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日々の便り

 

花の季節が始まりました

昨日の東京は晴れたり曇ったりの、不安定なお天気でした。日当りの良い場所の気温は12度程でしたが、時折吹く風は即座に鳥肌が立つ程の冷たさ。これは崩れるかなとの予感の通り、昼過ぎからは一気に曇って寒くなり、そして今日は雨。ある意味とても春らしいのですけれど、こういう天気は着ていくものに困りますね。

昨日は出発時の気温に合わせて、あまり重装備にはしなかったのですけれど、下山時はそれを些か後悔させられました。それでしっかり冷やされてしまったからでしょう、今日はどうにも体調が優れず、昼過ぎになってようやく起きる事ができた程です。幸い微熱程度なので、明日には元気になっているでしょうけれども。こんなことなら、ハクキンカイロを持って行けば良かったですねぇ。

しかし昨日は、とても楽しい時間を過ごす事ができました。なぜならば、とうとう野草の開花が始まったからです。私は園芸種の花にはほとんど興味がないのですが、野草は別。なにしろ奥が深すぎるので、ほとんど知識はないものの、これまでも眺めて楽しんではいたのです。しかし今年はとうとう、植物図鑑にも手を出しまして・・・やはり、知識が増えると、楽しさは倍増するものですね。

例えば次の写真は、高尾山山頂の石垣の隅にひっそりと咲いていた花ですが、これが何だか分かるでしょうか。専門知識がなくとも、これはスミレの類であろうという事までは分かると思います。しかし、一口にスミレといっても、それはもう色々なスミレがあり、夫々の特徴があり、そして夫々に開花時期や好む環境が違う訳で。それらを図鑑で調べる事で、花の名を同定する事が出来る訳ですが、この過程が実に楽しいのです。

アオイスミレ(高尾山山頂)
アオイスミレ(高尾山山頂) posted by (C)circias

まず特徴的なのは、その小ささ。花茎の高さは3cm程度、葉の形は先端の尖った標準的なスミレ型、但しサイズは小振りで、若いものは葉がカールしていること。そして周囲には既に咲き終わりの花柄が残されている事から、花期が3月中旬から下旬である事。これらの条件に当てはまる、半日陰を好むスミレと言えば、恐らくアオイスミレでしょう。

アオイスミレ(高尾山山頂)
アオイスミレ(高尾山山頂) posted by (C)circias

似た種にエゾアオイスミレもあるのですが、こちらはもっと色が濃い事と、匍匐茎がないことが特徴らしいので、恐らく違うのではないかと。環境条件的にはエゾアオイスミレの方が合っているのですが・・・この辺は、来週行った時にもっと詳しく調べてみないとちょっと自信が無いですね。

お次は、景信山手前の尾根筋で見掛けたスミレです。この日見掛けたスミレのうち、ここまで色の濃いスミレは他になかったので、思わず足を止めて詳しく調べてみました。

ニオイタチツボスミレ(景信山尾根筋)
ニオイタチツボスミレ(景信山尾根筋) posted by (C)circias

花茎が高く5cmを超えている事、葉の先端がやや丸い事、葉の根元に毛のような細長い託葉があること、花の中心が白く、それ以外が濃いめの青紫である事などから、これは恐らくニオイタチツボスミレではないかと思います。好む環境も尾根筋の日当りの良いところというので、ピッタリですしね。

ニオイタチツボスミレ(景信山尾根筋)
ニオイタチツボスミレ(景信山尾根筋) posted by (C)circias

尾根を過ぎ、最後の急な上り坂にさしかかると、その斜面にまた種類の違うスミレが咲いていました。まず見つけたのは、次の写真の一輪。淡い紫色の花です。花の形はスミレの特徴を備えていますが、葉の形が知っているスミレ型とは全く異なっていたため、この時はこれがスミレであるのかどうか、分かりませんでした。

エイザンスミレ(紫)(景信山山頂手前)
エイザンスミレ(紫)(景信山山頂手前) posted by (C)circias

そしてもう少し登ってみると、今度は同じ特徴を備えた、しかし白い花が咲いていました。次の写真がそれですが、葉の形が上の写真の右下に写っているそれと同じである事が御分かり頂けるかと思います。家に帰ってから調べてみたところ、実はこの二株は同じ種で、エイザンスミレというらしいことが分かりました。

