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日々の便り

 

TU-8150でMUSES02を試す

長々とOPAMPのテストをやってきましたが、最後の一個と相成りました。今回試すのは大本命、新日本無線のMUSES02です。えぇ、LME49720NAの音を聴くまでは、これが大本命だと思っていたのです。何しろお値段が一桁違いますからね。気になるそのお値段は、なんと3000円。これ一個で今まで試した石が一通り買えてしまうと言う、OPAMPとしては驚くべき高級品なのですが、果たして。

MUSES02
MUSES02 posted by (C)circias

エディ・ヒギンズの「Haunted Heart」を聴いてまず感じるのは、音域を問わずやたらくっきりとした、仄かにコンプレッサ臭い音だなと言うこと。低音の量感はだいぶ強めで、MUSES8820と比べてかなり低域寄りの印象を受けます。高音は燻んではいませんが、透明感を感じるほどでもなく。変な表現になりますが、なんと言うか「実体感」のある音ですね。

Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteは、やはり「太い」です。細かい音はスポイルされていないのですが、ぐいぐい前に出るような生々しさがあって、余り細かいところに注意が向かなくなるような音ですね。音色は低音が強いと言うよりは、低音と中音の間くらいが強く、どっしりと腰の低いサウンドになりました。迫力があって、これはなかか良いかも知れません。

James Ehnesのバルトークは、とても心地よい表現になりました。MUSES8820では足りなかった高音の突き刺さるフォルティッシモのスピード感と迫力も余すところなく、そして歪まずにきっちりと表現できています。なるほど確かにMUSES8820はこの石の廉価版なのですね。オケの迫力も充分ですし、分離も良好。高いだけのことはある音質です。

Larry Carltonの「Room335」は、期待通りですね。とても良いです。MUSES8820よりも「枯れ」た感じのするES-335がちゃんと歌ってくれていますし、バックのギターもアタックとミュートの瞬間の音の変化がきっちり聞こえます。これ、ギターを弾かない人だと意識しないところかも知れませんが、ギターのスタッカートって、単純に音が短く切れるわけではないのですよね。「切る」音が入るのですが、これが聞こえると生々しさが違います。

Metallicaの「Enter Sandman」は、残念ながらやっぱりボーカルが引っ込み気味。うん、8820と傾向は変わりませんね。ただ上位互換ということで、オケの迫力はさらに向上しています。ダミ声は苦手だけど、エレキギターの音は得意なんですね、この石は。

The Subwaysの「Move to Newlyn」は、ちゃんと爽やかなサウンドになりました。バックの女性ボーカルが他より少し控えめになったかな、と言う印象ですが、バランスとしてはむしろ良いくらいです。8820と同様にメインボーカルの声は太く、とても聴きやすいですね。8820では問題のあった「Clock」は、こちらの方が少し聴きやすいかな、と言う感じです。ボーカルはオケより少し前に出ていて、ごっちゃになっている感じはなくなりました。

JPOPはBUMPと秦基博を試しましたが、どちらも大変良好。最後に今年のニューイヤーコンサートを試してみましたが、これも卒なく再生してくれました。ただ、拍手がやや中央よりで左右に広がる音が少ないのは、ちょっと妙な感じでしたね。あるいは録音のせいでしょうか。ドヴォルザークの交響曲6番をハイレゾで聴いた感じでは、前後の音の立体感はLME49720NAに一歩譲る感じですが、低音の重さと引き締まり方はこちらに分があるようです。

全体的に言ってバランスは良好、歪みも極小で、大音量で聴き疲れしない音です。苦手ジャンルはヘヴィメタで、それ以外はほぼ問題なくこなしてくれるようですね。ジャズは得意、クラシックは苦手ではないが得意でもない、と言ったところでしょうか。JPOPが一番得意なのは、やはり国内市場を意識しているからなのかも知れません。

値段なりの良い音かと言われると、さすがに10倍の音質とは言い難いと思うのですが、しかしこれに対抗できるのは、試した中ではLME49720NAのみ。他の石では勝負になりません。主に聴くジャンルがJPOPであれば、間違いなく一番推奨できるのはこの石であると言えるでしょう。クラ主体の方は、LME49720NAかなぁと思うのですが。

とはいえ、クラシックの表現が悪いかと言われると、決して悪いわけではなく。例えばドボルザークの交響曲第六番、第一楽章の5分あたりからの音の強い部分、ダマになってしまうオーディオが多い中、この石はきっちりと個々の音を分離して聞かせてくれるわけで。あとはもう、どちらが好みかの問題かも知れません。で、個人的にどちらが好みかというと、やはりLME49720NAな訳でして。

まぁ焦ることもありませんし、最終的にどちらにするかは、この石をもう少し慣らしてから決めることにしましょう。



TU-8150でMUSES8820を試す

MUSES8920が何ともガッカリな石だったので、ここからは巻きでいきます。何故って、残っているのは全てMUSESなんですよ。あれだけスペック自慢の石があの有様では、お仲間にもやはり期待できそうにないと思うではないですか。もっとも、食わず嫌いは損をすることの方が多いですので、一応試してはみますけれども。

というわけでお次はMUSES8820D、MUSES02の下位機種とでも言いましょうか、MUSES8920との違いは、こちらはバイポーラ構成であるという点です。

MUSES8820
MUSES8820 posted by (C)circias

まずは「Haunted Heart」ですが、これが意外と悪くありません。高音の輝きや透明感に乏しいのはMUSES8920と同じですが、低音が妙に強調されているということはなく、やや強めの低音という程度です。ただ、全体的にコンプレッサのかかったような、アタック後の減衰が少ない音質は相変わらずですね。MUSES8920よりはバランスが良さそうではありますが。

Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteは、驚いたことにこれが結構良い感じです。MUSES8920では感じられなかった中音域の熱量がしっかりと感じられて、むしろ低音の量感もこちらの方が感じるくらい。つまりチェロの音域が強調されている石だということなのかも知れませんね。James Ehnesのバルトークも、MUSES8920とは違って生き生きとしていました。ただ、高音の鋭さが余り感じられないのに、何故か妙に耳が痛くなるのが残念。

Larry Carltonの「Room335」は、結構良いですね。「あ、違うな」と分かるくらいには、MUSES8920とは違います。ちゃんとES-335が歌っているんです。これなら充分、鑑賞に堪えますねぇ。ただ奥行き感は今ひとつかも知れません。ここのメーカーの傾向なのかも知れませんが、「まとまった」音なのですよね。Metallicaの「Enter Sandman」は、やはりボーカルが前に出てきません。こういうダミ声は苦手なんですね。

The Subwaysの「Move to Newlyn」は、悪くはない聞こえ方です。ギターの爽やかさはもうひと頑張り欲しいところですが、メインボーカルは厚みのある表現で、しっかりと前に出てきます。伴奏とのバランスもよく、音の広がり感も良好。ただ「Clock」はちょっと苦手のようですね、ボーカルがオケに潜ってます。

これはひょっとしてと思ってBUMPをいくつか聞いてみたところ、これがなかなかどうして、これまでで一番良いかも知れません。中音域の男性ボーカルを得意とし、低音はチェロ程度までの音域を強めに、超高音にやや歪みが目立つものの、JPOPの音域であればまず届くことのない領域。となると、これはJPOP向きの石であると言って良いと思います。

一言で言うと、国産の高級アンプに近い音の傾向ですね。JPOPを主に聴くと言う方には、この石をお勧めできるのではないかと思います。ただ私の場合、クラシックとジャズが主なので、評価はLME49720NAには一歩及ばず。しかし、廉価版の8820でこれならば、あるいはMUSES02は期待できるのではないでしょうか。ちょっと楽しくなってきました。やはり、食わず嫌いをするものではありませんね。



TU-8150でMUSES8920を試す

色々と海外のOPAMPを試してきましたが、ここからは国産編。TU−8150の標準であったNJM4580Dと同じく新日本無線がオーディオ用高音質OPAMPを謳って送り出したMUSESシリーズの低価格版の一つ、MUSES8920です。ハイエンドであるMUSES01, 02が登場した時には結構話題になりましたが、低価格版もあったのですね。

MUSES8920はFET入力で、歪み率はLM4562NAに迫る0.00004%、一方スルーレートはと言いますと、LM4562をはるかに上回る25Vを誇ります。価格も一個500円とだいぶお高いですし、スペックもお値段も決して「廉価版」と侮れるものではありません。が、果たしてその音色やいかに。

MUSES8920
MUSES8920 posted by (C)circias

「Haunted Heart」のジャズピアノは、ちょっと曇ったイメージです。ただ音が不鮮明なわけでななく、高音が尖っていないという意味で、ですが。LM4562NAに近い、ちょっぴり地味目の音色になりますね。しかし反対に、低音は大盛り。ベースがど迫力になりました。しかしブーミーではなくちゃんと引き締まった生々しい音になっているあたりは悪くないですね。

しかしMartin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteを聞いてみると、これが意外に大人しい音に。単純に低音モリモリというわけではないのですね。チェロの音域ではブーストがかからないようです。James Ehnesのバルトークも、意外なくらいに大人しいです。余り躍動感が出ていないというか。バランスは悪くないのですが。バイオリンの音色は、やはりLM4562NAに近い気がしました。

Larry Carltonの「Four Hands & a Heart」から「Room335」は、なんだかちょっと薄味に。ここまででわかった事ですが、どうやらこの石は中音域が余り重視されていないようです。決して崩れていないし、足りなくもないし、何が足りないのかと言われると言葉にするのが難しいのですが、大人しいのですよね。逆に、Metallicaの「Enter Sandman」は劇的にオケの迫力が増しました。が、ボーカルは引っ込んでるのでちょっと微妙。

The Subwaysの「Move to Newlyn」は、やっぱり曇ってます。イントロのクリーンギターが全然気持ちよくないですね。バランスは悪くないのですが、全体的に曇った印象。その中でバスドラムだけがやたら元気なのが、この石の癖をよく表していると思います。これはJPOP向きかなと思ってBUMPを何曲か聞いてみたところ、そこそこ合うという程度でした。

音の傾向はコンプレッサをかけた上でイコライザで低音を強調したような感じ。得意なジャンルは強いていうならJPOP。音源がないので何とも言えませんが、あるいは最近流行りの姦しいグループとかアニソンあたりなら合うのではないでしょうか。それから、テクノのように、鋭い音の立ち上がりと重低音の機械的なビートが主体のジャンルには合うと思います。要するにあれですねぇ、これは、家電屋さんにいっぱい並んでいる、ミニコンポの音ですねぇ。

というわけで、この石はボツですね。少なくとも私の聴くジャンルには全く合いません。




TU-8150でLME49720NAを試す

いやはや、今晩はひどく暑いですね。8月半ばはまるで10月のような気候だったというのに、ここへきて真夏もかくやという暑さ、しかもこの時間に気温31度とは、もはや狂気の沙汰です。だというのにこの暑さの中、部屋を閉め切ってオーディオのテストをやっている私は、側から見たら立派な変態であるに違いありません。

え、クーラーですか? 使いませんよ、苦手なんです。クーラーを浴びるくらいならサウナの方がマシなんですよね。ただこの有様ではさすがに楽器は弾けませんし、そろそろ諦めて購入しなくてはいけないかなぁとは思っているのですが。

