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日々の便り

 

グリーグ・ピアノ協奏曲イ短調

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販売:キングレコード
番号:GXP-9004
シリーズ:STEREO LABORATORY -LONDON CLASSICS- Vol.15
タイトル:グリーグ ピアノ協奏曲イ短調
ピアノ :ラドゥ・ルプー
指揮  :アンドレ・プレヴィン
演奏  :ロンドン交響楽団

例によって映像はCDバージョンのものです。Amazonアソシエイトの映像はサイズがまちまちなので使いにくいですね、ちゃんと統一してくれれば良いものを。CDの映像で気付かれた方もおられるかと思いますが、このレコードのオリジナルマスタはDECCAのもので、それをキングレコードがステレオ・ラボシリーズのなかの一枚として販売したのが、このアルバムのようです。

録音は1973年、ロンドンにて。ちょうど我が家のPioneer MU-61が販売されていた当時のものですね。収録されているのは、上のCDの後半3曲、グリーグのピアノ協奏曲のみです。手元のレコードのジャケットは黒地で、中央上側の赤い円形を背景に、なぜか木管のバルブ部分が描かれているのですよね。おかげで私はジャズか何かだと思ってタイトルを読まずに再生したのですが、クラシック、それも大好きなグリーグだったので驚いたものです。

まず音質ですが、最初に聴いた時には、とにかくそのド迫力に圧倒されました。とにかくダイナミックレンジが広いのですね。小さな音も鮮明で、それでいて大音量の部分のパワーが半端ではありません。なにより意外なのは、割とユルめの低音になる小出力のシングルアンプで、低音部が非常に引き締まった音になった、ということでした。

低音の量感が非常に印象的なのですが、低音楽器の倍音がきれいに再生されているせいか、ボワついた印象にはならず、腹に響きます。しかも、非常にスピード感があるので、全体でバンっと音を出すようなシーンでは、思わず首をすくめたくなるほどです。

主役のピアノも、オケの迫力に負けてはいません。むしろ、たった一台でオケと渡り合うほどです。A面の冒頭はピアノのソロから始まるのですが、最初の一音、鍵盤を強く強く叩き付けるその音は、思わず目を見張るほどのものでした。目の覚めるような、最初の一撃。そんな感じの導入でしたね。

一回目のレコードプレーヤー修理が完了したとき、最初にきちんと再生したのがこのアルバムだったのですが、この演奏が私をレコードの底なし沼に引きずり込んだと言っても過言ではありません(笑
手元のCDやハイレゾ音源のグリーグと聴き比べても、ここまでの歯切れよさ、音の広がり、ダイナミックレンジ、そしてスピード感を併せ持った録音はなかったものですから、それはもう夢中になって何度も再生したものです。

ただ、これを最高だと思ったのは、まだ他のレコードを聴いていなかったからなのですよね。昨日ご紹介したCBS/SONYのレコードと比べてしまうと、いかんせん音に粗さを感じます。非常に迫力があるのですけど、音が暴れ過ぎていると言いますか。ややザラッとした、粒子の粗い印象を受けるのです。それは特に、弦に現れているように思いますね。それから、大音量の部分など、音が少々割れ気味になっているところもありますね。

ただ、それでいながら、ピアノの表現は特筆すべきものがあると思いました。というのは、音色以外の音もちゃんと聴こえるからです。ピアノをよく知っている人なら、よくある「ピアノの音」は少々不自然な音に感じるかも知れません。というのは、それらは大抵オフマイクで録音したかのように弦の音のみが聞こえる状態でありながら、まるでオンマイクであるかのようにタイトな音で鳴っているからです。

ピアノを間近で聴いたり、実際に弾いたりすれば分かることですが、本当は「ピアノの音」が出る前に、ハンマーの音が聞こえるのです。そして、「ピアノの音」のあとにも、ハンマーの下がる音が聞こえます。それは微かなノイズなのですけど、それが聴こえるかどうかでピアノの表情は全然違って来るのです。これは、ピアノに限ったことではありません。ギター然り、バイオリン然り、音色とノイズは本来不可分な表裏一体のもので、共に音楽を表現している重要な要素なのですね。

このレコードのピアノは、そういうピアノの本来の音が持つニュアンスを生々しく伝えていて、変に奇麗なところだけ抽出された「ピアノの音」ではないのですね。もちろんそれは、ただ大きな音で収録されているとかいうような、単純な補正ではありません。柔らかい音は柔らかく、弱い音は弱く、それでいてときに強く鋭く、ピアノが歌います。

高音質って、何なんでしょう。そんなことを、ちょっと考えさせられる一枚でした。


アランフェス協奏曲/ある貴紳のための幻想曲

さて、レコードプレーヤも復活したところで、そろそろ聴いたレコードの話も少しずつ始めていこうかと思います。というわけで、本日ご紹介するのがこちらのアルバム・・・の、一曲目と二曲目。マスターは同じなのですが、こちらはCD版なので、容量が増えた分あと二曲付け足されているようですね。

