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日々の便り

 

ハイレゾ対アナログ

今日は予報通りの雨になってしまいましたね。天気さえ良ければまた夜桜でも見に行こうと思っていたのですが。月曜日に無理をして桜見物して来たのは、どうやら正解だったようです。もっとも、その御陰で疲れ過ぎてしまい、昨晩は何も出来ずに文字通り倒れるように寝てしまったのですけれど。

というわけで、今日はちょっとオーディオのお話を。先日、M2TechのhiFaceをMacOS10.9で無理矢理動かす話を書きましたが、アレを無理に復活させたのには、実は訳があります。それは何かと言いますと、e-onkyo.comさんで、なんとBLUE NOTEのレコード達が、ハイレゾ音源として配信されたのです。これはもう、聴くしかないでしょう?

フォーマットは豪華に24bit/192kHz。恐らくDSDを除けば現在の最高音質のフォーマットと言って良いでしょう。その音質がどの程度のものか、気にならない筈はありません。そして都合の良い事に、配信された中にこのアルバムが含まれていたのです。

LINK
タイトル  :A NIGHT IN TUNISIA
アーティスト:Art Blakey & Jazz Messengers

ならば、聞き比べをするよりほかないではありませんか。というわけで、早速アルバムを購入。アナログ盤と聴き比べてみる事にしました。環境は以下の通りです。

○デジタル
DDC: M2Tech hiFace Professional (tuned by Aurorasound)
DAC: Rasteme UDAC192H

○アナログ
プレーヤ:Pioneer MU-61 自家修理品
アーム :メーカー不明・中古
シェル :Ortofon SH-4BK
カートリッジ:Shure M-97xE (ダイナミックスタビライザ使用)
フォノイコ :Marantz PM6100SA Phono端子

○共通
パワーアンプ:ELEKIT TU-877修理改造品
スピーカ  :B&W DM601 S3

アナログ側の機器がポンコツというかほとんど修理品でガレージ感溢れる布陣になっておりますが、まぁそこは気にしないという事で。既にこの時点で勝負は決してしまっているかのようにも見えますが、まぁ何事もやってみなければ分からないという事はあります。

まずはハイレゾ音源を試聴。一曲目の「A NIGHT IN TUNISIA」ですが、「おや?」という違和感を感じます。最後にこのアルバムを聴いたのはひと月以上前なので、アナログの印象なんてさほど残っていない筈なのですけど、何か変なのですね。なんというのでしょう、いまいち盛り上がらないのです。

確かに音はきれいで、CDのような霞のかかったデジタル臭い音ではありません。シンバルの音などは明らかにこちらの方が澄んでいるように感じますし、ベースもよく締まっていて、全体の見通しも良好。でもなんでしょう、凄くやる気のない音に聞こえます。

試しに音量を上げてみたところ、「やる気のない演奏」から「あっさりした演奏」に昇格しました。どうやら、ダイナミックレンジがとても大きくなった分、主旋律の音量をレコードのそれに合わせるには、音量を上げてやらないといけないようです。音量を上げても五月蝿くならないのは、音が歪んでいない証拠。ここは、24bitの面目躍如ですね。ただ、金管の「ニュアンス」があまり感じられないのは変わりません。

さて、次にLPで同じアルバムを再生してみます。ハイレゾの印象を付けた後なので、まず感じるのは天井の低さとでも言いましょうか。最も如実に差が出るのはシンバルですね。ハイレゾを聴いた後だとやや鼻詰まりに聞こえます。ベースもやや締まりがないですね、確かに個々の音色という意味ではハイレゾが端正。音量を上げる程、この差は顕著になって行くようです。

ただその代わり、金管楽器の熱量が全然違います。アナログは音がぐいぐい前に出てくるのですよね。この自己主張の強い金管や、音色としてはだいぶ鈍い筈なのにハッキリクッキリ聞こえるピアノなどといった特徴は、LPならではのもの。いわゆるハイファイな音ではありませんが、間違いなく生々しい。これは倍音の違いでしょうか。