それはともかく、今晩もまたOPAMP交換のお話を。またかと思われるかもしれませんが、まだまだ続きます。今回を含め後4つほど買ってありますので、一通りは試してみませんと。もっとも、やっている本人が若干飽き気味になってきているので、どこかで端折ってしまう可能性もなきにしもあらずですが。

さて、今晩テストするのはこちらの石。ナショナルセミコンダクタのLME49720NAです。先日テストしたLM4562NAの後継に当たる製品で、特徴は同じく超低歪みであること。LM4562NAはなかなか良い音でしたので、期待も高まります。

LME49720NA
LME49720NA posted by (C)circias

曲目はいつも通り、まずはジャズピアノ。「Haunted Heart」の最初の一音で、「おっ」となりました。LM4562では感じられなかった高音のキラキラ感が出ていて、第一印象の透明感がとても高いのです。もちろん高音を無駄にとんがらせているわけではないのでバランスは良好ですし、大音量でも崩れないのはLM4562と同様。耳に優しく、それでいて高い透明感のピアノは、一音で惹きつけられる魅力があります。

Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteにかえてみると、今度は低音の量感が豊かであることに気付かされます。低音が強くなったもののボワつきはなく、チェロらしい渋さを備えたアタックが魅力的ですね。これは確かにチェロらしい、充分な重みを備えたチェロの音だと思います。ただ、やはり上下を強調したからでしょう、大音量では若干聴き疲れを感じるかもしれません。

James Ehnesのバルトークは、伴奏の迫力が増しました。Violin Concerto No. 1, BB 48a: II. Allegro giocosoがとっても良い感じですね。バイオリンの音色はLM4562とあまり変わりありませんが、少しだけ鋭さが増しているようにも感じます。

Larry Carltonの「Four Hands & a Heart」から「Room335」は、音色の変化がより鮮明になりました。ほんのワンフレーズの間にも、こんなに豊かな表情があったのかと気付かされます。それと、主旋律がより前に出てくる感じになりましたね。空間もLM4562より少し広く感じるような気がします。一方、Metallicaの「Enter Sandman」はLM4562とあまり印象が変わりません。ただ、これも主旋律のクッキリ感が少し増したような。

The Subwaysの「Move to Newlyn」は、LM4562と比べると、主旋律と伴奏のバランスが良くなりました。LM4562と伴奏の聞こえ方はあまり変わらないのですが、主旋律の主張がより強くなり、伴奏と主旋律の前後関係がよりハッキリとした事で、伴奏と被らなくなったようです。これは「Clock」も同様ですね、主旋律が良い感じに前に出てくれています。

ついでに、Jetの「Are You Gonna Be My Girl」と「Roll Over D.J.」も聴いてみましたが、良いですね。歯切れの良さと力強さが生き生きと表現されていて、実にノれます。オーバードライブの歪みも心地よく、ドラムやシンバルの表現も割れたり歪んだりしないので、激しい曲も煩くなりません。この石はとりわけガレージロックが得意のようで。

この石の特徴を簡単にまとめるならつまり、「聴きやすい、そして楽しい」。全体的にまさにLM4562NAの上位互換という感じの石でした。

LM4562のフラット感は失われていますが、代わりに華やかさや楽しさといった、正確さとは対極にある「印象」の部分が程よく強調され、それが本来持っている端正さとバランスよく共存しているように感じます。印象の華やかさはOPA2134PAにやや劣りますが、それを補って余りあるバランスと分離の良さは高く評価せざるを得ません。これは、現時点での最有力候補です。


TU-8150でLM4562NAを試す

Photo蔵の障害やら雑事やらで少し間が空いてしまいましたが、再びTU-8150でのOPAMP載せ替えの続きを。実際は二日前に作業を済ませていたので、この石だけ慣らしの時間がたっぷりと取られているため、あまり公平な比較とは言えませんが、とりあえず今回試すのは、こちらのLM4562NAです。

LM4562NA
LM4562NA posted by (C)circias

ナショナルセミコンダクタのオーディオ用OPAMPであるLM4562NA、その売りは「超低歪み」だそうです。なんでも歪み率0.00003%だそうで、どちらかというとパワーアンプよりもプリアンプやフォノイコに向いていそうな石ですね。実際、そういった用途が推奨されていたりするわけですが、TU-8150にとってのOPAMPは内蔵プリみたいなものですから、ある意味打って付けと言えるのではないでしょうか。

まずはいつものエディ・ヒギンズ、「Haunted Heart」ですが、全体的になんと言うか大人しい音になっています。ピアノの高音はキーンと突き抜けたりせず、しっかり出ているもののなんとも丸い。中音域、低音域もしかりで、まずは尖りがないのが特徴的ですね。とは言え音の分離は極めて良好で、尖っていないのにとてもくっきり聞こえるという、今までにないサウンドになりました。もちろんバランスも良好、確かにHiFiです。

Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteは、低音の量感が今ひとつ。ですが、小音量でも大音量でも音のクッキリ感は変わらず、音質も変化なしというある意味凄い結果に。音量を変えると、大抵印象が変わるものなのですが、この石は音量での変化が本当に少ないですね。そして、かなり大音量にしても耳が痛くなりません。なるほど、低歪み。

James Ehnesのバルトークは、バイオリンの音色に「枯れた」雰囲気が加わりました。これまでの石ですと、音色のノイズ部分がそれほど目立たなかったので、若々しい音色に聞こえていたのですが、音色が幾分渋くなって表情も豊かになったように感じます。これまでと方向性が違いますが、これはこれで良いですね。

