サビならこんな感じという、手垢まみれの脂臭いフレーズはありません。使われているのはどちらかといえば平易で控えめで、そしてリアルな表現。描き出される世界にもまた、作り物じみた激情やドラマなんてありません。でも、そこには確かに動く気持ちがあって。この歌詞達はまるで、それらをそっと掬い上げて繋ぎ止めたかのようです。

曲は比較的アコースティックでカジュアルなものが多いようですね。ギターを多用される方なので、基本的に健やかな雰囲気になります。ただ、一本調子にはなりません。爽やかにギターをかき鳴らす"SEA"、ゆったりとしたアルペジオで歌い上げる"My Sole, My Soul"など、曲毎の表情変化は豊かです。

私のお気に入りは二曲目の"月に向かって打て"。歌い出しの歌詞があまりに印象的で、しかも生活感に溢れていて。でも、五曲目の"SEA"もなかなか良いですね。特にこのワンフレーズにはぐっときました。
"今度は君も連れて来よう 休みの日に その方がもっと楽しい"

「〜連れて来よう」までは普通でしょう。でも、その方がもっと楽しいというリアルな気持ちを飾り気なくさらりと、本当にさらりとメロディに乗せるその自然さが魅力的なのです。

十曲目の"風景"は歌詞の通り、春のはじめの暖かい日に聴きたいような作品ですね。ゆったりと穏やかながら力強いメロディが魅力です。
揺らぐ水のようなギターが魅力的な十一曲目、"プール"もまた穏やかな一曲。この曲も、聴いていると肩の力が抜けるようで好きですね。

穏やかながらほのかに苦い十三曲目、"やわらかな午後に 遅い朝食を"は是非とも聴いて頂きたい一曲。働く男性ならば、共感出来る方も多いのではないでしょうか。
私はしばしば過労のため週末に体調を崩すので、この曲のリアルな歌詞に参りました。静かに始まるちょっと薄暗い序盤は、遅く起きた日の薄暗い部屋の光景を思い起こさせます。

決して絵空事ではない、でも無駄に赤裸々だったり下品であったりはしない。普通の人間が普通に感じられる筈の世界を普通に描いた、それでいてどこか愛しい歌詞の数々。そして曲や歌の上手さは、近年のJPOPにはなかなか見る事の出来ないものです。

使い古された大袈裟な歌詞、売れ筋フレーズの使い回しとリピート、無理矢理な展開の継ぎ接ぎフレーズに飽き飽きしてはいませんか。でも、JPOPを見限るのはちょっと待って下さい。ちゃんと居るのです、そんな濫造品とは根本的に違う、血の通った音楽を作る歌手も。大手レーベルではないですけれど、ね。


ベスト盤の、不思議。

基本的にJPOPはあまり聴かないのですが、唯一アルバムを楽しみにしているグループがあります。それが、BUMP OF CHICKEN。
メロディパターンのバリエーションはあまり多くないので、音楽的な意味での興味はそんなにないのですけど、毎度良い歌を聴かせてくれるのですよね。
歌詞だけがよくても、曲だけがよくても、歌としては失格です。でも、彼等は良いメロディに良い歌詞を載せて来るので・・・パターンは固定化しがちですが・・・好きなのです。

先日、そんなBUMP OF CHICKENのベスト盤の予約が開始されました。

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ファンとしては当然予約するべきところなのでしょうけど、アルバムをいちいち買ってしまっている身としては、やはり内容が気になります。
好きな曲が沢山入っているのなら買いですが、嫌いな曲ばかりだったら・・・ダブってまで買う意味は、さすがに乏しいですからね。えぇ、お布施にはなりますが、私は信者ではなくてファンですので。

で、内容を確認してみたのですが・・・案の定、がっかり。私が「大好き」と呼べる曲が、一曲も入っていないではありませんか!
私の一押しは、「銀河鉄道」。それと、「才悩人応援歌」「分別奮闘記」「Firefly」「66号線」「Beautiful glider」・・・あっはっは、かすりもしませんね。

歌詞の見事さと、その見事な歌詞をきれいに曲に載せ切ったっという意味に於いて、銀河鉄道を超える作品はないと思っています。シニカルで自嘲的でありながら、愛情溢れる歌詞をコミカルに歌った分別奮闘記は、BUMPの良さを凝縮したような作品。Beautiful gliderは新しいメロディパターンです。特に曲の入りの部分の描写力は素晴らしい。

他にも色々素晴らしいと言える曲はあるのですが・・・入っていませんねぇ。まぁ、流行らなかったんでしょうね。主力購買層である大多数のファンの皆さんには怒られるでしょうけど、アルエとかカルマとか、心底どうだって良いですね、私にとっては。