エイザンスミレ(景信山頂上手前)
エイザンスミレ(景信山頂上手前) posted by (C)circias

スミレはハート形の葉のものがほとんどで、それが長細いか丸いか程度の差異なのですが、このエイザンスミレともう一種、ヒゴスミレという種は、枝分かれした葉を持つそうです。こういう特殊な部分を持つ種は、パッと見では名前が分からなくとも、いざ調べてみれば同定し易いので助かりますね。

こうして調べてみると、なんとなく「あぁスミレだ」と眺めていた花にも色々あることが、改めてよく分かります。もしかしたら、人通りが多くて観察出来なかった幾つかのスミレも、調べてみればこれら以外の種であったかもしれません。たかが、というのはスミレに失礼かもしれませんが、ある意味たかが路傍の花。その中でも特に小さく、目を留める人などほとんどいない小さな小さな花でさえ、これなのです。他はどうなのかなど、言うまでもないでしょう。

園芸種の樹木は別にして、山の野草の類の中では最初に花を咲かせるスミレ。彼等が花を開いたという事は、花の季節が始まるという事。蝶達の活動も始まりましたし、今年の高尾山は、これまで以上に楽しくなりそうです。


紙の博物館

三連休の最終日、本日も東京は気持ちの良い青空が広がり、気温も高く過ごし易い一日でした・・・花粉症の人以外は。そう、こんな素晴らしいお天気ですから、花粉の方もそれはもう猛烈で。そろそろシーズンが始まったばかりのコナラもかなり張り切ってくれたようで、私は朝からマスクを手放す事ができませんでした。

とはいえ、折角のよいお天気です。これで出掛けないという選択肢は有り得ません。気合いを入れて花粉対策をした私は、かねてから行ってみたいと思っていた、北区は飛鳥山にある博物館に行って来ました。

地下鉄東西線は西ケ谷駅を下り、二番出口から左手方向へ進むと、5〜7分程度歩いた辺りで右手に見えてくる緑地が、飛鳥山公園。ここは花見の名所としても知られる場所で、シーズンにはそれはもう大勢の人が訪れます。今年も既に花見の準備が始まっているようで、公園内には既にぼんぼりや仮設トイレの設置が進んでいました。そんな飛鳥山公園の一角に立ち並ぶのは、三つの博物館。中でも特に「紙の博物館」が今日の主な目的です。

入口の看板
入口の看板 posted by (C)circias

紙の博物館は、戦後に王子製紙が焼け残った発電施設に開いた資料館が始まりで、紙の博物館という名前になったのは1965年の事なのだとか。歴史ある博物館ですが、建物の方はリニューアルされ、きれいな近代建築となっています。紙の博物館について詳しくは、こちらのHPをどうぞ。

紙の博物館ホームページ

次の写真は、紙の博物館の玄関の様子。写真が傾いて見えますが、傾いているのは建物の屋根や自動ドアの方です。なんだかちょっと複雑というか、前後左右に微妙な傾斜をつけた建物なので、正面からだと写真に収めにくいですね。感覚を狂わされる騙し絵のような、実に凝ったデザインです。ちなみにこの玄関、建物の二階にあったりします。この建物は斜面に建っているため、公園側に面している入口は二階なのですね。

紙の博物館・玄関
紙の博物館・玄関 posted by (C)circias

博物館に入ると、すぐ右手に券売機がありますので、そこで入場券を購入します。ただ、これに気付かないお客さんも多いようで、そのまま受付まで進んでしまった場合、受付で券を購入する事もできるようです。入館料は¥300と安め。三館共通券の場合は¥720で、私はこちらを購入しました。えぇ、そうです、受付で。

紙の博物館は基本的に撮影可とのことでしたので、カメラとメモを用意して中へ。まず最初のフロア(二階)には製紙機の模型や、紙の原料、製紙の方法についての解説が展示されていました。中でも特に興味深かったのは、紙の原料についての展示です。なにかと環境屋さんの槍玉に挙げられる事の多い日本の製紙業ですが、その原料の内訳は次の写真の通りなのだそうで。なんというか、正義屋さんの不都合な真実がまた明らかになったという感じですね。

日本の紙原料の割合
日本の紙原料の割合 posted by (C)circias

古紙リサイクル率64%強の日本は、世界でもリサイクル率が高い方です。最も古紙利用率が高いのは、意外にも中国。そして古紙の再利用率がワーストなのはアメリカで、たったの38%弱でした。うん、自分たちで絶滅の淵に追い込んだクジラ相手にマッチポンプしてドヤ顔している暇があったら、リサイクルをもっと推進した方が良いと思いますよ、ハリウッドにおいでのヒューマニスト(笑)の皆さん。