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画像は、著作権違反回避のためにAmazonアソシエイトを利用しています。LPを紹介する場合、そのものずばりの画像がなかなか無いのが痛いですね。一応、録音年と指揮者などの情報でマスターが同一かどうかはチェックできるのですが、できればそのものの映像を載せたいところです。
まぁ違法では致し方ありませんが・・・。では、気を取り直して紹介の続きを。

販売:CBS/SONY
番号:SOCL-1029
シリーズ:ニューベスト・クラシック100選
タイトル:アランフェス協奏曲 ある貴紳のための幻想曲 
ギター :ジョン・ウィリアムス
指揮  :ユージン・オーマンディ/チャールス・グローヴス

A面はアランフェス協奏曲で、指揮はオーマンディ、オケはフィラデルフィア管弦楽団です。曲はあの有名なアランフェス、演奏はクラシックファンならお馴染みのオーケストラですから、オケのクオリティについてはあえて解説するまでもないでしょう。良く整っていて、歯切れ良くパワフルなアランフェスを聴かせてくれます。

ただ欲を言えば第二楽章はもう少し、しっとりと演奏してくれても良かったような気がしますね。まぁこのあたりは、ギターの演奏者の特徴に合わせているのかも知れません。
曲中唯一温度が下がり、フレーズ的には沈み込むような陰影を思わせる第二楽章も、彼にかかるとどちらかといえば情熱的な部分が前に出て来るようで・・・。温度が下がらないのですね。
とにかく表情豊かで熱いギターなので、第三楽章の冒頭などでは、その豊かな表現力にドキドキさせられます。全体的には素晴らしいアランフェスと言って良いのではないでしょうか。

B面は、ある貴紳のための幻想曲で、指揮はチャールズ・グローヴス、イギリス室内管弦楽団です。
A面と比べると、B面のオケはやや演奏がユルいようです。非常に見通しの良いA面の演奏と比べると、B面は高音の木管がややもやもやした動きをしていまして、私が指揮者だったらやり直しさせるのになぁ、という場面もちらほら。
音が混濁しているのではなくて、オケが混濁してますよ、指揮者さん(汗

とはいえギターの演奏は素晴らしいですし、金管と弦が良いのですよね。盛り上がる場面や静かなバックの上で金管が遠く鳴り響くようなシーンでは、ぞくぞくするような素晴らしい表情を見せてくれます。
特に、四曲目の「斧の舞曲」はお勧め。冒頭から躍動感に溢れる弦とギター、金管の絡みを楽しめます。でも相変わらず木管がややアレなのは録音のせい・・・ではなさそうですね。
五曲目の「カナリオ」も四曲目に引き続き、舞曲形式。ギターの躍動感が素晴らしく、楽しく聴かせてくれます。

アランフェスの重厚なイメージと比較すると、B面のある貴紳のための幻想曲は、かなり牧歌的なイメージですね。特に最後の二曲が舞曲なので、余韻がとても明るいのもそう思わせる部分なのかも知れません。

CD盤は聴いていないのでよく分かりませんが、LP盤の録音はたいへんクリアで、特にギターはかなりオンマイクで録音したような雰囲気です。ぐっと力を入れて盛り上がる部分の躍動感は、演奏者の身振りをリアルに想像出来るほど。熱量タップリのクラシックギターを楽しませてくれます。
LPはCD以上に会社ごとの音の違いがハッキリ出るようで、このCBS/SONYのシリーズは、どのアルバムを聴いても音の傾向はハイスピード&クリア。CDと似たような傾向で、CD以上のワイドなダイナミックレンジと音の広がりを楽しませてくれます。

とりあえず、CBS/SONYは音が良い、と覚えておいて良さそう。中古のLPでクラシックを探すなら、CBS/SONYは狙い目かも知れません。

ところで、押し入れから発掘したとき、このアルバムにはまだシュリンクパッケージが半分破けた状態で残っていました。どうやらロドリーゴは父の御気には召さなかったようで、盤面もほぼ新品同様。御陰で、録音の良いLPの威力というものをたっぷりと堪能させて頂きました。
私はロドリーゴが大好きなので、これは本当に幸運な巡り合わせです。この一枚は、これからも大事に聴きたいですね。


今度こそ、修理完了。

さすがにこう夜更かし続きだと体が持ちませんね。今日は帰りの電車内で立ったまま意識が飛びかけ、あわやiPhoneを落下させそうになったところで我に返りました。まぁケースをつけているのでそのくらいは大丈夫なのですけど、目が冴えるには充分な刺激でしたね。すんでのところで難を逃れたiPhoneを、私がすぐさまポケットにしまい込んだのは言うまでもありません。

なぜそんなにボロボロなのかと言いますと、つまり頑張ってしまったのですね、昨晩も。よせば良いのに、ユニットが完成するところまで作業を続けてしまいました。で、完成したのがこちらの写真の回路です。