Larry Carltonの「Four Hands & a Heart」も同様に、ノイズ成分がクッキリ聞こえることで「泣き」が強くなり、主旋律の表情が豊かになっています。ES-335の音色がより魅力的になりましたね。Metallicaの「Enter Sandman」は、ダイナミックレンジがだいぶ広くなったように感じます。イントロの冒頭、音の弱い状態から強い状態への移行が劇的になりました。音がクッキリなのは相変わらずで、ボーカルの聴きやすさもピカイチです。

The Subwaysの「Move to Newlyn」は、音の爽やかさが増した気がします。ちょっとバッキングのギターが目立ちすぎかな、という気もしますが、邪魔になるほどではありません。何しろボーカルがはっきりと立体的に聞こえるので、多少バックが頑張りすぎても問題にならないのです。この性質が顕著に出るのが最後の一曲「Clock」で、他の石ではオケに埋もれがちだったボーカルがしっかりと前に出て、聴きやすくなりました。

というわけで、この石の特徴は「誇張せず」「歪めず」「ハッキリと」と言ったところではないかと。とにかく音が聴きやすく、決して混濁しないのは素晴らしいと思います。また、音量の如何によらずバランスが崩れないというのも、これまで試した石にはなかった特徴ですね。これもまた、この石の良いところです。

一方短所はと言えば、一つだけ。「地味」ということです。ただこれは、私に言わせれば別に短所とは言えませんね。特性上、聞こえ方がややモニタ然としてしまうのは仕方ないことですが、それで音楽の良さが損なわれるなどということはまずあり得ません。ある意味あるべき姿を忠実に再現しているわけで、HiFiという謳い文句に偽りはないと言えるでしょう。

OPA2134PAの華やかさも捨てがたいですが、このなんとも端正な音も好みなのですよね。聴き始めの感動ならOPA2134PAですが、長時間聴くなら俄然LM4562NAでしょう。とりあえずこの石は、有力候補としてキープしておくことにします。



TU-8150でOP275GPを試す

昨日は料理中にうっかりひどい火傷をしてしまったため、徹夜で患部を冷やし続ける羽目になってしまいました。お陰で今晩は酷く眠いのですが、気合を入れてテストの続きを。今晩試すのは、アナログデバイセズのOP275GPです。この石の特色は入力がFETとバイポーラのハイブリッドになっていて、FETの高速応答とバイポーラの低ノイズ性を両立させていることなのだとか。

スペックシートによると、スルーレートは22V/μs。前回試したOPA2134PAの場合は20V/μsくらいですから、確かに高速な石であると言えます。

OP275GP
OP275GP posted by (C)circias

まずはエディ・ヒギンズの「魅惑のとりこ」こと「Haunted Heart」から聴いてみます。第一印象として感じるのは、「中域の厚み」と「ベースの生々しさ」です。3結にしたことであっさりとした筈の中域に、すっかり熱量が戻りました。ベースラインの生々しさは、その影響でアタック周辺の倍音がくっきり聞こえるようになったためでしょう。反面、低音の量感はやや減じたように感じますが、不足ということはないようです。

Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteの場合は、やや低域の量感不足を感じますね。アタックの生々しさの割に腰高になってしまって、少しチェロらしさが減じているような気がします。音色がバイオリンっぽいといいますか。もう少し重みがある音だととても良いのですが。逆に、James Ehnesのバルトークはより熱量が増し、色っぽくなっていますね。同時にアタックの切れ味も鋭くなって良い感じです。やはりバイオリンには向く音のようで。

Larry Carltonの「Four Hands & a Heart」からの一曲目、「Room335」はトーンが明らかに明るくなり、イントロのニュアンスがより細やかに聞こえるようになりました。でもちょっと、主旋律が前に押し出しすぎのような気もしますね。とても立体感があって生々しい音ではあるのですが。Metallicaの「Enter Sandman」はドラムの切れ味とギターのアタックが鋭くなった関係で、伴奏の迫力が凄くなりました。一方でボーカルは少し控えめになったような。

そして最後にThe Subwaysの「Move to Newlyn」ですが、メインボーカルの男声がやや控えめになり、ギターの刻みと女性ボーカルがより前に出てくる感じに。コーラスは綺麗になりましたが、一方でボーカルは少しだけ聞き取りづらくなりました。反面、「Turnaround」をはじめとした歪み系のギターを用いた曲では、ディストーションのバリバリ感が、これまでで一番気持ちが良い表現になっています。これは高速性の表れでしょうか。

全体的に、NJM4580Dよりは音質、バランスともに良好ではありますが、OPA2134PAと比べるとバランスでやや劣ように感じます。音が生々しいのは長所ではあるのですが、しかし何故か耳が疲れるので、そういう意味でも聴き疲れしないOPA2134PAの方が好印象でした。一言で表すと、悪くはないがもう一息、といったところでしょう。残念ながら、この石は好みではないので、お蔵入り決定です。



TU-8150でOPA2134PAを試す

再び一晩鳴らしてみて、最終的に接続方法は三結で行くことにしました。音が綺麗というのはもちろんですが、どの音源でもバランスが悪くならないというのもこれを選択した理由です。使い勝手が良い、というのは重要なことですよね。特にこのアンプはこれから先、メインアンプになるかもしれない訳ですし。

さて、出力管の設定も決まったところで、次はオペアンプの選択です。デフォルトのNJM4580Dも決して悪くない、というか、普通のオーディオインターフェースや普及価格帯のオーディオは大抵これなのでは、というくらいスタンダードな石のようなのですが、乗せ替えられるのならいろいろ試して遊ばない手はありません。

というわけで早速、石を載せ替えてみることにしました。最初の一個はこちら、バーブラウン社のOPA2134PAです。ヘッドホンアンプ作成などでしばしば使われる評判の良い石ですので、名前をご存知の方も多いのではないかと思います。