自己アピールの痛い人達の話はさておき、この階の展示は「紙とは何か」を理解する上で、たいへん役に立ちます。それがどのような材料で、どのような工程で、どんな用途のために、どのくらい作られているのか。そういった情報が分かり易くまとめられているのですね。私は展示を見ながら、メモを取る手が止まらなかったくらいです。

次に印象的だったのは、三階の入口付近にあった、紙のサンプル。「和紙」や「サトウキビから作った紙」などを実際に触って、その性質の違いを確認する事ができるのです。そして何より衝撃的だったのが「象糞紙」。像の糞から作った紙でした。これがなかなかどうして、滑らかで質の良い紙でして・・・まぁ確かに、象をはじめとする草食動物って、天然のパルプ製造機ですからねぇ。確かに紙を作れます、あまり気分は良くないですが。

そして四階に進むと、特設展示があります。今回は「紙布」という、和紙のこよりを織って作る布の特集をやっていました。そしてそのコーナーを通過すると、再び常設展示があります。このフロアでは主に、製紙技術の歴史や昔の紙の利用法などを扱っているようですね。まず目をひくのは、最初期の紙漉き機の模型でしょう。

初期の抄紙機の模型
初期の抄紙機の模型 posted by (C)circias

ここで二階の展示内容を覚えていると、この紙漉き機が近代的工場のどこからどこまでの工程を担うのかが分かったりして、面白いのですね。この並びには、西洋式の紙漉きに用いられる金属製の網などといった道具も展示されていました。それぞれの解説も実に興味深く、通り一遍の知識で知った気になっていた「紙漉き」についての、意外な事実を知ることができます。

またこの階には、洋紙や和紙以外の様々な紙のサンプルも展示されています。幾つか写真を撮ってきましたので、順にご紹介しましょう。まずは歴史の教科書ではお馴染みのパピルス紙。

パピルス紙
パピルス紙 posted by (C)circias

そして次は、ファンタジーものではお約束の皮革紙。動物の皮をなめして紙として利用したものですが、中でも特に有名なのが「羊皮紙」ですね。実際には羊だけが用いられた訳ではないのですが、似非中世的世界観で登場する紙と言えば、羊皮紙で決まりです。ちなみに次の写真は、これで「楽譜」なのだそうで。何が書いてあるのかサッパリですが。

羊皮紙
羊皮紙 posted by (C)circias

そして最後は、植物の樹皮を叩いてなめし、紙の代わりとした樹皮紙です。もともとは南洋のポリネシアなどでタパという「布」として利用されていた素材ですが、それがマヤやアステカに伝わって「紙」として利用されるようになったのだとか。彼等はこれを「アマテ」と呼んでいたそうです。これも、案外知られていない事実ですね。舞台が南米風でも、フィクションの世界に樹皮紙が出て来る事なんて、まずありませんからねぇ。

樹皮紙
樹皮紙 posted by (C)circias

この他にも、透かしの技術についてや、日本各地の「和紙」の性質の違いなど、それはもう興味深い知識が盛りだくさんで。建物自体はそれほど大きくはないのですが、その内容は実に濃く、気がつけば一時間以上も留まってしまいました。これだけの知識と体験をたった¥300で得られるというのは、なんというかとても太っ腹だと思います。

あって当たり前、知ってるつもりの紙についてのあれこれですが、実は案外知らない、分かっていない。そのことをよく理解させられた、目から鱗の体験でした。もし何がしかの作品の中で紙を扱うつもりならば、この博物館に一度は足を運んでおくことをお勧めしたいと思います。


春の陽気に誘われて

ここ二日、東京はそこそこ良いお天気です。午前中は快晴、午後から少し雲が出て・・・という流れは、二日とも一緒ですね。そんな中、昨日もいつも通り高尾山へ行って来たのですが、今週はそこで思わぬ出会いがありました。それは稲荷山コースの丁度真中辺りを過ぎた時の事、不意に足下から何かが飛び立ったのです。驚いて立ち止まってみれば、なんとそれは蝶ではありませんか。

羽の形と飛び方から、恐らくタテハの類いであろう事までは分かりましたが、その個体は再び舞い戻る事はなく、詳しく観察する事はできませんでした。これは惜しい事をしたと思いましたが、後悔先に立たずですね。よもや三月半ばに越冬個体と出会おうとは思っていませんでしたので、足下が疎かになっていたのです。しかし、昨日の私は珍しくついていました。というのも、山頂手前の階段のてっぺんで、再び越冬個体に出会えたからです。