2013-02-26
2013-02-26 posted by (C)circias

回路の上に置いてあるのが、オリジナルのネオン管。LEDアレイのサイズが、ネオン管の発光部のサイズにほぼ合わせてあるのはお分かり頂けるでしょうか。LEDは極端に指向性の強い点光源なので、一本だけでは灯りも点にしかなりません。しかし、この場合求められているのは、ぼんやりとした「面」の光源なのですね。仮に超高輝度型のLEDを投入したとしても、投影されるのが点では用をなしません。そこでアレイです。

LEDは5個を直列にしたものを、極性を逆にして並列接続してあります。このようにすると、交流の+側で一方が、マイナス側でもう一方が点灯するので、ネオンを交流に接続した場合の光り方を再現出来るのです。耐圧の問題は、点灯する側のLEDのVfが解決してくれます。並列なので、両者にかかる電圧は同じ。そして、その電圧は電流を通している方、つまり光っている方のVfによって決定されるのです。

LEDの電圧降下は2V〜3V。これに対して逆耐圧は5Vあるので、問題ないというわけですね。そして、電流制限の抵抗は1W 510ΩをLEDアレイの両端に一個ずつつけています。こうしているのは、分圧で一個あたりの発熱量を減らすため。この回路ですとおおよそ17mA程度流れていますので、1W型なら暖かくなるかどうかという程度で済む筈です。(電源内に直列に4KΩが入っているのをお忘れなく)

ランプをハウジングに封入する際、クッション代わりに熱収縮チューブにセルスポンジを詰めたものを、回路の下側にセットしておきました。セルスポンジのみだと絶縁に不安があるのですが、熱収縮チューブでくるめば安心です。弾力があって、このてのものをマウントするためのスペーサーとしてはなかなか優秀ですよ。

さて、全て組み上げたら、ターンテーブルを実際に回して、回転数調整ができるかどうかを確認します。その結果がこちら。

2013-02-26
2013-02-26 posted by (C)circias

充分に明るいですね。そして、縞模様もちゃんと静止して見えます。いかんせん輝度の高いところが複数出来るので、ネオンと比べると像がややぼやける感は否めませんが、充分実用範囲でしょう。なにより、灯りをつけた部屋でもしっかりと視認出来るというのが重要です、主に精神的に。どうやら、修理は成功のようですね。

さて、これでこのプレーヤーの修理も、今度こそ完了。さすがに、これ以上壊れるところはそうそうないでしょう。というか、制御回路に壊れられたらお手上げなので、それは勘弁して欲しいところです。そういった致命的なトラブルさえ起こらなければ、この状態でもう10年はいけるでしょう。設計時の耐用年数なんてとっくに突破している筈ですが、まだまだ当分現役ですよ。素晴らしいじゃありませんか!

それにしても、明るさも色もほとんどオリジナルと変わりないというのに、離れて眺めると、やっぱりネオンとLEDは違いますね。やっぱりネオンの方が趣があって良いのですよねぇ、手に入らないものは仕方ないですし、違うのは予め分かっていたことなのですけど。

どうせニュアンスが同じにならないのなら、いっそ青とか緑とか、当時では有り得なかった色にしてしまうのも面白いかなとは思ったのですが、さすがにそれはこの古めかしい外見に似合いそうにないので、やめておきました。こういうのはやはり、灯りの色も含めてデザインですからね。それに私は、オレンジ色の灯りが好きなのです。

一頃からオーディオに青色LEDを使うのが流行っているようですけれど、あまり好きではないのですよね。私の中では、やっぱりオーディオの灯りはオレンジなのです。それはもしかしたら、幼い日の私が見た、このプレーヤーの灯りの色だったのかもしれませんね。

徹夜明け、全力疾走。

このところ夜更かしが常態化してしまっているもので、朝は毎日遅刻寸前です。とはいっても、別に8時近くまで寝ている訳ではありません。まだ5時台に起きて遅刻寸前なのです。6時になったら遅刻確定。なんだか理不尽だなぁとは思いつつ、かれこれ10年以上このパターンです。

では帰りはのんびりかというと、そうでもありません。7時までに帰って家族の夕食を作らないと、夜間勤務の父の出勤に間に合わなくなるからです。夜の方のタイムリミットができたのは、まだここ2年ちょっとなのですが、これができてからこちら、会社帰りに途中下車することができなくなってしまっていました。

ところで、会社の帰りに通過する駅には電子部品屋がありまして、一頃から私はそこの常連客でした。しかし、夜7時のタイムリミットができてからこちら、しばらくご無沙汰になっていたのです。

もしそこに寄るとすれば、電車を降りて全力ダッシュで店まで行き、予め控えておいたリストを渡して手早く買い物を終え、再び全力で取って返して電車に乗るしかありません。正直、不毛です。何が悲しくて、クタクタになってグッタリしている帰り道に、しかも、このあとまだ家事があるのに、そんなことをしなければならないというのでしょう。普段の私なら、まず挑戦しようとも思いません。

しかし、今日の私はひと味違っていました。やりましたよ、全力疾走。しかも、昨晩は結局徹夜で、仮眠を少々とっただけの状態だったというのに。何のためにかと言えば、これを作るためです。