不思議なもので、JPOP歌手のベスト盤って、好きな曲がまったくかすりもしないことが多いのですよね。それに引き換え、洋楽アーティストのベスト盤はこれぞとばかりに膝を打って快哉を叫びたくなるような選曲が多いのです。この差は何なのでしょうか。
まぁ要は、日本人的な「売れ筋」は私の好みに合わないってことなのでしょうけど。

家族もBUMP OF CHICKENのファンなので、一応欲しいかと確認したのですが、まぁセンスは似たり寄ったりですので・・・今回は購入を見送る事になりました。
邦楽のベスト盤には好きな曲が入らないという個人的ジンクスは、未だ破られないようです。

Living

つい先日の事、深夜から早朝にかけて、NHKで生放送の音楽番組をやっていました。さだまさしさん司会の音楽祭で、様々なアーティストが入れ替わり立ち替わり出演しては、歌ったり喋ったり。
なかなか楽しい番組だったのですが、その中に御一方、とりわけ印象に残ったアーティストがいたのです。それが、森山良子さん。

昭和世代の方からすれば何を今更ということになるのでしょうけれど、この方、ほんっとうに歌がうまいのですね。初めてその歌声をきちんと聞いたのですが、生だというのに揺るぎない歌唱力に圧倒されました。あまりにも印象的だったので、思わずその場でアルバムをポチリ。買ってしまったのが、こちらです。

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タイトル  :Living
アーティスト:森山良子

本日届いたので、先程から聴いているところです。アルバムの曲想は統一されたものではなく、色々なタイプの曲が含まれています。しかし、どちらかというとアコースティックで優しい雰囲気の曲が多いでしょうか。言うなれば、新緑や星空が似合いそうな雰囲気のイントロが多いような気がします。
うち何曲かはTV番組の主題歌のようですね。なるほど、どこかで聞いた事があるような、そうでもないような。

森山さんの特徴は、ややクラシック的なビブラートと、上品で落ち着いた大人の声。ハスキーではなく、どちらかといえば線は細いほうだと思うのですが、尖らず薄くならず、柔らかく。力強いとは言えないまでも充分な中域で、しっとりと大人っぽい雰囲気を漂わせます。

女性ボーカルの作品の常で、メロディラインは高域寄りの曲が多いのですが、あまり高くなるとやはり苦しいのでしょう。きっちりかっちりとしていたはずの音程が、時折乱れてしまいます。この方の持ち味はむしろ中域以下で、やや低めくらいの音程を出しているときの声がたまらなく魅力的。

それは深くて落ち着いていて、優しくて。実に女性らしい、そして気品のある声。若くないからこその重みと落ち着き。そう、聞いていて、自然にほっと吐息が漏れるような。
一曲目の冒頭でもその長所が遺憾なく発揮されていますが、特に持ち味が発揮されるのは、アルバム中盤以降。「ねむれ ねむれ」から「家族写真」までの6曲は、どれもとても素敵でした。

特にお勧めしたいのは、やはり「家族写真」でしょうか。やや低めの音が多い前半のメロディの、なんともいえない柔らかな重みが、とても心地良いのです。
独白調の歌詞もまた暖かくて優しくて、同時になぜか表情が切なくて。まるで日焼けして赤っぽくなった古い写真を見ながら、昔語りをしているような雰囲気なのですね。聞いていると、胸に熱いものが込み上げてきます。

「ねむれ ねむれ」もお勧めしたいですね。他の洋風のメロディの曲と比べると、この曲の森山さんの表情は、とりわけ豊かであるように感じます。大袈裟に表情をつけたような感じではなく、自然と情感が溢れ出すような、とでも言いましょうか。

やはりこの方は、日本的なメロディラインが似合うなぁと思うのです。これに対して二曲目のFarewellのようなポップ的なメロディラインですと、どうも表情が大袈裟になりがちのような気がしまして。
あえて付けようとしてついている表情と、自然と沸き上がってくる表情の違い、という気がするのですね。

洋風のメロディなら、昭和的な香りが素敵な「パピエ」がお勧め。分かり易く言うと、ジブリの描くヨーロッパの街並がピッタリ合いそうな曲です。ピアノとアコーディオンが造り出す、このお洒落なレトロ感がたまりません。
様々な表情の曲がありますが、共通しているのは森山さんの声が造り出す、上品で優しい雰囲気。疲れたとき、ホッとしたいとき、目を閉じて聞いて欲しい一枚です。

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