ヒオドシチョウの越冬個体(2)
ヒオドシチョウの越冬個体(2) posted by (C)circias

上の写真が、その越冬個体。タテハの仲間で、ヒオドシチョウといいます。タテハの中でもとりわけ早起きさんのこの蝶は、毎年高尾山で最初に出会う蝶でもありました。どうやら、今年も彼等が一番乗りのようですね。そして彼等が出て来たと云う事は、もう少しすれば、アカタテハやキタテハの姿を見る事ができるようになるでしょう。春の足音は確実に、すぐそこまで来ています。

とはいっても、あたりにまだ花はなく。冬の間逗留する渡り鳥達は、まだ高尾山を離れてはいないようです。景信山のジョウビタキは、今週も山頂を元気に飛び回っていました。次の写真は、この日、景信山山頂から少し外れた場所で囀っていたジョウビタキです。

さえずるジョウビタキ
さえずるジョウビタキ posted by (C)circias

景信山山頂に辿り着くと、なにやら聞き覚えのあるきれいな声が、左手の方から聞こえて来たのです。声に誘われて脇道に入ってみたところ、そこには見覚えのあるジョウビタキが。恐らく、先週の個体と同じではないかと思います。ジョウビタキはちょこまかと動き回りながら、ひっきりなしに鳴いていました。あれは、縄張りを主張していたのでしょうか、あるいはメスを呼んでいたのでしょうか。

ジョウビタキ(景信山)
ジョウビタキ(景信山) posted by (C)circias

ジョウビタキは度々場所を変えながら、一定間隔でその澄んだ声を響かせています。いつもなら私の方から接近することは出来ないので、飛んで来るのを待ち構える形になるのですが、この時は鳴くのに夢中だったのでしょうか、こちらから近付いたにも関わらず、こんなに近くまで寄る事ができました。

ジョウビタキ(景信山)
ジョウビタキ(景信山) posted by (C)circias

昨年は全然ご縁がなかったジョウビタキですが、今年は何だか撮影機会に恵まれて、嬉しい限りです。願わくは来年もまた御願いしたいところなのですけれど、果たしてどうなりますやら。自然が相手の写真は、いつだって一期一会ですからね。でもだからこそ、こうして出会う度に心が躍る訳で。この楽しさは、他に代え難いものがあります。


ジョウビタキ再び

今週の高尾山は、ますます春の気配が色濃くなっていました。まず何と言っても気温。駅前の気温は12度前後とたいへん暖かく、日向であればもはや上着無しでも問題ないくらいです。駅前の広場では、他より少し遅れて咲いた梅が、ちょうど見頃になっていました。

駅前の梅
駅前の梅 posted by (C)circias

概ね天気の良い日が続いていますので、登山道はよく乾いて歩き易い状態です。暖かくなるに連れて観光客の数も増え、これまで閑散としていた稲荷山コースでも、観光客と頻繁にすれ違います。特に高尾山山頂では、シートを広げて休むグループや、ずらりと並んで記念写真を撮るグループなど、冬の間は見る事のなかった光景が幾つも見られました。そして皆さんここにくると、とりあえず富士山を撮るのですね。斯く言う私もそうなのですが。

富士山は雲隠れ
富士山は雲隠れ posted by (C)circias

しかし残念ながら、この日の富士山は雲隠れ。この時点では辛うじて見えていましたが、その後雲は増え。一丁平に着く頃には、富士山は全く見えなくなってしまっていました。写真を見ての通り雲はだいぶ多めですので、日は照ったり陰ったりという感じ。しかしこの時点ではまだ気温も高く、どちらかといえば晴れている時間の方が長かったように思います。

さて、ほぼいつも通りの時間に景信山に到達した私は、いつも通りになめこ汁を頼んで休憩にしたのですが、そこで思いがけずシャッターチャンスに恵まれました。なんと、腰掛けていた席のほぼ正面にある木の枝に、ジョウビタキがやって来たのです。私は大急ぎでリュックからカメラを取り出すと、モードの確認もせずにとりあえず連写しました。そうして撮れたのが、こちらの一枚です。