2013-02-25
2013-02-25 posted by (C)circias

そう、昨日のネオンユニットの代替品ですね。たまたま小型LEDの在庫が見付かったので、足りない部品を買いに走ったのです。できることなら、今晩中に片付けて、またレコードを聴いたり洗ったりのほうに戻りたかったものですから。しかし、考えが甘かったようです。これが、思った以上に時間のかかる仕事でした。

写真は、ユニットの現在の状態。なにしろ小さいLEDの足をひとつづつラジオペンチで修正して、60Wという強過ぎる半田ごてで、熱破壊にならないようにハンダ付けしてアレイを作るという難作業を、この徹夜明けのボケた頭でやろうとしているわけですから。もう少しまともな状態で、30Wのコテがあったら、今頃完成していたはずなのですけどね。夕食後からかかりっきりで、只今の状態が上の通りです。

さすがにそろそろ集中力が切れかけてきましたね。一風呂浴びて、続けられそうならもう少し頑張ってみましょうか。いや、普通に考えて、今日は諦めて寝るべきですよね。でもなんだか、目が冴えてしまって・・・。あるでしょう、限界寸前の高揚感。あるひとはそれを、漫画家's ハイと呼ぶとか、呼ばないとか・・・。

部品が無いなら、作ればいいじゃない。

つい先日修理完了宣言をしたターンテーブルのMU-61ですが、さっそくまた故障してしまいました。故障箇所はネオンランプ。回転数確認とパイロットランプを兼ねていた、オレンジ色のランプです。先日まではついたり消えたりだったのですけど、とうとう点灯までに数時間を要するようになってしまい・・・いかんせん、精神衛生上よろしくないので、修理することにしました。

というわけで、まず分解。今回は回路を弄るので、横着せずにキャビネットからユニットを丸ごと外し、スイッチユニットのカバーを取り除きます。

2013-02-24
2013-02-24 posted by (C)circias

写真中央付近に映っている、黒いユニットがネオンランプですね。中身を取り出すと、こんなものが入っています。まるでグローランプか真空管かといった風情ですが、このユニットが製造された頃のレコードプレーヤには多く使用されていた、エレバム(ELEVAM)のNL-72というネオンランプです。

2013-02-24
2013-02-24 posted by (C)circias

検索すると、海外でもこれの代替ユニットを探しておられる方がおいでのようですが、さすがに今これを手に入れるのは簡単ではないでしょう。ネオン管の専門業者にご相談ということになるのでしょうが、さすがにそれは高くつきます。というわけで、手に入る部品で代替ユニットを組むことにしました。

とはいえ、いきなり適当なものを繋ぐ訳にもいかないので、まずは電源部を分解して、回路を確認。どうやら交流100Vを、3W 4KΩの抵抗を介して直結しているようですね。

用意したのは、サトー電気で販売している、国産の中型ネオン球。さすがに、この大型管と同じ電流を流せるとは到底思えません。しかも管の情報が全くないので、とりあえず安全のため、サイトのサンプルと同様に100kをかませておきます。普通は40kくらいで良い筈なのですが、吹っ飛ばれても嫌ですし。作成したユニットがこちら。

2013-02-24
2013-02-24 posted by (C)circias

いかにも心許ないのですが、これしか手に入らないのだからまぁ仕方ありません。テストしたところ、そこそこ明るく光るので、とりあえずこれでよしとしましょう。実際に使ってみてあまりに暗くて困るようなら、LEDを使って代替ユニットを組むのも手です。その時のために、ラインにコネクタをとりつけて、いつでも簡単にユニット交換を行えるように改造しておきました。

さて、一通り組み直して、さっそく電源を投入してみたのですが・・・暗いですね、予想以上に。まぁパイロットランプにはなっていますし、回転数チェックもできるので用をなしてはいるのですが、いかんせん寂しいです。

2013-02-24
2013-02-24 posted by (C)circias

こうなったら、やはりLEDしかないでしょうか。でも、オレンジ色の高輝度型ってあまりないのですよねぇ。あと、抵抗とか大型になるのがどうにも。最悪、電源ユニットの抵抗器を交換する形で対応するしかないでしょうか。・・・ん? そういえば、電源ユニットに4Kオーム3Wの抵抗がもう入っているのですよね?

おやおや、これはちょっと光明が見えてきたような気がしますよ。直列抵抗はそれだけでほとんど足りますね。安全のために、もうちょっと足してやった方が良いかも知れませんが。ならば、善は急げです。レコードの洗浄と並行して、ランプユニットの新規制作も進めることにしましょう。今週も、色々と忙しくなりそうです。

こうして街は死んで行く。

本日この時間は番組「決着、レコードクリーニング作戦!」をお送りする予定でしたが、急遽予定を変更して(略

冗談はともかく、予定外のことが色々とあったものですから、結局今日は家事で一日潰れてしまいました。母が実家に行ってくるというので私が主婦を仰せつかった訳ですが、掃除と炊事だけとはいえ、一人でやるとなるとさすがに疲れます。なにぶん、家族が多いものですから。