ではどちらの音が良い音かと言われると、難しいですね。24/192のハイレゾ音源はとにかくクリアで見通しが良く、音量を上げても疲れない、確かに上質な音でした。でも、あまりわくわくしない。LPの音はレンジが狭いしちょっぴり曇っているし、ノイズも乗ります。でもこれでもかとばかりに太くて、やや大味なのに、ハイレゾでは感じないニュアンスの変化が手に取るように分かります。

どちらが生の音に近いのかと言われたら、多分「音色」はハイレゾ、「印象」はアナログと答えるしかないでしょう。要するに、計測機器で比較する分にはハイレゾの方が「正確な音」なのでしょうけれど、聞いてより楽しいのはアナログだという事です。これは恐らく、「写真より絵画の方がリアルに見える」現象のようなものではないかと思うのですが。

まぁしかし、しばしばアナログ対デジタルの対決で声高に言われて来たアナログの優位性も、ここまで来るとだいぶ色褪せて来たかな、という気がしますね。CDがLPより高音質だなんて断固認められませんが、ハイレゾ音源は別です。これだけクリアな音で過去の名盤を聞けるのであれば、無理をしてLPのシステム一式を揃えるより、良いDDCとDACを買って、ハイレゾで楽しむ方が合理的でしょう。

私個人の嗜好としてはそれでもアナログを推したいのですが、もうここまで来ると、質の差ではなく嗜好の差の範囲だと思います。それと、「どちらの音に慣れているか」の差も大きいのではないでしょうか。アナログを一度聴いてしまうと、その後で聴くハイレゾはなんだか出がらしのような音に聞こえます。逆にハイレゾを先に聞くと、今度はLPの音の曇りやレンジの狭さが気になるのです。

フォーマットの優劣の話はともかくとして、ハイレゾ音源化によって、こうした過去の名盤が新しい聴き手を得られるのは、間違いなく価値のある事でしょう。アナログは色々楽しいですが、まず初心者には色々ハードルが高いですしね。また、なかなか入手出来ない盤もありますし、劣悪な盤を売りつける悪徳な中古屋も少なからず居ます。そういう部分の補完として、ハイレゾ音源を積極的に併用して行くのは賢い選択かも知れません。

欲を言えば、ハイレゾ音源で過去の音楽の見直しが進んで、勢いアナログ市場も上向きに・・・なんてことになって欲しいものですけれど、まぁそう上手くは行きませんよね。いずれにせよ、ONKYOさんにはもっと頑張って頂いて、BLUE NOTEのラインナップをどんどん拡充して頂きたいと思います。



胃痛にバルトーク

昨日までは酷い胃痛に悩まされていた私ですが、今日はようやく痛みから解放されました。あの胃痛はどうやら、一昨日から続く神経性のものだったようですね。というのも、気晴らしに購入したバルトークのヴァイオリン協奏曲を徹夜で聴いていたら、いつのまにか直ってしまったからです。

我ながら単純というかなんというか。しかし、もっと唯物的な人格だと思っていたのですけど、私も案外精神的な存在だったのですね。
良い音楽が万病に効くかどうかは知りませんが、私の精神には効くようです。ただし、その質は大いに問われるところですけれども。生半可な演奏では、かえって苛々しますから。

というわけで今晩は、胃痛に効いたバルトークをご紹介しましょう。

LINK
http://www.e-onkyo.com/music/album/chan10690/

タイトル :Violin Concertos Nos. 1 & 2 - Viola Concerto
演奏   :BBCフィル&James Ehnes

まず印象的なのは、とにかく演奏が素晴らしいという事。ソロは端正で非常に正確なのですが、それでいて力強さがみなぎっており、表現力は圧倒的です。正確さと起伏に富んだ表現は両立されないことが多いのですが、この演奏者はその両立をハイレベルでこなしているのですね。

オケの演奏も、一糸乱れずという印象。ダイナミックレンジの大きい劇的な曲ばかりなのですが、その爆発的な展開のさなかでさえ、音が粗暴になる事はありません。きちっと整っていて、美しいのです。素晴らしいソロと、素晴らしいオケ。ドラマチックでありながら決して乱れる事がなく、その技術の高さにまず圧倒されます。

曲は、やや癖が強い印象。言うなれば、モーツァルトのようにキャッチーなメロディを中心に曲を組み立てるのではなく、ブラームスのように、個性の強いメロディとオケの調和で曲を編み上げていくような、と言いましょうか。
特にヴァイオリン協奏曲1番は、ブラームスを彷彿とさせる展開です。