景信山のジョウビタキ(1)
景信山のジョウビタキ(1) posted by (C)circias

前回撮影したのは確か2/4でしたから、ほぼ一ヶ月ぶりのジョウビタキですね。相変わらず元気そうで、何よりです。一応毎週姿を見掛けてはいたのですが、普通はあまり人に近付かないので、写真に収める事はできなかったのです。日照の関係でISO感度が上がってしまったのは惜しかったと思いますが、まぁ見られる程度には撮れているのではないでしょうか。

ジョウビタキの羽繕い(1)
ジョウビタキの羽繕い(1) posted by (C)circias

ジョウビタキはその後も、地面とこの木の枝を行ったり来たり。しばらくして枝の一つに止まり、羽繕いを始めました。どうやらまだこちらに気付いていないのか、そもそも気にしていないのか。近付けそうだったので、そろりそろりと忍び寄って、羽繕いの様子を撮影してみました。

ジョウビタキの羽繕い(2)
ジョウビタキの羽繕い(2) posted by (C)circias

ぶわっと羽を膨らませ、尾羽を反らして弓形に。次いで、嘴で尾羽をなぞるようにして整えて行きます。この仕草は、ほぼ全ての鳥に共通ですね。ジョウビタキはここでしばし羽繕いを続けた後、どこかへ飛び去って行きました。といっても、この山頂のどこかに巣をかけているはずなので、実は見渡せば目の届く範囲のどこかに居る筈なのですが。

ジョウビタキの羽繕い(3)
ジョウビタキの羽繕い(3) posted by (C)circias

この後30分もすると急に天気が悪くなり、日が影って寒くなってきました。そのため、その後はまともに写真を撮れず。この日は小鳥達の活動が活発で、夕方にかけてシャッターチャンス自体は何度もあったのですけれど、カメラの性能の問題で、それを活かす事はできませんでした。

そもそも、ジョウビタキを撮った時の条件でISO1600になってしまうくらいですから、これ以上暗くなってはね。しかも、光量不足の上に小さな動く被写体ですから、もうAFが全く機能しなくなってしまって、だいたいの位置に合焦する事さえできませんで。AF前提のレンズはフォーカスリングで素早くピントすることは不可能なので、こうなってしまうと手も足も出ません。

こういう体験をすると、やっぱり良いカメラが欲しいなぁ、とか、思ってしまいますよね。一瞬のチャンスをものにするには、やっぱり腕だけでなく、道具の良さも必要なのです。とはいえ無い物ねだりをしても仕方ありませんし、今回はジョウビタキを一杯撮れた事で満足しておくとしましょう。そして願わくは、来週も小鳥を沢山見られますように。

そして6年目

震災から6年目、今年もこの日がやってきました。そろそろ忘れる頃かと思っていたのですが、案外そうでもないものですね。NHKは相変わらず震災特集が多いですし、鉄道会社も震災の時間にあわせて列車の緊急停止訓練を行ったりと、震災関連の話題やイベントはそこかしこで。今日はいつも通り高尾山から縦走していたのですが、その途中でも老人とお孫さんが、「そろそろ時間だね」なんて話をしているのを目にしたりもしました。

私自身はどうかといいますと、実は先日地図とGoogleのストリートビューをあわせて、あの日の晩の移動経路を分析してみたりしていました。自分としてはあの時の出来事をしっかり覚えていたつもりなのですけれど、確認してみるとこれが案外そうでもなかったという事実に、少々驚かされたものです。

まず、出来事の順番が出鱈目になっています。案外、時系列での記憶って疑わしいものですね。景色はしっかりと記憶していますので、ストリートビューでその場所を確認すると、覚えている順番と実際の景色の順序が一致しないのです。記憶の順番だと、私はあのコースを何往復もしたことに。恐らく、時系列ではなく印象の順番に置き換えられてしまったのでしょう。

そしてもう一つ。どこの景色だか分からない記憶が、幾つかあるのです。景色が変わった可能性もないわけではないですが、どちらかというと、どこかで想定したコースから一時的に外れていた可能性の方が高そうです。そして最後に、スタート付近の道順が、覚えているのと地図とで食い違っている、ということ。覚えている道順だと、あの日使った国道246号線に出ないのです。これは恐らく、あの後一度大型台風で歩かされた日の記憶と混同しているのだと思います。