夕食のメニューはマーボ豆腐、なめことネギのみそ汁、キャベツとグレープフルーツの甘酢和え。一見脈略の無い組み合わせですが、栄養素的にはバランスが良いですし、味の取り合わせとしては悪くないのですよ、お試しあれ。

そんなこんなで夕食作りも大変だったのですが、それよりなにより、今日の疲れの原因はこちら。

2013-02-23
2013-02-23 posted by (C)circias

写真はいきつけの自転車屋さんです。老夫婦が営む小さな店で、私が小学生の頃からずっとおつきあいのあった店でもありました。
あまり愛想はないけど手際は良いおじいさんと、やたら愛想の良いおばあさん。絵に描いたような老夫婦の店ですね。自転車が壊れたといって持って行くと、おばあさんが出してくれるお茶を飲んでいる間に修理が完了してしまう、そんな素敵なお店だったのです。

写真にも写っているカウンターで、何度自転車の防犯登録を書いたことか。思い出すと、ちょっと目頭が熱くなってしまいますね。
せめて閉店前にご挨拶くらいしておきたかったのですけど、本当に突然のことでした。本当につい最近まで、普通に営業していた筈なのですが、いったいどうしたというのでしょう。御歳が御歳でしたし、何かあったのでなければ良いのですが。

実は今日の午前中、台所仕事をしながら耳を傾けていたNHKの番組でも、ちょうど街の過疎化や高齢化の問題を取り上げていたところだったのですよね。

私の街は東京で、交通の便も良く、ベッドタウンとして機能しているので人口は減っていません。それでも、商店街だけがまるで加速するかのように、どんどん年老いて、廃れて行っています。
馴染みの店もほとんど無くなってしまいました。その主な理由は、やはり店主の高齢化、次に地主の相続問題。繁盛していた店が突然閉じたと思ったら、テナントビルになったりするのですよ。

当然ビルにはろくに借り手もなく、入るとしても貴金属買取店のような柄の悪いのだったり。酒屋さんが潰れた後は牛丼屋、その隣はなんでしたっけ、今はブックオフ。
短期間専門の露店まがいの店が出る貸店舗に、100円ショップ、チェーンものの眼鏡店、客が入っているところなんて見たことも無いジュエリーショップ、ドラッグストアがとっかえひっかえ店を出したところもありましたね。 高架下はメジャーどころのチェーン店が一通り。ミスドにマックに王将に・・・。

潰れたのは、ケーキ屋さん、洋品店、模型店、八百屋さん、魚屋さん、お茶屋さん、文具屋さんに本屋さん、そしてパン屋さん。そうそう、レコード店もありました、昔は。あと、カメラ屋さんもありましたっけ、懐かしい。そうだ、靴屋さんもありました。

生活感に溢れた古い店達はどんどん姿を消して、どこの田舎の駅前だというようなチェーン店の看板が次々と並ぶようになり、しかもそれらは次々とできては、簡単に店舗を畳んでしまいます。
老舗が店じまいした後、何度もテナントが変わった場所など幾つもあるのですが、果たして以前そこに何があったのか、思い出すのも難しいほどです。

結果、街の雰囲気は変わりました。とてもよそよそしいのですよ。つまりは、よくある駅前のあの感じということです。なるほど、それは近代的と言えばそうなのでしょう。でも、全く便利でも合理的でもありませんし、居心地も良くはありません。
そもそもあんな狭い地域で同種の店同士で売上げを削り合って、何が良いのでしょうね。それで良いものが安くなるでなし、ひとが集まるでもなし。

結局、ひとは地元から離れて、近隣の大型店舗に吸い取られてしまいます。でも大型店舗って、本当に簡単に移転したり閉店したりするのです。そうすると、その地域には役に立つ店が一軒も無い、なんて状態が、本当に生まれてしまいます。実際、このあたりにはパン屋もケーキ屋も本屋もレコード店も文具店もない、なんて状態がしばらく続きました。
最近、パン屋は半ば趣味的なのが一件出来ましたけど・・・使い物になるのは、むしろマーケットの中に出店している大手のチェーンくらいでしょう。

こうした話はしばしば地方都市の問題として語られますが、そうではないのです。東京の住宅地でも、現に同じ現象が起きているのですね。
これは、消費者だけの問題とか、事業者だけの問題とか、行政だけの問題というような、単純なことではありません。誰かが悪いからそこを直せば良いというのなら、分かり易くてあり難いのですけれど。強いて言うなら、老いた市場経済の晩年の姿とでも言いましょうか。

多分、それは放置してはいけない問題で、何かしなければいけないのでしょうけれど、どうしたら良いものなのでしょうね。とりあえず、地元商店街のいきつけの店を大事にする、くらいしか思いつきませんね。

ところで、自転車屋さんの閉店でなぜそんなに疲れたかと言いますと・・・仕方がないので別の店舗まで持って行ったら、修理に一時間以上かかるとかなんとか。おじいさんなら、ほんの十分程度で済むのに。
それで、自転車無しで買い物をすることになってしまったのです。てくてく歩いて、片道30分以上。これは疲れますよ。結局、2時間歩き回っていました、それも早足で。