ところが、バイオリン協奏曲第二番は、突然近代的な印象に。ブラームスよりはガーシュウィンに近いリズムの使い方をしているように感じます。この、ミュージカルっぽい展開の仕方も、ガーシュウィンを彷彿とさせられますね。

転じて、晩年の作であるヴィオラ交響曲は、再び古典的な表情を持っているように感じました。特に第一、第二楽章は、やっぱりなんとなくブラームスを思わせるような。ところが、第二楽章の終盤から第三楽章にかけて、表情が一変するのです。

これは、民族音楽のテイストでしょうか。序盤はまるで儀式的な激しい舞踏のような、ちょっぴり妖しい雰囲気です。ところが本当に突然調子が変わって、中盤は健やかでやや中世的なメロディになります。これが再び転じて、終盤はまた序盤のメロディに。
まるで一つの曲の中間に、リミックス的に別の曲を挟んだような構造になっているのです。

なんだか不思議な構成なのですが、それでいて破綻している訳でもなく、普通に良い曲なのですよね。実を言うと私は、この不思議な第三楽章が一番好きだったりします。

普段は古典ばかりで、こういった新しめの時代の作曲家の作品は聴かないのですが、聴いてみるとなかなか良いものですね。もともとブラームスが好きだった事もあり、バルトークは肌に合うようです。

ところで、聴いていてふと思ったのですが・・・久石さんって、音の使い方がどことなくバルトークに似ているような気がしませんか。気のせいかも知れませんが、久石さんも時折、バルトークのようなちょっと不思議な節回しを使うのですよね。あとは、リズムの変化の付け方も似ているような気がするのです。
まぁ、特に根拠がある訳でもない、ただの思いつきなのですけど。


端正に、美しく。

今日は天気こそよかったものの、風の強い一日でしたね。一般には良い天気という事になるのでしょうけれど、イネ科花粉症持ちにはある意味最悪の天気。花に水をやるために窓から顔を出しただけで、鼻水とくしゃみが止まらず、目には猛烈な痒みを覚える始末です。

不審者扱いされずに済むなら、ミリタリーショップでフルフェイスの防毒マスクを買って来て、装着しても良いくらい。というわけで、今日もほぼ一日引き蘢って、何も手に付かないので音楽を聴いていました。

ジャズと珈琲の休日。花粉症さえなければ最高に優雅な筈なのに・・・というようなことを最近書いたような気がしますが、今日もまさにそんな感じの一日です。まぁ、御陰で買ったばかりのアルバムを、じっくりと聴き込むことができたのですけどね。

LINK
http://www.e-onkyo.com/music/album/tkgv83/

タイトル  :Bewitched (邦題:魅惑のとりこ)
アーティスト:エディ・ヒギンス・トリオ
エディ・ヒギンズ(p)ジェイ・レオンハート(b)ジョー・アシオーネ(ds)

画像はAmazonのCDにリンクしていますが、私が聴いているのはCD版ではなくて、URLのハイレゾ音源版です。
ピアノは特にハイレゾ音源の良さが分かり易い楽器なので、是非ともハイレゾ版をお勧めしたいところですね。もっとも、24/96に対応している音源がないと16/32に再エンコードされてしまうので、単にハイレゾ音源だけを用意しても意味はないのですが。

アルバムの内容は、ざっくり一言で括ってしまうと、喫茶店系のジャズとでも言いましょうか。あるいは奇麗系、ないしお洒落系。ピアノを主体にしたメロディアスで上品な、大人っぽい雰囲気のジャズナンバーを聴かせてくれます。

曲目は、「What A Difference A Day Made」「Detour Ahead」「Autumn Leaves」などといった、私のようなジャズ初心者でもちょっと聴いた事のあるようなスタンダードナンバーが並びます。とは言っても、それらはトリオ用の曲という訳ではありませんので、当然かなりアレンジされているわけでして。よく聴くそれらのイメージとは結構違っていたりするのが、まず新鮮で面白いですね。