OPA2134PA
OPA2134PA posted by (C)circias

ちなみに、もともと付いていたNJM4580Dはバイポーラ入力で、OPA2134PAはFET入力。入出力のインピーダンスや電流が異なっていますので、回路によっては問題になる場合があります。しかし、TU-8150は12AX7の手前、アンバランス入力を直に受ける形でOPAMPが配されていますので、特に気にする必要はないでしょう。

ソケットから4580を外してサクっと交換、蓋を閉じて早速試聴します。まず再生したのはハイレゾ音源で、エディ・ヒギンズの「Bewitched」です。

魅惑のとりこ
Posted with Amakuri at 2017.8.19
エディ・ヒギンズ・トリオ
ヴィーナスレコード

再生してみてまず感じたのは、重心が高くなったことと、低音のボリューム感が増したこと。と言ってもUL接続の時のように高音が硬くなっていませんし、中域の表現はそのままなので、ドンシャリというわけではないのですが。全体的なトーンが明るくなって、音がよりクッキリとしたように感じます。今回も例によってマニアな皆さんの情報は疑ってかかっていましたので、こうもハッキリと差が出たのは意外でした。

最初はNJM4580の印象が残っているため、少々違和感があったのですが、一曲聴き終える頃にはすっかり馴染んでしまって、これはこれでとても良い音のような気がしてきました。ちなみに秋月でNJM4580Dは驚きの25円。OPA2134PAは320円ですので、10倍以上の価格差がある訳ですけれども、さすがに音の差はそこまでとは思えませんね。こちらの方が良い音であるのは間違いないと思いますけれども。

曲を真空管のテストにも使った「新世界から」に変えてみると、やはり音が少しクリアで明るくなったような印象を受けます。ストリングスの高音に力強さが加わり、5極管から3結に変更した際に失われた熱量が、高音域に限り戻ったようで、バイオリンの音色が良い感じですね。NJM4580より歯切れの良い表現になるので、第四楽章のような速くて激しい曲は特に良さが出るようです。

次に、Martin ZellerのJ.S.Bach Cello Suiteを聴いてみました。こちらもハイレゾ音源で、e-onkyoで購入したものですが、同アルバムのCD版もあるようです。

6 Suites & Violoncello Solo Senza Basso
Posted with Amakuri at 2017.8.19
Bach, Zeller
M.a. Recordings


トーンの明るさはこのアルバムにも現れ、アタックの色っぽさがより強調されるようになりました。残響の減衰はよりスッキリとしましたが、決して不自然ということはなく。もともとハッキリとしていた音の輪郭がより立体的に浮き立つようです。よりチェロの魅力が感じられるようになったような気がします。

それから特筆するべき点として、一曲目のプレリュード、おそらく皆さんご存知のあの有名な作品ですが、5曲管の時には耳が痛くなり、3結で緩和されたもののまだ大音量には向かなかったあの曲が、大音量で聞けるようになりました。つまり、OPAMPの時点で耳につく歪みがあったのが解消されたということなのではないかと思います。

お次はJames Ehnesのバルトークを。彼のバイオリンはもう好きで好きでたまらないのですが、特にこのバルトークのバイオリンコンチェルトは良いですね。何度聞いても本当に惚れ惚れとします。こちらもe-onkyoで購入したハイレゾ音源ですが、CD版も販売されています。OPAMP交換の効果が大きく出たと思われるのは、第一番の二楽章。速いフレーズの音の粒立ちが生々しくなりました。これは癖になりそう。


続いて今度はCD音源から、Larry Carltonの「Four Hands & a Heart」を再生してみましたが、これについては特に何かが変わったような印象は受けませんでした。一方、Metallicaの「Load」一曲目、Enter Sandmanはなんというか、ちょっと明るくなったような(笑 でも同時に歯切れも良くなったので、これはこれで悪くありません。

効果が特に大きかったのは、The Subwaysのアルバム。声が太くなってボーカルがより立体的になっただけでなく、歌い手の微妙な息遣いまで分かるようになりました。伴奏についても、これまで聞こえていなかった音が聞こえるようになり、全体的に音のグレードが一つ上がったような印象に。どうやらNJM4580Dでは微妙なニュアンスがかなりスポイルされてしまっていたようです。

All Or Nothing
Posted with Amakuri at 2017.8.19
Subways
Sire / London/Rhino

特に、大好きな「Move To Newlyn」が初めて聞いた時のあの印象に戻ったのは嬉しいですね。あの時はオーディオI/FからゼンハイザーのHD580で聞いていた訳ですが、アンプ経由で聞いた印象が、あの時の印象そのままになりました。初めて聞いた時のあの感動が蘇ります。Subwaysは再生環境でかなりバランスが変わってしまうデリケートなサウンドなので、この結果は特に嬉しいですね。

最後にJPOPについては、例によってBUMP OF CHICKENとBeについて、やはり音がより立体的になったのが確認できました。特にBUMPについては、小音量で空間が狭くなる現象が解消され、小音量での再生が心地よくなったのが大きいです。これもどちらかというと真空管よりOPAMPの影響だったのですね。

というわけで、一通り試してみて思いますに、もうこれで決まりで良いのでは(笑

最初は価格差ほどの音の差はないと思っていましたが、実は価格なりなのかもしれません。NJM4580はバランス良く音をまとめ、重心を低めにすることで安っぽさを感じさせませんが、その実多くの音を省略していました。OPA2134はその失われた音をしっかりと再生し、その上でそれらをダマにせずにスッキリと聴かせる分解の良さを持っています。

音の見通しが良いので明るくなったような印象になりますが、決して軽いわけではなく。何より一番聴く機会の多いジャズとクラシックに対して強いのが良いですね。これは「当たり」だと思います。