まぁ、こうして徒歩で自分の街を歩いてみると、普段気付かずに通り過ぎているものが本当に多いのだと気付かされて、それはそれで楽しい休日だったのですけどね。

さて、修理が終わった自転車を受領した後、なんとなくあのお店の前を通りかかったら、なんと灯りがついているではありませんか。
もしやと思って駆け寄ったのですが・・・店は無人。どうやら、タイマーで店の灯りが灯るようになっているようなのです。それをオフしていないということは、きっとまだ閉めたばかりなのでしょうね。

がらんどうの店の奥のカウンターだけはあの頃のままで、見慣れた時計は壁にかかったまま。棚の書類も残されていて、そこだけ店の時間が止まっているようで。あまりに切なくて、思い出すだけでも目頭が熱くなるのです。
またひとつ、思い出のある店がなくなってしまいました。私の知っている街が、静かに消えて行きます。


流して駄目なら吸ってみよ。

これまでの結果を踏まえると、液体を使ったクリーニングでレコードのプチノイズを完全に抑制するのは困難であるように思えます。最初の一回はそこそこ汚れ落とし効果が出ましたが、以降は特に変化無し・・・これってつまり、洗浄液で落とせるものは全部落ちましたってことですよね。

洗浄液の主成分は精製水とアルコール。このうち、アルコールは油脂分に対する洗浄力を持ってはいるものの、特に汚れを盤面から引き剥がす力があるわけではありません。 一旦アルコール入りの洗浄液で洗浄した盤に洗浄液を繰り返し使っても、効果が薄いのは道理です。となれば、別のアプローチが必要ですね。

残された方法は、有名なものでは以下の通り。

1)繰り返しかける(針でこそげおとす)
2)バキュームクリーニング(吸う)
3)木工ボンドパック(貼付ける)

ですが、1)は実施済み、効果がないことも確認済みです。どうも擦る系は駄目ですね、歯ブラシも効果はありませんでしたし。
となればボンドパックと言いたいところですが、これは音溝にボンドが残ることがあり、リスキーなのです。さすがにちょっと恐ろしいので、これは最後の手段にとっておくとして・・・残るはバキュームクリーニング。

ところが、この機材が高いのですね。普通に買うと十数万から。いやいやいや、その資金があるなら、別の盤を買う方が早いと思いますよ?

要は盤面の汚れを洗浄液ごと吸い上げる装置があれば良い訳ですね。さすがに本物のようにはいきませんが、吸い上げるという機能だけなら作れないこともありません。
というわけで、自作してみました。こちらです。

2013-02-22
2013-02-22 posted by (C)circias

材料は、以下の通り。

水槽用エアチューブ2m     128円
エアチューブ用プラジョイント 74円
紅茶花伝           120円
掃除機用ジャンクジョイント  無料
プラ板切れ端         無料

お値段締めて322円也。もしこれでちゃんと機能したら、大笑いですね。機能はおよそ同等とは言い難いですが、かなりの劣化があるとはいえ、この価格差は何でしょう(笑
使い方は、灰色のジョイントを掃除機のパイプにくっつけて、スイッチオン。それだけです。吸い口の方から空気を吸い込みますので、液体のあるところに吸い口をくっつけると、液体はペットボトルに溜まり、空気のみが掃除機の方に行きます。

作り方のポイントは、まずここ。ジョイント部に、あえて開口部を作ること。これがないと、モータが過負荷で過熱したり、ヒューズが飛んだりします。

2013-02-22
2013-02-22 posted by (C)circias

掃除機のモーターには、速度制限機構がありません。タービンの空気抵抗がないとモーターは無制限に加速してしまい、最終的に大電流が流れて故障に至ります。
ところが、ある程度の量の空気を吸い込むことが出来ないと、掃除機内が真空状態になり、前述のような理由でモータが異常回転状態になってしまいます。
実は、最初はこの穴をあけるのを忘れてしまい、テストで一回掃除機のヒューズを飛ばしてしまいました(笑

もうひとつのポイントはここ。タンクのジョイント部です。配管接合部はボトルの上の方にもうけ、掃除機側をより高い位置に配置します。

2013-02-22
2013-02-22 posted by (C)circias

右がヘッド側、左が掃除機側ですね。
このようにするのは、万一水面が高くなり過ぎても、掃除機側に液体が行かないようにするため。同時に、飛沫がエアの吸い口に飛び込まないようにする意味もあります。
なお、排水のことを考えるとボトルを逆さにして使いたくなりますが、そうすると設置した時に安定しないので、配管はキャップ側につけました。使っている最中にタンクが倒れると、液体が掃除機側に吸われてしまう恐れがありますので、タンクの安定が優先事項です。

とりあえず液体を吸えるかどうかだけ実験してみたところ、どうやら成功のようです。こんなチープな装置でも、結構強力に吸い込めるものなのですね。
最初はエアチューブが負圧で潰れてしまうのではないかと危惧したのですが、これが案外そうでもないのです。これは嬉しい誤算でした。
さて、装置の方は準備完了。あとは、これが実際にレコードの掃除に役に立つかどうか、ですね。できれば、明日にでも試してみたいと思います。