逆に、以前にエディ・ヒギンスを聴いた事があるなら、アレンジに「らしさ」を強く感じるのではないかと思います。私は「Dear Old Stockholm」のハイレゾ版で彼のファンになったクチなので、あぁ今の節回しは前にもあったなぁ・・・という部分が結構ありました。多分、演奏者の癖になっているアレンジなのでしょう。

ピアノ主体という事なので、おとなしい曲ばかりかと言うと、決してそんな事はありません。疾走するリズムに乗せて、メロディが弾む曲もあるのです。
例えば5曲目の「Beautiful Love」。一度聴いたら忘れられない、格好良いメロディラインと疾走感に痺れます。この曲はお勧めですね。

アルバム構成としては、この曲はちょっと雰囲気を変えるための一曲なのでしょう。一曲目〜四曲目は比較的おとなしめで、例えば深夜の落ち着いたラジオ番組のBGMですとか、テレビショッピング(外国人の寒い小芝居の入らないタイプ)のBGMに使われそうな雰囲気。
しっとりと落ち着きながらも程よく弾むリズムと、ショッピングモールの華やかな照明を思わせるような和音のきらめきで、明るくリラックスした雰囲気を造り出しています。

そこへきて、五曲目はのっけから走っています。メロディの雰囲気もややシリアスで、情熱的。それまでのまったり明るい系の曲とは一線を画していますね。
次の「Alice In Wonderland」はいきなりワルツ。急減速はせずに疾走感をうまく緩和したかと思うと、続く「Angel Eyes」では、深夜の街を思わせるようなミステリアスな雰囲気を楽しませてくれます。

「The Philanthropist」は、まるで初夏の午前中を思わせる爽やかさ。港の風景が似合うかも知れません。これも、是非聴いて頂きたい一曲です。続く「Estate」では、さらに日差しが強くなる印象。もうリゾート風と言ってしまっても良いのではないでしょうか。マイナートーンの部分は深い影を思わせ、転じて明るく駆け抜ける旋律は、まるで涼風のようです。
一言で表してしまえばどの曲も「お洒落」。でも、その表情は実に様々で、飽きる事がありません。

エディ・ヒギンスは、とても素直で端正な、ピアノの透明感を前面に押し出したアレンジと演奏が特徴的なアーティストです。決して粗暴な音を出す事はなく、無闇に乱れる事もなく。それでも、それは表現力の乏しさを意味するものではありません。
私達素人には雑音にしか聞こえないようなマニアックなアドリブが入る事もないので、非常に聴き易くて落ち着けるところが好印象。BGM向きと言われる所以でもあります。

一方で、そこがマニアや自称「通」には評価の低い部分でもあるようなのですけれどね。しかし、「聴かせる音楽」としてであれば、彼のスタイルは正解でしょう。乗って楽しむスタイルの音楽もそれはそれで立派に音楽ですが、両者をごっちゃにして優劣を付けるのは誤りであると、私は思います。

リラックスして楽しめる、きれいで落ち着いたジャズがお好みなら、エディ・ヒギンスは是非一度聴いて頂きたいアーティストです。


どうやら本気のようですよ?

今晩は、ハイレゾ音源のお話を。昨日の日記でも少し触れましたが、このほどONKYOさんのハイレゾ音源配信サイトがリニューアルされました。
従来は普通のCD音源とか、面倒なDRMつきの音源もかなりの割合で含まれていたのですけど、それらは全て廃止に。新しいサイトはハイレゾ音源に特化し、しかも全てDRMフリーというある意味革命的なサイトに生まれ変わったのです。

http://www.e-onkyo.com/music/

DRMフリーでの配信は他社でもありましたが、それらは全て低音質の圧縮音源。ロスレスである上にハイビットレートの音源をDRMフリーで、なんて、既存のレコード会社にはまず無理でしょうね。

もともとこのサイトは、既存の市場に固執しているレコード会社がハイレゾ音源配信に否定的だったため、業を煮やしたONKYOさんが独自に開始したという経緯があります。
なぜそれが必要だったかというと、幾ら性能の良いハードを作ったところで、ソフトが駄目なら能力は活かせないからです。

魅力のない悪い音源しか手に入らないなら、どんなに高性能化したところでオーディオの価値は減る一方。顧客がどんどん離れて行くのは自明の理でしょう。ところが、実際衰退傾向にあるオーディオおよび音楽市場に対し、レコード会社が出した答えは質の向上ではなく、こともあろうに規制の強化だったことは、皆さんもご存知の通りです。