これは3結で決まりかも

昨日試したウルトラリニア、少しはマシになるかと今日一日ランニングをかけておいたのですが、音が硬くシャリついているのは全く改善されませんでした。ULにはULの利点がありましたけれども、しかしやはり、最も多く聴くジャズピアノとクラシックが良くないというのはダメですね。というわけで、3結を試すまでもなくULは没とします。

残るは3結、真空管アンプファンならば大抵賞賛する、かの有名な3結です。あまりに賞賛されすぎていると逆に胡散臭く感じてしまうのですが、果たしてその音は如何なるものか。昨日と同じ条件で比較してみました。使用機器は引き続き、以下の通りです。

PC: Mac mini Mid 2010
DDC: オーロラサウンド HiFace2 Pro
DAC: RASTEME UDAC192H
アンプ:TU-8150
スピーカ:QUAD 11L


○エディ・ヒギンズ:Haunted Heart (24bit 96KHz FLAC)
魅せられし心
Posted with Amakuri at 2017.8.17
エディ・ヒギンズ・トリオ
ヴィーナスレコード

5極管のときほど厚みはないものの、しっかりと丸みと輝きを両立させた、心地よい音がします。意外だったのは、出力は約半分に落ちているというのに、低音のスピード感はむしろ上がっているということ。ベースラインの倍音と輪郭がくっきりとして、歯切れの良い演奏になりました。これと比べてしまうと、5極管の時は結構ブーミーだったのだなと云う事が良くわかります。


○ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界より」第四楽章 (24bit 96KHz FLAC)
ドヴォルザーク:交響曲 第6番&第9番[Blu-ray Audio]
Posted with Amakuri at 2017.8.17
ドヴォルザーク, マリン・オールソップ, ボルティモア交響楽団
Naxos Blu-ray Audio

UL接続を大音量向きと言いましたが、3結はより大音量に向いていました。ボリュームを目一杯上げても大した音量ではありませんが、しかし他の接続方法ならば間違いなく耳が痛くなっている音量で、耳に違和感を感じることがありません。音はしっかりと整理されていてダマにならず、どこかの周波数が変に強調されて歪みになることもなく、とても耳にやさしい綺麗な音でした。迫力以外は最高点を付けられるのではないかと思います。


○Eagles:Unplugged 1994 (16bit 44.1kHz ALAC)
Unplugged 1994
Posted with Amakuri at 2017.8.17
the Eagles
Good Ship Funke

やはり高音がシャリシャリしていますが、ULの場合と違って刺激が強くないので、苦痛を感じることはありません。これはリマスタで高音を頑張りすぎてしまった疑惑が濃厚になってきましたねぇ。


○Be. :Tones (16bit 44.1kHz ALAC)
Tones
Posted with Amakuri at 2017.8.17
Be.
SEHNA&Co.

ULより柔らかく、自然な音色です。全体的に自己主張が控えめの音ですが、それでいて音が引っ込むということもなく、立体的な音場を綺麗に形成してくれます。欲を言えば、あとほんの少しだけ中域にハリがあると最高なのですが。しかし、聴きやすい音だと思いました。


○森山良子:Living (16bit 44.1kHz ALAC)
Living
Posted with Amakuri at 2017.8.17
森山良子
DREAMUSIC( C)(M)

適度な厚みがあって、自然な声ですね。聞き取りやすさはULと変わりませんが、サ行が刺さることがないので、音量を上げても苦痛に感じません。5極管の時ほどの熱量は感じませんが、暖かい声色は損なわれておらず、良い雰囲気を出しています。「家族写真」は熱量より優しさが強調され、よりホッとする雰囲気になっていました。


○池田綾子:オトムスビ (16bit 44.1kHz ALAC)
オトムスビ
Posted with Amakuri at 2017.8.17
池田綾子
インディーズレーベル

ULでは伴奏が前に出てボーカルが控えめになる感じでしたが、それと比べるとボーカルが前に出て、伴奏はやや控えめになったため、バランスが良くなりました。池田さんの声の場合、もともとそんなに熱量は感じないので、5極管接続の場合と比べて劣っている点はないと思います。


○BUMP OF CHICKEN:Butterflies (16bit 44.1kHz ALAC)
Butterflies(通常盤)
Posted with Amakuri at 2017.8.17
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー

ボーカルの聞き取りやすさとボーカルとオケのバランスはULの場合とあまり変わらないように感じます。それでいて高音のシャリ付きがなくなったので、とても印象が良くなりました。ただ、音量と空間の広がりが比例しているようで、音量を下げるに連れて左右の空間が狭くなってきます。


○THE SUBWAYS:The Subways (16bit 44.1kHz ALAC)

5極管接続で感じたバランスの悪さは解消されており、そしてULほど刺激的でないのは他のアルバムと同様。バランスはオーディオI/Fにヘッドホンをつけて聞いた時のそれに一番近く、楽器の位置関係も3結の場合が一番正確に再現されているように感じます。バランスは音量を上げても破綻せず、聴きやすさはどの音量でも保たれていました。


つまり3結は、ULと5極管の良いところを足して二で割ったような、どのジャンルも卒なくこなす優等生という事ですね。音の歪みは3結が一番少ないようで、他の方式では耳に圧迫感を感じる場面でも、全く苦痛はありません。唯一欠点を挙げるならばパワーが半分程度に落ちてしまうことで、ボリュームはだいぶ大きめにしておく必要があります。

とはいえ、この音の綺麗さは他の追随を許しませんし、苦手がない上に「真空管らしい」音であるのもポイントが高いところです。なるほど、多くの真空管ファンがやたらとプッシュしているのも納得ですね。これは確かに音が良いですし、使いやすいです。5極管の暑苦しさも捨てがたいものがありますが、3結は間違いなく優秀。どのみちスピード感等はTU-H82のデジタルアンプには敵わないのですし、ここはひとまず3結で行くのが良さそうな気がしてきました。