あれから事あるごとに、毎年一回以上はあの日の出来事を思い出していたはずなのに、この有様。なるほどこれでは、司法において「証言」の重みが軽いのも無理はありません。人間は時間が経てば、記憶を順不同に並べ替え、他の記憶とさえ繋ぎ合わせ、混同し、ときに捏造し、あたかも以前からそう覚えていたかのように錯覚する生き物なのです。ですから、記憶を語るにはまず、なにがしかの証拠と照らし合わせなければならないのですね。

「記憶を語る」ということは、あたかも尊い事であるかのように扱われていますけれど、証拠のない記憶の価値など、そう高いものではないということです。何しろ人間は、誤りを繰り返すうちにそれを正しいと誤認し、嘘を繰り返すうちに虚言と実体験の区別がつかなくなる生き物。冷静に客観的にやっていてこれならば、そこに感情を大いに加えて語られる記憶など、なおさらあてにはなりません。

ですから、必要なのは「記録と分析」であって、「記憶と想い」ではないのです。前者は防災に寄与しますが、後者は何の役にも立ちませんし、時間が経つに連れて、必ずどこかに誤りや嘘が、しかも無自覚に入り込むのですから。なのに相変わらず世間は後者の方がお好きのようですね。あの日以来ずっと、そういうメディアの在り方に歯がゆさを感じています。

ところで、今年は福島関連のいじめの問題が取りざたされていましたね。いつも不思議に思うのですけれど、ああいう事件の被害者って、どうして自分のやった「盗み」について全く追求されないのでしょうね。そもそも親のお金を盗めるというのがまず人間的に破綻していますし、その行為をいじめのせいにしているのがまた救えません。

まぁこういう人は、理由付けさえあればなんだってやるのでしょう、保身のために。それでいて、自分の行いの責任まで相手に押し付けて、自分は哀れな被害者でございます、と。それってあんまりじゃありませんか。なら極端な話、脅されて恐ければ、その恐怖から逃れるためにどんな罪を犯しても、それは脅した奴が悪いということになりますよね。そんな馬鹿な話がありますか。そういえば、昔見たとある作品に、素晴らしい台詞がありました。確か、こんな台詞です。

「善人だろうが、弱者だろうが。悪事に加担する奴は、死んで当然なんだよ!」

さすがに「死んで当然」は如何かとは思いますが、しかし、弱者である事が免罪符にならないという点については、全面的に同意です。お上品ぶって人権を連呼するような連中が見て見ぬ振りをする不都合な真実を、ズバリと言い切ったところが実に痛快でした。こういうのって、真面目ぶった作品にはまず出て来る事がない台詞なんですよね。なお当然、法的にも弱者である事は無罪の理由とはなりません。多少の情状酌量はあるかもしれませんが。

もっともこの場合、問題が親子間なので、実は法律的には「窃盗」は成立しないのです。といってもそれは法制度上の手続きの事であって、盗んだという事実が無くなった訳ではありません。あくまで司法が処罰しないというだけで、行いが正当化された訳ではないのです。誰もそれを指摘せず、まるで何もかも虐めた奴が悪いかのような、そんな報道にはいつも胸が悪くなります。

復興の話にしてもです。避難指示が解除されたのに、戻る人がほとんど居ないのが問題だの、そのために政府が取り組むべきで云々って、何を言っているんでしょう。6年ですよ、6年。それだけの時間別の地域で自活すれば、当然そこに経済基盤を築きますし、人間関係だって再構築されるものです。それは震災云々に全く関係なく、引っ越しすればそうなって当然、そうならない方が異常でしょう。誰がそれを破棄してまで戻りたいなどと思うものですか。

挙げ句の果てに、「周囲が戻らない事を理解してくれず、地元の人から孤立して行く」だとか。凄いですね、日本人の村根性。この場合、戻れない事情を抱えた人が可哀相と言うより、戻らない事を批判する人が気持ち悪いだけですよね。私なら、そんな気色悪い人間など、嬉々として切り捨てて新しい人間関係を構築しますが。そもそもそんなことだから、田舎から若者が居なくなるのではないですか。

報道の頭がおかしいのはいつもの事ですけれど、震災関連の報道のボタンの掛け違いっぷりは、あの日から何も変わっていないどころか、ますます酷くなるばかりです。一方で、そんな愚にもつかないことを取りざたしているまさにそのNHKが、極めて科学的に地震や津波、その時の人々の行動などを分析した特集番組を組んでいたりもする訳で、一概に放送局がおかしいとか、報道は駄目だとか、そういう決めつけをするわけにもいかないからまた複雑なのですが。