質の悪いものを高く売りつけ、利用者の自由度をなくして自分たちから購入せざるを得なくする・・・肥大化した組織にはありがちな、自滅への王道パターンですね。既得権益を守り、癒着を続ける事しか頭にない、最悪の官僚体質。要は、日本の病理です。しかし、それに対して正反対の解答を示したのが、ONKYOさんでした。

必要なのは高品質である事、そして手軽である事。その実証としてとった行動が、自社での音源配信だったのです。
当初はソースを集めるのも大変だったそうですが、オーディオファンに受け入れられるにつれ、逆に音源を持っている会社の側から話が来るようになったのだとか。

恐らく、当初多かったCD音源やDRMつきの音源は、そういう苦労の現れだったのでしょう。オンライン配信が利益になるという確信が持てない原盤権所持者側からすれば、ビットレートを落としたりDRMをつけたりして、それがCDの売上げの邪魔にならないようにしたかったのでしょうね。

しかし、このほどのリニューアルで、そういった不自由な、あるいは低品質な音源は一切が排除されました。あくまで高品質、あくまで自由。初心を貫徹せんとする、その潔さに痺れます。

あえてサイトのアドレスまでも変更し、ONKYOのショッピングモールからも切り離してのリニューアルオープン。これはソースが揃ってきた事による余裕の現れともとれますし、また、この試みが成功であるという認識の現れともとれるでしょう。
以前よりも明らかに扱い易くなり、軽快になったサイトのサービスからも、これに賭けるONKYOの本気度が伺えます。

緩やかな死が現実のものになりつつあるレコード会社の惨状を尻目に、実はこのところ、高級オーディオ業界は上向きだそうです。
その牽引役になっているのが、ハイレゾ音源。特に近頃は、DSDが注目されているようですね。ONKYOさんもDSD配信の音源をどんどん増やしてきていますし、DSD対応を謳った機器もどんどん増えてきています。

もちろんどう頑張ったところで、音楽がスタイルやステイタスだった時代のようなバブルはもうないでしょう。でも、本当に音楽が好きだった人達まで離れてしまっていた世界に、もういちど人が戻り始めているのなら、少なくともそれは成功と呼ぶべき成果なのではないでしょうか。

誰も本気にしなかった、ハイレゾのDRMフリー配信。それが持続的に利益を生む事を実証してみせる事で、ONKYOは自社の活路を切り拓くと同時に、レコード業界の過ちを立証してみせました。その旧サイトとラインナップは役目を終え、より理念に忠実な新サイトへ。彼等の試みが抗えない流れとなるのかどうか、ここが正念場です。

私は、この試みを大いに支援したいと思うのですよね。なので、とりあえず記念に一枚、アルバムを購入したのですが・・・おっと、音源についてもお話しするつもりだったのに、前振りが長くなり過ぎてしまいましたね、どうにも語りすぎるのが私の悪い癖です。というわけで続きは、また明日にでも。


ドヴォルザーク:交響曲第7番/第8番

皆さん、連休初日はいかがでしたか。東京は良いお天気で、絶好の行楽日和でしたね。そんな天気とは裏腹に、私の連休初日はひどくブルーなものでしたが、ようやく各種雑用も終えて部屋でくつろいでいます。

こういう時間のお供は、やっぱり珈琲と音楽。ジャンルはクラシックが良いですね。ジャズやロックも好きなのですけど、本当に疲れてしまうと、なぜかクラシック以外は苦痛になってしまって駄目なのです。
目を閉じて、体の力を抜いて、ほーっと息を吐きながら浸り切る事ができるのは、やっぱりクラシックなのですよね、私にとっては。
というわけで、本日は久々に音楽のを話を。

LINK

アルバム名:ドヴォルザーク:交響曲第7番/第8番
販売   :ナクソスジャパン
指揮   :マリン・オールソップ
演奏   :ボルティモア交響楽団

上の画像は、今聞いているアルバムのオリジナル版です。e-onkyo.comというサイトでこれの24/96版のファイルが配信されていまして、私が実際に聴いているのは、こちらのハイレゾ音源版ですね。

http://music.e-onkyo.com/goods/detail.asp?goods_id=nbd00103

RASTEMEのUDAC192HからTU-877改を通して再生中。さすがにハイレゾ音源というだけのことはあって、音の生々しさが全然違います。44.1kHzのCDとはダイナミックレンジも別次元ですので、クラシック好きの方には是非このハイレゾ音源を試して頂きたいですね。