5極管接続 VS UL接続

アンプ本体の慣らし運転は48時間でとりあえず終了。足りるか足りないかはわかりませんが、まぁ何もしないよりは安定するでしょうという事で。真空管のエージングについても諸説あるので正直良く分からないところですが、体感的に、作りたてのアンプの動作がちょっとピーキーになるのは間違いないようですし。

というわけで慣らしも終わったところで、早速色々と試していこうと思うわけです。まずは、5極管接続とUL接続の比較ですね。時間も時間ですし、今回は手軽さ優先という事で、ハイレゾ音源とCD音源を使用して比較してみました。なお、使用機器は以下の通りです。

PC: Mac mini Mid 2010
DDC: オーロラサウンド HiFace2 Pro
DAC: RASTEME UDAC192H
アンプ:TU-8150
スピーカ:QUAD 11L


○エディ・ヒギンズ:Haunted Heart (24bit 96KHz FLAC)
魅せられし心
Posted with Amakuri at 2017.8.17
エディ・ヒギンズ・トリオ
ヴィーナスレコード

5極管接続の時には、ポロポロと丸っこく、同時に煌めきのある印象のピアノの高音が心地よかったのですが、UL接続にしたところ、それがなくなってしまいました。キラキラ感が抑えめになった代わり、アタック直後の音が以前よりも前に出るようになって、音の強い時間が長くなったように感じます。高音の丸みが取れて強くスッキリとしたため、ピアノの音色がベーゼンドルファーっぽい音からヤマハっぽくなったと言いますか。ベースラインもアタックの倍音がより明確になって、歯切れは良くなったとおもうのですが、ううむ。好みではないですね。


○ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界より」第四楽章 (24bit 96KHz FLAC)
ドヴォルザーク:交響曲 第6番&第9番[Blu-ray Audio]
Posted with Amakuri at 2017.8.17
ドヴォルザーク, マリン・オールソップ, ボルティモア交響楽団
Naxos Blu-ray Audio

5極管接続だと音がダマになりがちだったフォルティシモ以上の部分で、音がしっかりと整理されているように感じます。ストリングスの音色も分解が良くなって、個々の楽器を意識できるのですけど、いい加減さがなくなった反面、艶とか勢いとか、そういう部分がなくなってお行儀が良くなってしまったような気がするのですよね。聴き疲れしないのはとても良い事だとは思うのですが。
個人的な印象としては、「スペック重視の人」「大音量が好きな人」には向いている音だと思います。多分、データ的にはこちらの方が高音質なのでしょう。でも、うぅん、面白くない(笑


○Eagles:Unplugged 1994 (16bit 44.1kHz ALAC)
Unplugged 1994
Posted with Amakuri at 2017.8.17
the Eagles
Good Ship Funke

なんだか音がシャリシャリしています。全体的にドライになって整頓されているのは他の音源と同じなのですが、ギターのアタックがシャリシャリシャリシャリと耳についていけません。これはないなーという感じ。やはり高音が強くなっているのでしょうね。5極管接続の時にはこんなことはありませんでしたので、このアルバムについてはULはハズレのようです。


○Be. :Tones (16bit 44.1kHz ALAC)
Tones
Posted with Amakuri at 2017.8.17
Be.
SEHNA&Co.

音がクッキリハッキリとして、主旋律の分離が良くなっています。メロディラインがより浮き立って、聴きやすくなっていますね。残響も濁る事なくスッキリと減衰するので、全体的に見通しが良くなった感じ。アタックの躍動感が増しているようにも感じます。一方で、5極管接続と比べると、やはり音の艶は減っているように感じます。というか、音が硬いんですよねぇ。


○森山良子:Living (16bit 44.1kHz ALAC)
Living
Posted with Amakuri at 2017.8.17
森山良子
DREAMUSIC( C)(M)

最後の一曲、「家族写真」の冒頭が意外に良いです。歯切れ良くなるため、歌詞をより聞き取りやすくなっているようですね。森山さんの声は太く低音寄りなので、印象そのものは変わらずに聞き取りやすくなっているように感じました。このアルバムについては5極管接続よりUL接続の方が好みかもしれません。


○池田綾子:オトムスビ (16bit 44.1kHz ALAC)
オトムスビ
Posted with Amakuri at 2017.8.17
池田綾子
インディーズレーベル

中音域よりの声が特徴である池田さんの場合、5極管接続の場合より主旋律が引っ込んで、逆に伴奏が前に出てくるような印象になりました。発音がくっきりと聞こえますし、各楽器はスッキリと整理されているので聞き辛さは全くないのですが、やや印象が弱くなったように感じます。


○BUMP OF CHICKEN:Butterflies (16bit 44.1kHz ALAC)
Butterflies(通常盤)
Posted with Amakuri at 2017.8.17
BUMP OF CHICKEN
トイズファクトリー

まず5極管接続の場合よりボーカルが前に出て、発音もハッキリとして聴きやすくなりました。5極管接続の時には左右の広がりがやや狭く感じましたが、UL接続ではそう言った問題もなく、音がふわっと部屋に広がる感じがします。一方、やはりギターの高音がかなり強調されるので、5極管接続で聴いた時とは別物のような音色になっています。
ボーカルの聞こえ方や音場はULの方が良いのですが、この耳に刺さるギターとハイハットはちょっと苦手かもしれません。


○THE SUBWAYS:The Subways (16bit 44.1kHz ALAC)

5極管接続では、The Subwaysのアルバムはどれもボーカルが引っ込んでしまってバランスが悪かったのですが、そういった問題がUL接続では完全に解消しています。ギターの音色の印象もほとんど変わっておらず、高音が強くなったことの影響に悪いものはありません。むしろびっくりするほどバランスが良くなって、聴きやすくなったと言えるでしょう。これについてはUL接続の方が良いと思います。