考えてみるに、「記録と分析」をやりたがる企画者はまともで、「記憶と想い」をやりたがる企画者は、概ね頭が残念ということなのかも知れません。何より気になるのは、果たして、番組としてはどちらの需要がより大きいのかということなのですが・・・まぁ大体お察しですけれど、前者であって欲しいと願わずには居られないのです。たとえそれが空しい願望に過ぎなかったとしても。

さて、延々と報道についての文句を書き連ねてしまいましたが、最後に少し前向きな事を。実は鞄を新調したついでに、防災用品を二つ程追加しました。ひとつは強力なLEDペンライト、もうひとつは「サバイバルシート」と呼ばれる、保温シートです。これでまたあんな事があっても、明かりがなくて困ったり、寒さに震えたりする必要はないでしょう。ペンライトの電池は定期的に交換する必要があるので、注意しなければなりませんが。

相変わらず難題なのが、携行非常食ですね。カロリーメイトはどうあっても粉になってしまうので、とうとう諦めました。今はキャラメルを持ち歩いていますが、これも夏場はべったべたになってしまって微妙なのですよね。何かもっと携帯し易く、崩れたり溶けたりしない非常食があれば良いのですが・・・。

あれから6年経ったとはいえ、防災意識の方は意外と衰えていないようです。6年目で安心出来る事は、これ一点のみですね。まぁ世間がどうあれ、あるいは報道がどうあれ、少なくとも備えておく事の意義は変わりません。定期的に地震の事を思い出し、備えを点検する事だけは、これからも続けて行きたいものだと思います。


庭の桜が咲きました

いつもなら仕事をしている時間ですが、今日は自宅でまったりと過ごしています。というのも、例によって有給休暇の消滅分が、大量に余っていたもので。幸い業務の方に差し障りもありませんので、折角だからと意味もなく1日だけ休暇を消費しておくことにしたのです。その気があれば一ヶ月休めるのですけれども・・・それで納期に間に合うかどうかはともかくとして。

折角の有給で良い天気と来れば、やはりここはお出掛けと行きたいところなのですけれど、この時期はちょっとそれも躊躇われます。理由は勿論、あれ。花粉症です。私はコナラをはじめとしたブナ花粉に激しく反応するのですが、それが飛び始めるのがちょうど今くらいからなのです。昔は杉やヒノキだと思っていたのですが、植物園のコナラの下を通った瞬間に窒息しそうになって、原因はコナラであると知りました。

ちなみに、高尾山にはブナがないそうです。あの環境では、自然にブナが育つ事はないのだそうで。なるほど、春でも高尾山に登れる理由がようやく分かりました。もっとも、杉花粉症の人にとっては、高尾山は地獄でしょうけれどね。高尾自体には杉は少なくとも、周囲の稲荷山や城山、景信山などは杉だらけですから。

そんなわけで、掃除などしつつまったりしていたのですけれど、ふと、庭の桜の事を思い出したのです。そういえば、先週末の時点で蕾がほころんでいましたっけ。ならばそろそろ良い感じに咲いているだろうと、早速カメラを持って外へ。すると、まだ満開にはほど遠いものの、少なからぬ数の蕾が開いていました。

庭の桜が咲きました
庭の桜が咲きました posted by (C)circias

うん、春ですね。まだ3月頭ですけれど。とはいっても、この桜はいつもソメイヨシノより半月から一ヶ月程早く咲くので、だいたいいつも通りの開花ではないでしょうか。まだ三分咲きくらいなので、これからしばらく花を楽しむ事ができそうです。四季咲きの花も良いですけれど、こういう、季節を報せてくれる植物って良いですよね。蝋梅、桜、紫陽花に山法師、ミソハギに百日紅、金木犀・・・どれも大好きです。

ところで、春の先触れといえばもうひとつ、蜂達の活動があります。庭に桜が咲いた事で、ミツバチ達も大勢やってきました。次の写真は、桜の花に潜り込むミツバチの様子。まだ夜間には氷点下になる事もあるのですが、もう活発に活動を始めているのですね。先週は見なかったので、恐らくまだ動き出したばかりではないかと思いますが。

桜とミツバチ
桜とミツバチ posted by (C)circias

蜂は蝶以上に素早くて小さいので、E-PL5のド天然AFでは、全くピントが合いません。仕方なくMFアシストで修正しつつ、撮影してみました。かなりの枚数を撮ったのですが、まともに撮れていたのはほんの少しだけ。まだまだMFの使い方がなっていませんね。