もちろん、良いのは音だけではありません。NAXOSがわざわざハイレゾ音源としてリリースするだけの事はあり、メリハリがあってドラマチックかつ美しい演奏です。
まず感じるのは、歯切れの良さですね。例えば交響曲第七番の第四楽章の序盤、ストリングスが勇ましいフレーズを奏でる部分があるのですが、このストリングスのスタッカートの気持ち良い事と言ったら。久しぶりにバイオリンを引っ張り出したくなったほどです。

管楽器の表情も素晴らしく、同じく第七番の第二楽章の冒頭などは、思わず溜息をついてしまうほどの繊細で優しい表情を見せます。この情景はなんでしょう、喩えるなら柔らかな霧に包まれた街や森に、朝日が射し始めるかのような。そんな涼やかで柔らかで、潤いのある音の世界が広がります。

お勧めは、やっぱりこの交響曲第七番第二楽章と、第四楽章。そして、交響曲第八番は第一、第二楽章が共に良い感じですね。一押しは第二楽章ですが。
今は疲れているというのもありますが、この穏やかで美しいフレーズは本当に沁みます。喩えるなら、森林浴でもしているかのような気分。

もちろん穏やかなだけではなく、時折はっとするような緊張感のあるワンフレーズが現れたりもします。ただ、そのままシリアスに突っ走るのではなく、すぐに転じて柔らかい印象のフレーズで受けとめるのですよね。

このほんの僅かな緊張が、つづく柔らかさ、優しさを強く強く印象付けるのです。これが本当に心地良いのですよね。例えば、暖かいお風呂に浸かったとき、体からふっと力が抜けて、まるで疲れがお湯に溶けて行くかのように感じる、あときの感覚。疲れたときはこれに限ります。

ドヴォルザークと言えば有名なのは「新世界から」ですよね。おかげで、クラシック初心者からは、激しい曲を作る人と思われている場合が多いようです。しかし、実はそうではないのですよね。むしろ、有名なあのフレーズはドヴォルザークの作品の中でも、とりわけドラマチックな部分なのではないでしょうか。

彼の作品はどちらかといえば健やかで、どこか牧歌的。むしろ優しいフレーズこそが、彼らしさなのではないかと私は思っています。
そして、彼の曲の優しさの良いところは、決してネチネチとイヤラシくならないというところ。いつも素朴で、どこか清潔感があるのです。言うなれば、描かれているのが人間の感情や内面世界ではなく、むしろ自然の情景である、ということなのではないかと。

ネチネチ系のフレーズと言えば、すぐに思い浮かぶのはチャイコフスキー。私、基本的に嫌いなのですよね、チャイコ。白鳥の湖とか、イラっとくるのです。ああいった類いのネットリ系フレーズがお好きな方には、ドヴォルザークは逆に物足りないかも知れません。

ところで、ドヴォルザークはブラームスの弟子だったそうですね。そのせいか、彼の作品にはブラームスの影響が色濃く見られます。例えばこの交響曲第七番にはブラームスの交響曲第三番が、交響曲第八番にはブラームスの交響曲第四番が登場するとかしないとか。
思えば、曲の傾向も似通っている気がしますね。ブラームスもドヴォルザークも、森や山、雨や霧といった自然の情景がとても良く合います。

ただ、ブラームスとドヴォルザークなら、ドヴォルザークの方が親しみ易いですね。ブラームスはドヴォルザークをかなり気難しい哲学者にしたような感じ、とでもいいましょうか。感動的だし表現力も素晴らしいのですけど、親しみ易さならやっぱりドヴォルザークかな、と。師弟共に大好きな作曲家なのですが、あえてどちらか一方を推すなら、私はドヴォルザークを選びます。

もし「新世界から」しかご存知でないなら、是非交響曲第七番を聞いてみて下さい。きっと、ドヴォルザークのイメージが変わると思いますから。

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