労多くして、得る物無し。

昨日に引き続き、レコード洗浄のお話です。洗浄液+ベルベットクリーナーの手法がいまひとつ効果薄だったことを受け、本日は新兵器を投入してみました。それが、こちら。

2013-02-21
2013-02-21 posted by (C)circias

いわゆる超音波歯ブラシですね。洗浄液をかけたうえでこれで軽く表面を擦り、プチノイズの原因になっている盤面の微細な汚れが落ちるかどうかを試そうと云う訳です。

とはいっても、いきなり擦って傷でもつけたら大変。まずは盤の端に歯ブラシを当ててみて、傷がつかないことを確認します。問題ないことが確認出来たら、昨日のベルベットクリーナーと同じ要領で盤面を軽く擦っていき、最後にぬるま湯ですすぎつつ、このときも歯ブラシを使用してみました。

一通り作業を終えてまず思うのは、この小さなブラシで全体を磨くのは、思った以上に大変だということ。時間がかかりますし、むらなくブラシを当てようと思うと、結構神経を使わないといけません。これはあくまで我が家の作業環境のせいですが、しかし、中腰で目を凝らしつつ歯ブラシでそっとレコードの盤面をなぞるというのは、地味な上に実に疲れる作業です。

腰が疲れるのを我慢しつつ、なんとか全体の清掃を終えたらウエスで水分を拭い、しばし乾燥させてテスト再生。傷が入って音が台無しになっていたりしたらどうしようかとビクビクものでしたが、それはどうやら杞憂だったようです。しかし一方で、ノイズの改善はほぼ全くなし。これなら、ベルベットクリーナーでざっと拭う方がよほど良いですね。

というわけで、新兵器投入は失敗に終わりました。労多くして得る物無しとはまさにこのこと。WEBを見ると歯ブラシを薦めている方もいらっしゃいますが、やってみた感じでは、正直あまり効果はないと思います。まぁ、盤面にしつこいカビがついているとかいう場合には、あるいは効果を発揮する場面もあるのかも知れませんが・・・。

この歯ブラシ、この作業のために新調したものなのですが、どうやら無駄になってしまったようですね。私自身はこういう道具に電気を使うのはあまり好きではないのですが、もったいないので使うとしましょうか。最近、この種の道具に電池付きのものが増えましたよね。T字型の髭剃りまで超音波ナントカと言い出して、中に電池が入っていたりしますが、あれってどうなのでしょう。あれを使うくらいなら、素直にBRAUNの電気式でも買った方が良いのでは、と思うのですが・・・。

洗浄作戦を敢行せよ!

本日、注文しておいたエタノールが届きました。これを何に使うのかと言いますと、レコードの洗浄液です。ネットでしばしば見かける洗浄液のレシピは、アルコールと精製水を4:1の比率で混ぜ合わせ、少量の界面活性剤(ドライウェル)を加えたもの。まぁドライウェルの使用については諸説ある上、人によってはエタノールが塩ビを浸食するとか、物性上にわかには信じ難いことを声高に叫ぶひともいるのですけど、とりあえず、やるだけやってみようかと。

まず塩ビの特性についてですが、一応、酸、アルカリ、有機溶剤に対してある程度の耐性があることになっています。もっとも一口に塩ビと言っても色々あるので必ずしもその限りではないのですが、普通は多少のアルコールくらいではびくともしません。

界面活性剤は、まず液体の表面張力を殺す作用があるので、細かいところに液体が入り込んで、幕を形成した状態を保ち易くなります。また、静電気防止効果が望めるという話もあるのですが、こちらはどうだか定かではありませんね。界面活性剤は普通に洗剤にも入っています。人によっては、台所用洗剤でレコードを洗うこともあるようで。まぁともあれ、まずはよくあるレシピで作った洗浄液で、レコードを丸洗いしてみます。その様子がこちら。

2013-02-20
2013-02-20 posted by (C)circias

界面活性剤効果で、液は盤面によく馴染みます。軽く振りかけたら、ベルベットクリーナーなどで伸ばすだけで、ご覧のような状態に。汚れを浮かすため、このまま数分管放置した後、ベルベットクリーナーで軽く擦って、出来上がり。裏面も同様に処理します。仕上げについてはこれまた色々とやり方があるようなのですが、以下の二通りを試してみました。

1)ドライヤー(冷風)で吹き飛ばす
2)水洗いの上、ドライヤーで吹き飛ばす

やってみると、1)の方がすっきりと液体が落ちます。水洗いしてしまうと、当然界面活性剤が落ちますので、水が粒になり易く、溝にどうしても残ってしまいがちですね。となると、仕上げのすすぎも洗浄液を使った方が良いのかも知れません。どうしても水滴は残るので、最後はウエスで軽く拭います。ウエスはホコリがでないので、これで盤面が汚れることはありません。