桜とミツバチ(2)
桜とミツバチ(2) posted by (C)circias

この写真は、本日のベストショット。良く見ると、ミツバチの後ろ足がぴょこんと突き出しているのが分かります。そして、足には当然花粉が。まだ花の数が少ないので、花粉団子と言えるサイズにはなっていませんけれども、もう少し花の多い季節になると、どの蜂も足に花粉団子をこしらえているところを見る事ができるようになります。

ミツバチをはじめとした蜂類は、嫌いな人も多い昆虫ですが、私にとってはとても可愛い魅力的な被写体です。できれば、彼等が花の周りを飛んでいるところを撮影したいのですけれど、ズームレンズとE-PL5のセットでは、それもなかなか難しそう。現状、ほぼ運任せなのですよね。早く勘でMFを使いこなせるようになりたいものです。

それにしても、やっぱり春は良いですね。花粉症には閉口しますが。被写体には事欠かない、楽しい季節がまたやってきました。そろそろ野草も開花を始めるころですし、冬の間に買っておいた植物図鑑を引っ張り出しておくとしましょうか。


春がそこまでやって来た

今週も、いつも通り高尾山へ行って来ました。今回は人身事故等もなくズムーズに・・・と言いたいところだったのですが、まずのっけから鉄道遅延。しかも何のアナウンスもないので、いつも通りのつもりでJRのホームに入ったところで、いつもの電車がホームを出て行くところではありませんか。どうやら小田急が、5分以上遅れたのに何も言わずに誤摩化したようです。妙に徐行しているからおかしいとは思ったのですけれど、相変わらず酷いですね、小田急。

そんなこともあって20分ほど遅れて到着した高尾山、今週はお天気の方も生憎でした。空には大分厚い雲がかかり、空気はひんやりとしています。しかし、登っているうちに段々と明るくなり、山頂に着く頃には陽が射すようになってきました。次の写真は、山頂からのいつもの一枚、富士山が大きな雲の影になっています。

山頂から
山頂から posted by (C)circias

この日の気温は約9度と少々肌寒いくらいでしたが、直射日光が当るところはとても暖かく、体感では15度くらいはあったように思います。先週までとは明らかに違う、暖かく力強い日差し。空気の臭いも、どこか春めいているような気がします。周囲の風景はまだ冬景色なのに、冬独特のあの物寂しい雰囲気は、もうどこにもありません。そして城山山頂に到達すると、景色にも春らしさが見られるようになりました。

城山山頂にて
城山山頂にて posted by (C)circias

写真は、小仏方面への降り口に咲く白い花。日当りが良い枝から先に、花を開き始めています。なんだかそこだけ景色が明るいようで、思わず立ち止まって撮影してしまいました。花は小振りで、丸っこくて可愛らしい花弁と球状のつぼみからして恐らく梅ではないかと思うのですが、樹形が街の園芸種とはかなり違うため、ちょっと自信がありません。次の写真は、花をアップで撮ったものです。

城山の梅
城山の梅 posted by (C)circias

さて、城山を下り小仏に到達したところで、景色が変わっている事に気がつきました。次の写真は小仏峠に下りる少し手前、かつて茶店の廃墟が残っていた広場です。最近その廃墟も解体され、残されているのは見窄らしい、風化し切ったベンチだけになっていました。ところがそこに、真新しいベンチが設置されたのです。

小仏峠に新しいベンチが
小仏峠に新しいベンチが posted by (C)circias

かつてここにあったのは、茶店にありがちな、統一性のない適当な造りのベンチでした。しかし、今回のこれはかなり頑丈なコンクリート製。しかも、並びも整然としていて奇麗です。このポイントからは相模湖を眺める事ができるので、恐らく休憩所として整備し直したのでしょう。陣場方面から下って来た人達にとっては、距離的にも丁度良い休憩ポイントになるのではないかと思います。

小仏より相模湖を望む
小仏より相模湖を望む posted by (C)circias

上の写真は、ベンチから眺めた相模湖。城山まで行って茶店で休むのも良いですが、人気の少ないこの場所で、相模湖を見ながらお弁当というのも悪くないですね。特に夏にはホトトギスも鳴いていますし、木陰の空気がひんやりとしていて心地良い場所です。ちょっぴり不気味だった廃墟も片付いたので、ここを利用する登山客は増えるかもしれません。梅が咲いたら、次は桜。混み合う桜のシーズンに向けて、奥高尾の整備が続いています。

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