というわけで、全体的な印象としては、高音が強くなり、分離が良くなり、代償としてふくよかさがなくなるという感じ。もともと強い高音を持つ楽器は耳に刺さるような刺激的な音になります。得意ジャンルはJPOPと近年のロック。ボーカルは男女を選ばないようですが、できれば中音から低音寄りの声の方が聴きやすいでしょう。トーンも一段明るくなるので、曲自体の印象が変わる場合もありそうです。

一方で、楽器の音色に艶がなくなるので、クラシックには向いていないように感じました。まぁ、大音量で聴きたいという人にはむしろ分離の良さが重要になるのでしょうけれど、私の場合は小音量メインですし、5極管接続では大音量でダマになる部分も小音量なら問題ないわけで、あまり有り難みは感じません。

ロックは古めのバンドの演奏は全くダメ。これは多分、リマスターで高音を強調しているからではないかと思うのですが、そこのところどうなんでしょう。一方で、サブウェイズやJETのような最近のバンドのサウンドにはULの方が合っているようです。特にSUBWAYSは5極管接続での再生はダメでしたので、ULではびっくりするほど良くなったので驚きました。

ハイレゾでクラシックを聴くなら俄然5極管の方が好みなのですが、最近のロックを聴くならULが俄然有利。これは、どちらにしたものか悩みますね。




TU-8150、試運転中

本日の東京は雨が降ったり止んだりの生憎のお天気でしたが、幸い私は退屈することはありませんでした。なぜなら、組み上がったばかりのTU-8150であれこれ聴くのに忙しかったからです。次の写真は、火を入れたTU-8150の様子。薄暗い部屋の中で、パイロットランプを兼ねた12AX7の明かりが良い感じに輝いています。

12AX7がパイロットランプに
12AX7がパイロットランプに posted by (C)circias

これはヒーターの光ではなく、LEDの光。12AX7はヒーターそのものも結構明るく輝きますが、直射日光の下ではさすがに分からないので、LEDの電飾をプラスしたのでしょう。それにしても、色がオレンジというのが良いですね。私の中で、オーディオの明かりはオレンジという事になっているので、この色はとてもしっくりきます。

ヒーターの点灯を確認したら、次はハム音の確認を。無入力のままボリュームを上げていきますが、MAXまで上げてもハム音は全く聞こえません。近づいてスピーカーに耳をくっつけると、TU-877などで感じるよりも高い、ほんの微かなハム音が聞こえる程度でした。ここまで来たら、「ハム音なし」と謳ってしまっても良いのではないでしょうか。ノイズに関しては極めて静粛なアンプと言えます。

ハム音や発振の心配はなさそうなので、次はいよいよ音出しを。一旦ボリュームをゼロにしてから音源を再生し、ボリュームを上げていきます。そしてスピーカーから飛び出した音色は、まず「丸い」という印象でした。鈍いとか曇っているとかではなく、「丸い」のです。まぁるい、真空管らしい柔らかな高音。転がるような鮮明なピアノの音色が、スピーカーから飛び出してきました。

曲は、エディ・ヒギンズの「マイ・ファニー・バレンタイン」。ピアノの音色は甘く優しく、それでいて弱くない。特に中音域の表現が心地よいです。ここしばらくTU-H82のソリッドでハイスピードな音に慣れ親しんでいたので、この真空管特有の甘さは本当に久々で、ゾクゾクさせられました。やっぱり良いですね、真空管。デジタルも捨てたものじゃありませんが、しかしこの味は真空管でないと。

音源をオーケストラに替えれば、弦楽器の艶やかさが際立ちます。まだろくに慣らしもしていないというのに、のっけからこの滑らかな音。いやはや、参りましたね。音のバランスも全く問題なく、ステレオ感も上々。ミニワッターの宿命で、フルオケのフォルティッシモはさすがに崩れますが、そういった特にパワーを要求される場面以外では、丸くて柔らかくて、それでいてよく通る綺麗な音を聞かせてくれます。

低音の量感も充分で、バランスはTU-H82とほとんど変わりないように感じます。つまりは、色付けしていない素直なアンプだという事なのではないかと。ただTU-H82と比べると、さすがに低音はスピードがなく、ボワっとした感じになりますね。例えばラヴェルのピアノ協奏曲ト長調:第三楽章の冒頭、低音の打楽器がTU-H82なら「バンッ」に近い「ドン」に聞こえるのに対して、TU-8150だとこれが「ボン」になります。

ただこの緩さはシングルアンプらしさでもあるわけで。KT-88を乗せたTU-877だって、この一音の緩さにはそれほど差はないのです。まぁ高出力な分、あちらの方が低音は得意であるようですが、殊更いうほど大きな差であるとは感じませんでした。全体的には、俄然TU-8150の方が綺麗でよくまとまった音になっていると思います。解像度も、こちらの方が優れているように感じました。

しばしあれこれ聴いてみて、思うのです。これを改造しても、これ以上良くなる未来が思い浮かびません。完成度が高すぎるんです。デフォルトの部品でしっかりとバランスが取れているので、下手にパーツを変えたりすると、逆に音が悪くなるのではないかなぁと。とは言っても部品は買ってしまいましたし、とりあえず試してはみるつもりですけれど。

ちなみに今回は、ELEKITでは毎度おなじみの5極管接続です。TU-877と同条件で比較したかったですし、TU-870以来、一番聞き慣れた音ですしね。ある程度慣らしをした後は、部品交換の前にまず、接続を変えて音を聞いてみるとしましょう。その後はOPAMPの交換、最後に6V6を試す流れで。ちょっと盛りだくさんすぎて、9月までにどこまでできるか分かりませんけれども。





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