2013-02-20
2013-02-20 posted by (C)circias

その後の状態が、上の写真。盤面に部屋の壁が写っているのが分かるでしょうか。パッと見で分かるほどにピッカピカになりました。レーベル保護器も、きっちりレーベル面を守り切ってくれたようです。ただし、保護器を取り外すと、その境界に少し液体が残っていますので、ウエスで拭ってやります。さて、完全に乾くのを待って、いよいよ効果を確認。結果は・・・微妙でした(笑

なるほど、確かにノイズレベルは下がっていますし、それ以上に音が生き生きとしていて、特にストリングスの表情が素晴らしいです。でも、ノイズは無くなっていませんね。苦痛を感じるほどではありませんが、今まで通りにぱちぱち言っている感じです。マシにはなったけど、解決はしていない、といったところでしょうか。

もしこのパチノイズの原因が盤面の汚れだけだとしたら、洗い方などをもう少し工夫してやれば、あるいはもう少し改善を望めるかも知れません。ただし、もし原因が汚れでないとしたら・・・頑張るだけ無駄、ということも有り得ます。まぁ洗浄で耳が痛いレベルから許せるレベルまでノイズレベルが下がったことを考慮すると、少なからず汚れも関係しているのは間違いなさそうなのですが・・・。

いずれにしても、この盤は鑑賞するにはノイズが多過ぎますので、実験台には丁度良いでしょう。次は、歯ブラシ作戦でも試してみましょうかねぇ。

ある意味、思い出の一曲。

ふと気がつくと、レコードプレーヤの修理が完了して、もう一週間になるのですね。ということは、私はもう一週間もの間、他のことはろくにせずにレコードばかり聞いていると(笑
よく飽きないものだと自分でも思いますが、知っている曲も知らない曲も、ただ音が良いというだけでたいへん魅力的になるものですから。
ところで、レコードを漁っていたら、シューベルトの歌曲集が出てきました。

2013-02-19
2013-02-19 posted by (C)circias

東芝EMI発売のアルバムで、歌い手はフィッシャー・ディースカウ。ピアノはジェラルド・ムーアだそうです。発売年はどこにも書いてありませんでしたが、ジャケット裏面の人物の写真の雰囲気からして、70年代であることは間違いなさそうです。
なかなか落ち着いた奇麗な声の歌い手で、ピアノの演奏も良く、フルオケに疲れたときはよくこのレコードを聴いています。

さて、シューベルトと言えば音楽の授業でもお馴染みですよね。「ます」や「野ばら」、「魔王」といえば、聞いた事がないという方はいない筈。必ずと言って良いほど授業に登場する作品達です。
私はシューベルトのメロディは好きな方で、特に「ます」のメロディが好みでした。どのくらい好きだったかと言うと、帰り道に口笛で吹いていたほどです。

しかし、そんなシューベルトの曲の中でもとりわけ思い出深い曲と言えば「魔王」でしょう。私達はいきなり和訳版を聞かされたもので、「お、とーさん、お、とーさん!」という鼻声の絶叫で爆笑し、しばらくは笑い話の種としてしばしば物真似していたものです。
弟達も同じく和訳版を聞かされたようで、その日は帰ってくるなり「魔王」でした。

私の家は祖父は音大、祖母は小学校で音楽教師でしたし、私はバイオリンを習っていた関係もあって、クラシックにはかなり馴染んでいる子供達だったのですけど、そういう素養があった上で聴いてもあれはただの道化だったのですから、一般の子供達はどれほどそれを奇異に感じたことでしょうね。

せめてストーリーをもっと詳しく解説してくれれば良いものを、和訳に書いてあることをただ読み返すだけなのですから始末に負えません。あれって、教えているって言って良いのでしょうか。 あとで知った話ですが、あの子供は初めから高熱を出してうなされていたのだそうです。そして、ラストで二人が「辿り着いた」のは家ではなく医師の家だったとか。
うぅん、子供のときに先生に聞かされたのとは随分話が違うような。

今となっては特に際立ったところがあるとも思えないこの曲ですが、冒頭からの激しい三連符の連打に強弱をつけて情景を表す部分など、当時としては結構新しいことをやっているようなのですね。そういった革新性もあり、また、シューベルトが10代のときに書き上げたという側面もあって、彼を代表する一曲として今でも取り上げられているのだそうです。

そういう背景的なものをもっときちんと説明してくれたら、子供達も「魔王」をただの笑い話にはしなかったのではないかなぁ、と思うのですけど。

ちなみにフィッシャーの「魔王」ですが、やっぱり子供が「お父さん、お父さん」と叫ぶ部分はちょっと可笑しいですね。ここはあえて声をうわずらせて、鬼気迫る感じを出すのですが、曲の不気味な世界にのめり込むことができないと、ただの変な声でして。
やっぱり日本語版のイメージが残っているのがいけないのでしょう。あれは、本当に滑稽でした。いっそシューベルトに対する冒涜ですよ、あれは。

鼻をつまんで「おーとーさん、おとーさん!」と歌っては馬鹿にされることになるだなんて、哀れなシューベルトは思いもしなかったでしょうにね。


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